33話 正直、大変だよね
今回は文字が少なめ
「ん~……父さ~ん、これ何?」
自分の父親である武に向かって喋りかける。
そして、俺の右手……その手には、本が握られている。
「ああ、それは俺が若いときに何かの映画に憧れて書こうと思った日記だよ……結局、忙しくて書かなかったし、平凡な生活だったから書く必要も無かったんだけどな」
そういえば、この父親……仕事は何だ?
ま、まぁ…あれだ……何事にも設定外というものはある…これを気にしてはいけないだろう。
そして、最後に一言…
…設定外って、何だアアアァァァァァァァァァァァァ!!
「ふぅむ…日記ねぇ……」
「欲しいんだったら、徹夜にやろうか?」
「む……じゃあ、特に使う理由はないけど折角だから貰っておこうかな~」
それが朝にあったことだ。
─ ─
只今、俺は恥ずかしい思いをしている。
何故か…? それは皆知っているだろう……? わからないんだったら見直せっ!! あんな最悪な場面を俺自身が説明するなんて、嫌だ~!!
「……み、美月は俺より後に来い」
「え~、何で?」
「今日は、あれだ…S組のファンだなんだかんだの日だから…俺は一緒に行きたくないわけだ。
ファンは美月に全て付き纏うという、俺の作戦だよ」
「うぅむ…あまり納得できないけど、わかったよ」
あまり納得できていない様子だが、美月はすんなりと離れていく。
いつもならこれもありえないのだろうが…今は俺がこんな姿だから、どうなるのかを見たいのだろう。
…けどね、その期待は裏切られる運命なんだよ。
俺は、約2万カロリーほど使ってポーカーフェイスを完璧に完成させて、ロッカーを開け…俺の靴をしまい、シューズを取り出し、地面において履く。
俺は無表情でS組ファンクラブの群れの前を通り、自分の教室に行くために階段を上がっていく。
……。
…………気のせいだ。
気のせいだと言ってくれ……何で、お前らは俺に付いて来やがるんだァ~!!
『始めてみる人だけど、相当綺麗だぞ!! あの人』『美人だ、美人!!』『私、あの人の名前知らないんだけど誰?』『私も知らないッ!! でも、綺麗』……などなどと、いろいろと喋りながらついてくる奴ら。
いつも思うのだが、女の姿の俺についてくる女性が居るのにビックリだ。
あ、少し訂正させて頂こうと思うが…俺は、普通の髪型で来ようと思った。
だが、美月のほうが上手だったんだ………美月のヤツは、俺の髪を縛るような紐や金属製の物まで全部、没収して行きやがったのです。
母は髪を縛ってないし、栞さんコト義妹殿は…朝から睨んできて、持ってるかどうかを確認することなんて出来なかったのだ。
なんか、義理とは言え妹に怯えるというのもどうかと思うが…俺って臆病なんだよね。
正直、もう嫌やわ。
とりあえず、階段でのUターンの場所を通ろうとした時(後ろから追尾により、急いで早歩き中)に……
「みゃあッ!?」
「うおぅッ!?」
誰かに衝突して、誰かと俺の悲鳴が響き…俺の持っていた物と相手の持っていた物がばら撒かれた。
「ああ…スマン!!」
「い、いえ…こちらも悪いので」
俺が慌てて荷物を拾いながら、そちらを見ると衝突した人物は少女だった。
小柄の少女は、俺に悪いとでも思っているのか…俺を見ることなく、散らばった物を慌てて拾い始める。
順調に拾い…それを終えると、俺のと相手のを分けてキッチリと渡す。
「あ、ありがとうございま…すッ!?」
少女はペコリと頭を下げると、自然に俺の顔を見る形になったのだが…何故驚いた、何故驚いたアァァァァァッ!!
「ま、まぁ…俺急いでるから、じゃあッ!!」
……と、とりあえずは逃げるべしッ!!
─ ─
「アハハハハハハッ!! 本当に、その姿で来るとは思わなかったよ。徹夜くん!!」
大爆笑な、奈菜。
………………こいつぅ。
「この人は男、この人は男この人は男この人は男この人は男この人は男この人は男この人は男この人は男この人は男この人は男この人は男この人は男」
なにやら自己暗示をかけている炎。
その目は、まるで狂った人間のようなもので……俺的には、めっちゃ怖い。
「いつも思うけど、なんで男なのに綺麗なのが二人も居るのかしら…?」
「今の要のコメントは俺には関係ない、絶対に関係ないんだッ!! そう…徹夜だけだ、徹夜だけ!!」
要のコメント、それに対して動揺している瑞穂のコメント。
いつも思うが瑞穂って、もう言われて当然…というキャラになってるよな……うん、南無。
「あれ…徹夜達は今日は普通に登校?」
そこに総帥 和馬が入ってくる。
久しぶりに会ったな、このThe イケメン野郎。
…というか、天竜 瑞穂…総帥 和馬ってさ……前にも言ったとおり、凄い名前してるよな。
まぁ、ホントに前にも言ったかも知れんけどね……マジ覚えてねぇ。
ちなみに、はっきり言って多すぎてみんなに出番を出し切れていないので大変なのだが…今回、古里 里稲さんも居たりする。
「あのぉ~…」
「今、勉強してるから話しかけないで……」
「はい、サーセン」
勉強しているが……。
そういえば、里稲はあの世界では勇者と騎士のパイプ役である。
いろいろと分担がされており、要は魔術師、奈菜とカントクさんは王室…などと、いろいろとパイプ役として仕事が設けられている。
俺達の場合は来たばかりだから無いが、瑞穂と和馬は交換で王族である王子さんの護衛として働いてる場合もあるわけである。
和馬と瑞穂については、前にも言ったと思うな。
炎は~……知らん、興味ない。
「…とりあえず、外の風にでも当たりに行くかな」
ちょっと、アニメや映画っぽいことをして現実から逃げたくなった。
ちなみに…トイレの時だけ髪留めを返してもらえるようになりました……トイレを出た瞬間に没収されるのが、なんともまぁ……。
俺は廊下を歩き、外へと向かう。
まだ授業は開始しないで、問題はないだろう。
その後ろの物陰で、ある少女がこっちをジ~っと見ていたことには気づいてたけど、気づかないフリをして現実から全速力で逃げる俺である。
ギャグと言っても、それほどギャグじゃない件について
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