26話 象徴の剣
最低で2000文字のはずが、この頃無駄に文字数を増やしてる気がする。
そして一応書くと、前の話の後書きの最後に作者がイメージしていた美月の姿の描写があったりします。
「それで、とりあえずはどうすんのさ……って、聞いてないか」
そんな俺の呟き。
あれから一日経ち、無事に二人とも勝たせていただきましたっ。
やっぱりさ…今まで何回も言ってきたけどさ、力があるよりも速さがあったほうがいいわ。
いや…特には、この思考に意味はないけどさ…。
まぁ、とりあえず今の状況。
「徹夜~、そこのお皿とって~」
「あ、はいな」
美月に皿を取ってあげたり…。
「徹夜くん、そこのソースとって」
「……ほい」
奈菜にソースとってあげたり…。
「徹夜くん、ちょっと肩がこってるんですけど?」
「それ俺に関係ないです」
ケイアさんになんか言われたり…。
「…というか、俺にも食わせろや」
そして俺の言葉だったり……。
と、まぁ…こんな感じでいろいろと使われているのは何故だろう?
…特に理由は無かったりするんですが、ね……。
─ ─
まぁ、とりあえずは…一日経ってからは完全に方針は決めた。
とりあえずは一日…つまり俺が食卓でめっちゃ使われていた日は休み…その次の日に、いざ討伐!!という流れらしいのだが、そこにはミサイドとコードまで付いて来るそうだ。
いやさ、死なれたら困るってさ…。
でも、俺達が死ぬ=皆死ぬ、って事になりそうで…俺的には余計に怖いんだよね。
「移動手段はこちらが用意します」
ケイアさんの言葉から始まる。
「……本当は反対ですが、勝負は私達が負けてしまいましたからね。
ここは諦めるしかありません……ですが、できるだけ安全に、そして奈菜たちが疲れないように、移動手段はこちらが信用できるものを用意します」
そんなわけである。
「…ふむ」
いや、特に何もいえない。
そんなこといわれてもね~…俺的には、「あ、それって楽でいいな」としか思えないわけでして…。
「この世界では、上位属性である『想像』と『時空』は使える者も少ししか居なければ、それを魔力を流すだけで発動させる魔法陣や魔法具も少ししかありません」
ケイアさんは、そんな事をいいながら歩き出す。
王の間の玉座の後ろの壁…そこのテキトーに何かを探しているケイアさん。
そして、それを見つけたらしく思い切り力を込めて押すと、そこがガゴン…という音共にへこむ。
…すると、その脇の壁がゴゴゴゴゴ…ッ、という音をたてながら移動して通路ができた。
「なんか黒い指輪を手に入れたときの事を思い出すなぁ~……」
「あ~…クロちゃんが入ってる指輪も、変にカラクリ仕掛けの部屋に隠されてたからね~」
俺と美月は、そんな事を言いながら通路に入って行ったケイアさんを追いかける。
「私達が、最初に王都から逃げる事になり…一番困った事は大事な魔法具などを移動させる事です。
勇者召喚の魔法陣もそうですが、私達の国では勇者の力で…それなりに特別な物が多々ありました…まぁ、戦力増大させるものとしては今までの戦いなどで消えたものも山のようにもありますが…」
ケイアが、通路を歩き…その前をミサイドが明かりを持って歩き続ける。
下へと続く階段へと変わり、それでも俺達は歩き続ける。
「あれ? 何のために、下りているんだっけ?」
俺の質問。
「…安全な移動手段です」
それを呆れ気味のケイアさんが言うと同時に、扉が見えてくる。
数十秒歩くと扉の前に到着し、無駄に分厚いらしい重い扉をコードとミサイドが二人で押してギチギチと音をたてながら扉は開いた。
そこは薄暗い1つの部屋。
「これは移動手段とは関係ないのですが…。
私の国の国旗には一本の剣がメインとして書かれています…それは知っていますか?」
「知らん」「知らないです」
「ボクは知ってるけど…」
俺と美月、そして奈菜の返答。
「……まぁ、とりあえずは一本の剣がメインとして書かれているんです。
ですが、その剣は…この国ができる上で重要な剣だったことにより、国旗に書かれたのです」
ケイアさんが、足を進め。
南京錠で開けられないようにされている頑丈そうな鋼鉄の箱の前に立ち、その南京錠に鍵を差し込み始める。
「それは初代国王になった…ある男が愛用していた剣。
その剣は昔絶滅したといわれる巨人族の王の剣…山をも切り裂いたといわれる剣を受け止め、逆に相手の剣をへし折ったといわれる物語の剣……その名は『象徴の剣』
どんな攻撃でも折れることも、刃こぼれする事のない民への希望を象徴する剣」
その箱の中から一本の剣を取り出し…奈菜に渡した。
「これを、奈菜にあげるわ…この剣についての物語が本当かどうかはわかりませんが、お守りにでもどうぞ」
ニッコリと笑ったケイアさんは、その剣を奈菜に押し付ける。
「……いいんですか?」
「…いいのよ。
自分に辛い過去を造った世界に、わざわざ戻ってきて、人を助けようとする…そんな優しくて勇敢な奈菜に、これは必要だと思うわ」
「…でも」
「いいの、いいの」
そんな事をいいながら、ぐいぐい…と奈菜に押し付けているケイアさん。
最初は悪そうにしていたのだが…それに負けたのか…奈菜はブレスレットの形をした魔法具へと収納する。
「もうほとんど無くなっちゃって…奈菜に渡したものも含めて、残り二つなのよね」
「えぇ!? それじゃあ、ボクが貰うのは尚更悪い気がッ!!」
「大丈夫、使わないなんて損じゃない…ちゃんと終わったら返してね」
「あ、それは絶対に生きて帰って来い、みたいな意味な気がしますけど……ボク達の世界じゃあ、軽く死亡フラグに近かったり…」
そこは気にするな、奈菜。
「まぁ、とりあえず移動しましょう」
そして…また歩き出し、床に布敷かれている目の前へと移動した。
その布を取り払うと1つの大きな魔法陣があった。
「これは人や物を転送させる魔法陣…場所を移動させるのに、一番苦労したものです。
少し魔法陣に手を加えれば行きたい場所に飛ばしてくれますから…」
ケイアさんは、そんな事を言うと、その魔法陣に手を乗せ、少しだけ魔法陣に魔力を流す。
すると、魔法陣がかすかに光るのだが魔力が足りなくて魔法は発動しない……まぁ、たぶん魔法陣が今も健在かどうかを試したのだろう。
「……これで送りますよ」
ケイアさんは、そんな事を言った。
そして、その部屋の壁に……一匹の虫が張り付いて…そちらを見ていた。
それに誰も気づかない…覗いていた本人以外は。
─ ─
「……どうやら、魔法陣を使って移動するみたいです」
厚着をして体を見えないようにして、顔まで隠している人物がそんな事を呟いた。
その声は女性…つまりは数日前に徹夜と戦った虫を操る堕勇である。
「ふむ…では、その魔法陣少しいじらせてもらおうかのぅ」
そして、その堕勇の目の前には、あるご老人がいた。
腰は少し前に曲がっており、杖を地面について自分の体を支えている。
そして、もう一人少女が居るのだが…その少女は何も喋らずに、ただご老人の後ろに居るだけだ。
「…その魔法陣を使って、どこに飛ばすのですか?」
虫を操る堕勇が尋ねる。
「コアを壊そうとしているはずじゃからのぅ…目的地はわかっておる。
ただ大幅に座標を移動させてしまうと、さすがにバレルでのぉ…ズラす座標は、ほんの少しだけじゃ。
…そこでお主に、目的の物を勇者達に埋め込んで欲しい」
「私、一人ではさすがに三人は相手にできませんよ…それに私では『武器庫』一人でも、手におえませんし」
「大丈夫じゃ。
さすがに…お主に、そんな無謀な事はさせんよ」
「…はい、わかりました」
「ただ例の物を奴らに埋め込むだけでいいんじゃ……ただ、この世界では…あの新しく来た小僧にやられたからのぅ…次失敗しても、罰は与えぬが…。
失敗して良いのは後一回じゃ、この世界じゃなくても、あと一回失敗したら罰を与えるからの」
「…了解しました」
徹夜、美月、そして奈菜の知らない場所で、そんなやりとりがあった。
今回はこれで終了です。
何回も書いてますが、物語を細かく考えてないせいで、とってもツラいです!!
誤字・脱字があれば御報告ください