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1-13.愛されたい本質



セシル・ロシュフォール。レイがルナの前にデュオを組んでいた令嬢だ。彼女もまた、レイの婚約者の座を狙って彼とデュオを組んだ一人だった。


しかし、レイの効率を追い求める思考や、思っていたよりも優しさのないやり取りに、彼女はすぐにうんざりした。


解消の際、セシルはレイに吐き捨てた。

「あなたは公爵家の操り人形みたい。いつもいつも命令、指摘ばかり。話しててもつまらないわ。ちょっと容姿が整っているだけで、公爵家の地位がなければ誰もよりつかないでしょうね。」


レイはこれまでにも、勝手に自分に理想を押し付けて、勝手に失望していく女性たちを多く見てきたため、その時は何も思わなかった。女性とはそういうものだと、冷徹に捉えていた。


しかし、ルナを好きになった今、セシルの言葉が鋭い刃となって胸に突き刺さる。自分を好きになってくれる要素はなんだろうか?ルナは自分と話していて楽しそうだと感じてはいなそうだった。セシルの言葉通りいつもダメ出しばかり、任務に出れば効率を求め命令するばかりであった。


そして今回の一件でレイは自分自身の人間性に深く失望していた。母の命がかかった場面で、最後まで諦めなかった愛情深いルナとは異なり、自分はルナを信じることができず、その場で判断した合理性だけで母を手に掛けようとした。


実際、ルナがいなければそれを実行しただろう。事件の後、母は自分にも感謝していると言っていたが、レイは自分こそ非難されるべきで、ルナだけがその感謝の対象だと強く思えた。


ルナは、身分に囚われず人の本質を見ているように思える。だからこそ、レイはルナに自分のことを好きになってもらいたかった。「自分の本質」を彼女に好きになってもらえたら、そんな幸せなことはないと思う。


しかし現状、自分には公爵家の人間であるという看板以外には魅力がないように思えた。公爵家の地位に興味のないルナにとって、自分の価値などほぼないに等しい。そうとしか考えられなかった。

レイは、自分がルナに相応しくないと強く思うようになっていった。


彼女に好きになってもらいたい「自分の本質」は、レイ自身にとってひどく無価値だった。

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