3話:抗争のど真ん中に一人。飛ばされてきた少女一人
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冬に差し掛かって来て、東北は余計に寒さが強調されるようになってきた。雪は降らなくても乾燥した風が日本海を経由し山を越えやってくるものだから寒い。
僕は、今面倒なことに抗争現場のど真ん中に立っている。レディースの最強の座を取るとか何とか。今、令和なんだけどなぁ。
知らぬ間に始まってしまっていた。目の前で殴られている女子生徒が、一人、二人……皿屋敷じゃないんだから。わぁ、目の前に人が飛んできた。
「あ、あの。大丈夫?」
「あぁ!?何言って……あ、姉御!?」
「あれ、沙雪だ。何してるの?」
「……いや、ちょっと。あのぉ~」
僕の目の前に倒れてきたのは、知り合いでした。冬野沙雪は中学時代に、訳ありの状態で発見してそこから懐かれた。
身長が高くてキリっとした釣り目で美人さんな顔立ちで少し強面。頭はあんまりよろしくないけど、一緒に勉強してなんとか、この高校に合格した。クラスは違かったけど。
懐かしいなぁギャン泣きした沙雪が僕のこと振り回して、酔いつぶれたな僕。
「それで、足洗ったんじゃないの?不良から。」
「そ、それは~そのぉ……」
「沙雪、嘘はついちゃいけないよ?」
「は、はいぃ。じ、実は同じクラスの奴に元々不良ってことがバレっちゃって、あれよあれよと巻き込まれちゃったんです。」
「ホントだね?」
「ほ、ホントデス。」
沙雪の声がか細くなっていたので言及は辞めた。尚、許すとは言ってない。後でコスプレに付き合ってもらおう。カラオケで3時間。
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僕は、抗争のど真ん中から脱出しようと試みると何故か囲まれた。何だろう、最近不幸指数が勝手に上がって行っている気がする。いや、言い寄られるのは寧ろいい気分なのでは?
いや、ヤンデレ(仮)と愉快犯か。あまり嬉しくないような?(フラグ建築)
僕の周りは沙雪を睨むもの、少し息遣いが乱れている人、明らかにヤバそうな人。十人十色だねぇ。帰りたいよ、僕は。ふつふつと激情が沸き上がって、気づけば。
「ねぇ。」
『っ!?!?!?』
底冷えした低い声が響くと同時に、全員が立ち止まった。……そんな僕、怖いこと言ってないんだけどなぁ。問いかけ1つでそんなガクガク震えなくてもいいじゃん。
「どいてもらえるかな?僕、これから用事あるんだけど。」
にっこりと笑顔で。死んだ目をして相手に焦点を合わせないと、あら不思議自然とモーセの海割人間版が完成した。随分と弱いんだなぁ。なんて適当なことを思案しながら、僕は沙雪をお姫様抱っこしてその場を離れた。
騒がしい喧騒から突然静かになったものだから、少しだけ落ち着かない部分もあった。沙雪は、顔を真っ赤にして両手を覆っていた。
「ねぇ、沙雪?そろそろ、降ろすよ?」
「ひゃ、ひゃいっ!!」
「??どしたの、そんなに顔を赤くしちゃって。」
「ね、」
「ね?」
「ねねが悪いんだぁぁぁ!!オレの純情弄びやがってぇぇ!!」
「ちょっ!?……あぁ、行っちゃった。」
そのまま今日一日、沙雪を見ることなく日常は過ぎていった。
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~次の日~
『おはようございますっ!!姉さんっ!!』
「……ハイ??」
僕の目の前には明らかにカタギじゃやらないお出迎えが長蛇になって学校まで続いていた。
「あっ、姉御!!」
「沙雪、おはよ。ところで、これどういう状況なの?」
「オレにもさっぱり。」
「んにゅ~、ねねおはよぉ。」
「わっ!!花楓、おはよう。」
「ん、姉御。そいつ一体誰ですか??」
「えっ、僕の幼馴染。」
「「…………」」
えっ、何?何か2人して僕のこと睨むんだけど、あっ、溜息点いた。
「「お互い、大変だね~(ですね。)……」」
どういうことなんだろう。あと、その呆れられた視線は辞めて。本当になんか居たたまれないんだよ。助けて。
「……ねぇ、ねね。その泥棒猫たち、誰なの?」
「……あっ。」
シオン、乱入。いよいよ僕の胃は耐えきれなくなりそうだった。
のんのんのん




