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3-8.その手に聖杯を


そして決勝トーナメント当日、舞台は学院の闘技場。朝日が詰めかけた聴衆を照らし出すなか、審判官の魔道拡声器を通した声が響き渡った。


「これより、聖杯祭の最終プログラム、決勝トーナメントを行う! 今回のルールは究極にシンプル。この闘技場における二組のデュオの純粋な戦闘だ。勝敗は二次予選に続き『リミット・シールド』による一撃決着の方式。片方のバッジが砕けた時点で、そのデュオは敗退となる!」


説明を聞きながらレイは、舞台上黄金の聖杯を射抜くように見据えていた。


(……一次、二次予選とここまで順調に勝ち上がって来れたのは、ひとえにルナの探知能力のおかげだ。普段の任務でも、俺は彼女の献身に甘え、無茶な要求を強いてきた。だから決勝トーナメントでは、俺が彼女を牽引し、なんとしても『優勝』という最高の結果で彼女に報いてやりたい。

言葉で優しく接することなど、今の俺には到底できない。その代わり、彼女を頂点へ連れて行き、その頂の景色を見せてやる。俺が胸を張って彼女に贈れるものなんて、これくらいしかない。)


その瞳には、冷徹な勝利への執念と、それ以上に深いルナへの献身が宿っていた。


そして巨大な魔力スクリーンに、運命の対戦表(トーナメント表)が映し出された。


【第1ブロック】

■第1試合

レイ・アルフリード&ルナ・フローレット (1年生)

VS

ガストン・ロックウェル&ヴォルフ・シュタイン(3年生)


■第2試合

ユリアス・グロリアス&エミリア・フェンレイ

VS ーーー


~~~~

【第2ブロック】

第4試合: ゼノン・ルフェイン&リゼ・ヴィセリア(3年生)

VS

カイ・ランバート&レーナ・メルフェル (1年生)


「ガストン……。確か王下騎士団の初等部隊へ推薦がでていた実力者だ。」


レイは対戦表を睨み、漆黒の剣の柄に手をかけた。隣に立つルナは、ガストンたちの威圧感に気圧されそうになりながらも、昨夜のレイの熱い視線と、フィンの応援を思い出し、自身の拳を強く握りしめた。


「王下騎士団への推薦!?かなりの実力者なんだ……。気をつけないといけないね。」


「……お前が心配する必要はない。こちらに魔法が飛んでくる前に俺が全て斬り伏せてやる。」


レイなりにルナの心配を取り除こうとかけた言葉だったが、まるでルナの力は必要としていないかのような言い方に、彼女は俯く。


『自分はデュオパートナーとしてレイの力になれているのか?』


そんな疑問が湧き上がり、不安が胸の奥底を支配する。


一方、第2ブロック。レーナはゼノンとリゼの名を見て、唇を噛み締めた。


「……ゼノンって、あの二次予選の最後に会長を裏切った人ね。」


「勝つためには手段を選ばない相手ってわけか。いいじゃねえか。でも一番勝利に貪欲なのは俺たちだってことを、証明してやろうぜ!レーナちゃん!」


レーナはカイの軽口を聞きながらも、ゼノン・リゼのペアを警戒していた。彼らはユリアス・エミリアに次ぐナンバー2デュオとしての呼び声が高かった。二次予選の最後に見たゼノンの合理性と、リゼの余裕な笑み。レーナは自分の実力を証明する戦いにおいて、これまでで一番の山場と感じ始めていた。


「――第1試合、両者入場!」


地鳴りのような歓声のなか、レイとルナが舞台へ進み出る。 対峙するのは、鉄壁の防具を身に纏った巨漢ガストンと、鋭い槍を構えるヴォルフ。


「1年生の天才さんよ、ここからは二次予選のような小細工は通じねえぞ。お前に俺の防御魔法をぶち抜けるかな?」


ガストンが巨大な盾を叩き、挑発する。

レイは無言でルナを一歩背後に下げた。


「……ルナ。この試合、30秒で終わらせる。」

「……うん。……ええ!?」


ルナが目を見開いたのと同時に、審判の右手が振り下ろされた。


「試合、開始!」


突然の宣言にあっけにとられるルナをよそに、一歩も引けない決勝トーナメントが幕を開けた。


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