表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/16

1-2.掃討、シャドウハウンド


アイリス魔法学院からほど近い森。陽光の大部分を遮断してしまうほど生い茂った木々の下、レイは、自身の黒髪を投影したような漆黒の剣を手に、ルナに告げる。


「いいか。エストレア王国が『戦闘科』に多額の予算を投じ、学生に実戦を強いる理由は一つ。……各地に現れる化け物『ノクシア』を、効率よく駆逐できる魔導士を育成するためだ。」


レイはルナを一瞥する。

「ここで証明しろ。お前にその価値があるかどうかをな。」


「……はい。」

ルナは緊張しながらも、意識を周囲に集中させた。


「……一番近い個体で1時の方角の少し離れた場所に2頭。10時には3頭……。それと、その地点から北東の森の奥、ひときわ澱んだ魔力の溜まり場があります。そこに、多分『ゲート』があります。」

彼女は次々と位置を読み上げた。


「分かっているな、ルナ。いくらノクシアを掃討しても、それを生み出し続ける『ゲート』が存在する限り、さして意味はない。無限に湧く雑魚を相手にするのは非効率だ。最短距離で門を叩くぞ。」


それからのレイの行動は、ルナにとって衝撃の連続だった。彼女が伝えたシャドウハウンドとゲートの位置から最適なルートを割り出し、迷いなくそれをなぞる。


「雷鳴、イクシード・ボルト」


途中で遭遇したシャドウハウンド達を、彼は雷属性の魔法で大方一瞬で仕留めていく。

複数のシャドウハウンドに囲まれた際も、彼は専用の魔武器である漆黒の剣で、まるで踊るように切り伏せた。


『ゲート』も通常の学生レベルでは4、5発魔法を撃ち込まなければ破壊できないのが相場だが、レイの前ではまるでガラス細工のように一撃で沈んだ。付近のシャドウハウンドもあっという間に掃討され、討伐任務は完了してしまった。


(すごい…。私の言葉を信じて……迷いなく…)


今までのパートナーは、

――平民の足でまといの指図なんて受けてたまるか!

と魔力探知の情報を聞き入れようとはしなかった。


だがレイはルナをレーダーのような道具として見ている節はあるものの、初めてルナの言葉を100%信じて行動してくれた。ルナの胸中は複雑な感情で支配されていた。



帰り道の馬車の中、レイは黙ってルナに何かを投げ渡した。

「――っ!」

驚いて受け取ったそれは、一枚の紙のようだった。だが、それはただの紙ではなく地図のような魔導具だった。


「念じれば地図中に印が打てるはずだ」

ルナが半信半疑で念じると、地図の上に赤い点が浮かび上がった。それは生活用魔水晶が埋め込まれ、魔力を持たないルナでも使用できるものであった。


「これからはお前の探知したものの位置を、念じてそこにマーキングしろ。それが実際の位置とずれがなくなるように訓練として繰り返せ。それが、直近のお前のやるべきことだ」


「……わかりました。あの…ありがとうございます。アルフリード様」


「前から気になっていたが、敬語はやめろ。学院の決まりでも、学生間は対等となっている。俺には敬語は不要だ。呼び方もレイでいい。」


「わ、わかった。レイ……君。」


レイは、使い勝手のいい「道具」を手に入れた満足感に、口元を歪ませていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ