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1-3.学院の生活



「6人、違う7人……、あっ待って、どっちが3人目かわからなくなっちゃった。」


レイ君から渡された地図の魔導具(アルカナマップというらしい)を使い、私は魔力探知の訓練に励んでいた。放課後の学院を行き交う学生の位置を赤い点で投影させ、実際にその場所を巡って、位置が合っているかを確認する。もちろん学生は移動したりするので、意識を集中させリアルタイムで場所を反映し続ける必要がある。


「また、探知の漏れがあったか。それと一人目の印が消えているぞ。やり直せ!」

レイ君は時折、私の訓練をチェックし、厳しくダメ出しをしてくる。位置がずれていたり、人数が違うとこのように冷たく言い放たれる。


道具のように扱われることは今でも少し苦手だけど、最近は学院に入学して初めて、誰かの役に立てていると実感している。私達のノクシアの討伐成績は順調に数を伸ばし、天才と落ちこぼれのペアという歪な組み合わせからは想像もできない成果に、学院中の話題となっているようだ。


* *


「しっかし、お前ら最近マジですごいよなー」


昼食の席、トレイをもった銀髪の少年、カイ・ランバート君が遠慮なく私達のテーブルに割り込んでくる。私と同じく平民出身で、レイ君とは全く違う無邪気な性格をしている彼だけど、意外にも仲が良い?ようで、こうしてお昼時になるとレイに話しかけに来るのだ。


「なあなあ、ルナちゃんの魔力探知ってノクシアとかゲートの位置がわかるんだろ?すげえじゃん。なあ、今度俺たちのデュオと一緒に討伐任務行かねーか?」


「断る。新たにチームの連携を考えなければならない。非効率だ。」

カイ君の言葉を、レイは一瞬で切り捨てる。


その様子に、隣に座った彼のデュオパートナー、レーナ・メルフェルちゃんが金色の長い髪をかき分けてため息をついた。彼女は侯爵家の令嬢で、誰もが振り向く美貌を持っている。彼女の姉は、王国で7人しかいない王下騎士団の最高ランク『アメジスト・フェザー』の逸材で、学院からも一目置かれている存在だ。


「相変わらずね。公爵様は。…カイ、あんたもよ。そもそもあんたは独断で行動して迷子になるのをやめなさい。チームでの任務以前の問題だし、いつも探す私が大変なんだから」


「へへっ、わりぃ。……でもさ、レーナちゃんに探されてると思うと、悪い気がしなくてさ。なあレーナちゃん、お詫びに今度さ、街にデートに行かない?ケーキが評判のカフェの噂聞いてさ!」


カイ君はそう言って、隠す様子もなく熱烈な視線をレーナちゃんへ向けた。 身分も性格も正反対な二人だけど、カイ君がレーナちゃんに惚れ込んでいるのは学院中の誰もが知る事実だ。


「お断り。食べ物で釣られるなんて思わないで。」


そして、彼女がそれを華麗に受け流していることも。


「まあでも、いつかはルナ達と一緒に任務に行ってみたいかも。ルナの魔力探知の凄さを一度体験してみたいわ。そういえば来月に『アイリス魔法学院聖杯祭』っていう学内イベントがあるって案内があったわよね。デュオ何組かでチームを作って、ノクシアの討伐数を競うみたいだけど、私たちとチームを組まない?」


そういってレーナちゃんはちらりと私を見る。

「そうだね。私もレーナちゃんとカイ君とチーム組んでみたい!」


私がそう返事すると、横からレイ君がそれを遮る。

「それは考え物だな。たしかルールによるとチームを組んでも討伐数はデュオ単位で割られてしまう。お前らと組むと討伐の成果が半分で換算されてしまう。」

「つれないこといってんなよ。効率だけが人生じゃないぜ、レイ!」

レイ君の素っ気ない返しに、カイが食い下がる。


「もう、ほんっと、この公爵様は堅物なんだから…」

とレーナは諦めたように私をみてほほ笑んだ。

こうして四人で他愛もない話をする時間が、私は好きだった。


* *


訓練を終えた放課後は、私は学院の一角にある庭園に赴く。庭園の植物を世話することが、私の学院での楽しみだった。土の匂いと植物の生命力に触れていると、心が安らいでいくのを感じる。ここでは、誰にも笑われることもなく、ただ好きなことに没頭できた。

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