14話 秘密と勇気
前回のあらすじ
闇を使い慣れるように使っていたものの
ライルがあらわれて秘密を知られてしまった
目の前には仮面で顔を隠し黒い布で体を覆い全てを隠している。
そんな人物がいる。
「・・・お前は一体何なんだ」
そいつから漏れたこの声はライル・レイシーのものだ。
普通ならありえない闇を使っている俺に向かっての言葉。
今まで嫌われるのは嫌だな~という微妙な理由で隠していた事。
それを知られてしまった。
これはとてもめんどくさい事になったというべきだろう。
「・・・はぁ」
俺はため息を漏らしながら闇での拘束を解除する。
その様子に拘束されていたライルはビクリと肩を震わしている。
どうやらビックリしているらしい。
仮面をかぶってるから表情が読み取れないせいでどうおもってるのかわかりづらいな。
「・・・何故私を解放した」
「別に拘束する意味がないじゃないか」
テキトウに答えつつ、周りに広げていた闇をすべてしまう。
それにも驚いている雰囲気を出しているライル。
「・・・それがお前の秘密なのなら、私を殺して口止めをすればいいじゃないか」
どうにもふに落ちないという様子で聞いてくる。
む~、これはどういうべきなのだろうか?
やっぱり返す言葉は簡単なものでいいよな~。
「俺は人を殺してまで自分のみを守ろうとはしない。
秘密がばれたらおさらばすればいいだろうしなぁ~」
この返答にも驚いた様子だ。
ええ~、俺ってそんな人間に見えてたのかな・・・ちょっと傷つくわ~・・・・・。
俺が肩を落としているのに気づかずにライルは口を開く。
「・・・それが、・・・その闇が知られたら国にも狙われるような事になるんだぞ?」
ああ・・・そこまで大変な事なのか。
ああ~、ホントなんでこうなるんだよぅ~。
「そんなんどこまでも逃げればOKですたい」
すみませんが・・・逃げるという選択しかわたくしにはおもいつきません。
「・・・」
おお、黙っちゃったよ~。
俺は何をしゃべればいいんだ?
むぅ~…っとテキトウに考えて口を開いてみる事にした。
「闇は俺の力そのものだ。それの使い方は俺が決める事であり、相手が勝手に決め付けても関係ないことだ。相手が俺を脅威とみても、俺はそれを無視するだけさ~」
ん~、正直ダメ人間かな・・・?
「お前は……」
ライルが口を開き、手が顔まで近づいていく。
そして仮面に手が触れ、仮面をはずしていった。
「・・・お前はこの顔をどう思う?」
仮面をはずした先には真っ白な肌に黒い髪、左目は黒い。
魔族というのは少し黒い感じの肌だが、人間と魔族のハーフではときどき血が流れてるのか?と疑問に思うぐらいの白い肌を持つものが生まれてくるらしい。
彼女は魔族と人間のハーフだ。
ただ、ほかと違うのは右目。
右目だけが真紅の瞳をしている。
「私は魔族と人間のハーフということで退けられ」
その声は苦々しく、今までの苦労がわかるようだ。
「そして、突然色が変わってしまったこの右目により仲間からも退けられた。
お前はこの私の姿をどう思う?」
正直言うが・・・。
彼女の姿は綺麗だと思う。可愛いというべきだろうか・・・?
真っ白な白い肌はもりろん、小さな姿にあの顔はもちろんあの真紅の瞳はルビーのようで美しいと言えよう。
ん~、なんか俺さ、的外れな事思ってないか・・・?
という事で正直な事をいってみようと思う。
「可愛いと思うよ。その右目だってまるでルビーのようで綺麗だし」
最初彼女は何を言われたかわからないように、ポカンとしていた。
あれ~、俺何かまずいこといったかな・・・?
「・・・ッ!!」
すると彼女は俺から目をそらして、こちらに背を向けた。
あれ・・・・?
俺ホントに何かまずいこといったかな・・・?
「・・・そ、それは本心で言っているのか?」
そんな質問が帰ってきた。
「今、嘘を言う必要ないし・・・」
何故だかわかんないけど、こっちに顔を向けてくれないんだが?
「・・・お前は変わっているな」
ええ!?
俺ってそんな変態だったの!?(別に変態とまでは言われていない)
「俺って変た・・・これが俺だからしょうがない」
さっき思ったことをきこうとしてしまったが、むしろその発言はもっと俺を変態にしかねないので言うのはやめておこう。
「・・・(クスッ)」
なにか笑われたような気がした・・・。
うう、なんか笑われると恥ずかしいんだが……穴に頭から突っ込んで、そのまま埋めて欲しいぐらいだ(これを埋葬という)
「・・・私は王都に戻るよ。大丈夫、このことは秘密にしておこう
だけど―」
こちらを振り向いたライルの顔は、少し赤くてちょっと目じりに涙があった気がする。
「だけど、うちのチームに秘密は無用だと思う。
私はいつも姿を隠していたがチームに入るときにはハーフということを話したが、私の心配は笑われて飛ばされていってしまった」
満面の笑みでそういうと
すごい速さで走っていってしまった。
むぅ、これはどうしようか・・・いい機会だしバラすというのもありだろうなぁ~・・・。
さぁ、どうなるかな・・・。
─ ─
もうライルは戻っていた。
自分達が泊まっている宿の部屋にだ。
「おかえり~・・・ん?仮面は?」
エミリィの声だ。
その部屋にはラルドもいた。
その二人は本当にハーフだということを話されていたので驚く様子もなかった。
ラウとカイラは目を見開いていたが。二人が驚きもしないので安心してまた二人でキャッキャと遊んでいる。
「・・・もう必要ないと思う。この姿を可愛いと、この目を綺麗と言ってくれた人もいるし」
すこし顔を赤くしながら答えたライルの顔は、とてもいい顔だったらしい。
─ ─
ちなみに俺はとぼとぼと歩いてるわけだが、秘密にしておくべきかばらすべきかとても悩んでいる。
「むぅ~」
これは俺の癖で考え事をしているとこんなうめき声が出てしまう。
ん~…前いた国ではハーフでも大丈夫らしかったけど、今の国ではダメなんだろうな~。
ん~、そんな彼女は姿を見せなくても言葉でばらしたのだろうから凄い勇気が必要だったろうに…。
むぅ~、俺も勇気を出してみよかな!!
まぁ、切りかかられても逃げる事は簡単だろう。
闇には当然俺も入る事は可能だし、一応これでも逃げ足だけは自信がある。
とこうかんがえているともう宿の前についてしまった。
「・・・話してみるか~ッ!!」
俺は勇気をだしていってみることにした。
まるで勇者のように……いや、闇を使ってるけどね 。
2012/6/03 訂正しました