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1-8.朋友の急襲



明くる日の早朝、ルナは待ち合わせ時刻の少し前、植物達の様子を見るために、庭園に立ち寄っていた。


「――ッ!」


そこで彼女は、花々が萎れていることに気づく。そして、その周囲に立ち込める邪悪な魔力を感知した。この異変が公爵夫人の件と無関係とは思えず、ルナは急いでレイとの待ち合わせ場所、学院長室の前に向かった。


* *


学院長室のドアの前で、二人は待機する。

ルナが意識を集中すると、内部にエレオノーラと学院長らしき魔力反応があった。


「レイ君、あのね、さっき庭園に寄ったときに……」


――ガシャアアアアン


ルナが先ほどの異変を共有しようと、話し始めたその時、学院長室の中から大きな音が響き渡った。その瞬間、ルナは自身の不安が現実のものになったと直感する。

二人は急いで学院長室の扉をくぐる。


「大丈夫ですか!!」


ルナが叫ぶと、そこではエレオノーラ公爵夫人とセレスティア学院長が対峙していた。学院長の机や、後ろの窓ガラスが損傷しており、学院長の腕からは血が流れている。


「――何をする?エレオノーラ」

学院長は冷たく問いかけた。


エレオノーラは何も言わず、再度、魔法を放つ準備を整える。彼女の得意な水魔法が放たれる。学院長も瞬時に氷魔法で応戦する。


「洗脳か……」

学院長の口から出た言葉は、ルナとレイの予想と全く同じだった。物音を聞きつけた警備の兵が二名、何事かと部屋に入ってくる。異常な様子の公爵夫人を見て、ただごとではないことを理解し、ひとまず取り押さえようと彼女に近づいた。


「馬鹿者、不用意に近づくな!」


学院長の警告もむなしく、邪悪な魔力は二人の警備兵を吹き飛ばした。学院長が再び魔法の構えを取った時、エレオノーラは不敵に笑う。


「やめて、セレスティア。私はこの学院に遠隔起動できる設置型魔法陣を仕込んでいるわ。おかしな動きをしたら、即座に起動する。まあ何人かの学生が犠牲になるでしょうね」


その言葉を聞いて、セレスティア学院長は一瞬夫人を睨みつけるが、その後、力なく魔法の構えを解いた。

ルナは庭園で感じた邪悪な魔力こそが、夫人の言う魔法陣だったのだと理解する。


「母さん、バカな真似はやめろ。目を覚ましてくれ。アルフリード公爵家の誇りを思い出してくれ!」


レイの必死の訴えにも、エレオノーラは聞く耳を持たず、無表情のまま学院長の元へ歩み出した。

じりじりと距離を詰められ学院長の逃げ場はなくなっていく。


しかし、エレオノーラが学院長まで数歩の距離まで近づいたところで、それは起こった。突如、足元が輝き、その中心から魔法陣が現れた。

その刹那、魔法陣から氷の鎖が現れエレオノーラを拘束する。


「油断したね…。有事の際に備え、この部屋にはいくつかトラップ型の魔法陣が仕掛けられている。これもその1つよ。

もうあなたは逃げられないわ。」


「くっ!つまらない小細工を……」


エレオノーラは必死で足掻いたが、氷の鎖は強靭に彼女の身体を締め付け、その圧倒的な冷気で彼女を氷結させ、動きを完全に封じた。

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