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第五十八話 最終話 『完全を拒んだこの世界で』──それでも、不完全な俺たちはそこで歩む

 おれが屋敷からでて丘にむかうと、そこにはディムリアがたたずむ。


「どうした? ディムリア」 


「シュンか......」


「なんだよ。 たそがれるなんてらしくないな」


「我はなんなのじゃろう......」


「ああ? お前はディムリアだろ。 残りの真鉱宝石オリハルコンジェムを取り込んでおかしくなったのか」


「かもしれん......」


「おいおい......」


「我もグアレナの考えがわからぬでもないのじゃ。 やつは人間に期待しておった。 しかし長らく人間たちの浅ましさをしるうち、その存在すら疎ましく思ったのじゃ」


「お前もそうか」


「いや、だがながくいきるうちにそうなるのが怖い...... 我の中の魔王たちに感化されるのではとな。 シュン」


「なんだ......」


「我を消し去ってはくれぬか。 そなたのスキルならば我と同等の魔法鉱宝石オリハルコンジェムを作り出せば可能やもしれぬ」


「......本気か」


「ああ、我が自分をなくして人々を手にかけるのが怖い......」


「消えたいのか?」


「消えたいわけがあるか!」


「ならそのままでいいだろ。 どうせ、人生なるようにしかならん」


「我は世界を消し去れる力をもつのじゃ! そんなものこの世界にないほうがよかろう!」


「だからなんだ? おれは自分のことしか考えられん。 他のやつもそうだろ。

信念だろうが、正義だろうが、悪だろうが、どんな選択だって自分にとって楽かそうじゃないかに過ぎん」


「......我はここにいてもいいのか」


「お前がいたいかどうかだ」


「い、い......だい...... 我はここに...... われは...... みなとここにいたいのじゃ......」 


「ならそうしろ。 お前とは一生養う契約をしたからな」


 そうおれがいうとディムリアは顔をふせた。



「ふむ、少しは成長したか?」


 後ろから声がした。 振り向くとおれをここに飛ばした神様がいた。


「あんたか」


「驚かぬのじゃな」

 

「まあな。 それで用件は?」

 

「成長したならば、お前をもとの世界に戻してもよいと思ってな」


「残念だけど、おれはそんなにかわってはいないよ」


「そうか。 ここに残るか...... それでその魔王どうするつもりだ? 本当にそのまま存在させるのか」


「ああ」


「そのものが世界を滅ぼしてもか」


「あんたみたいにか?」


「それはシュン...... まさか」


 ディムリアが驚き言葉をうしなう。


「......しっておったか」


「グアレナがいっていた。 完全体が古代人に最を滅ぼしたってな。 古代人に最初につくられたのがあんただろ」


「ああ、そして私はそのものたちを滅ぼした...... そのディムリアも同じになるやもしれん」 


「かもな。 だが、そうならないかもしれない。 そんなことはおれのしったことじゃない。 それにおれが生きている間はそんなことはさせないさ」


「そうか...... 私は完全を求められたゆえに、それを履行しようしとして全てを滅ぼしてしまった」


「だろうな。 完全なんて不完全なものだからな」


「そうだ。 完全ではない私が完全を目指し矛盾した私は暴走した...... そして私は魔王の復活を危惧していた。 また私のような存在が生まれるのかもとな」


「だからおれをこの世界に飛ばしたのか」


「ああ、不完全かおまえならば、私とはちがう結果を生むかもしれぬとな」


「勝手なことを...... ただあんたには感謝している。 それなりに楽しめたし、今は怠惰な毎日だ」


「ふふっ、かわっておらんな」


「そうだ。 そんな簡単に人はかわらない。 ディムリアもな」


「そうだな。 完全を求めるなどどだい無理なはなしだ。 これで決心がついた。 私は魔力に帰る。 もはや私がいなくとも完全ではないこの世界が滅ぶことはなかろう」


「そうか、もうあんたもこの世界にとらわれず、救われるといい」


「ああ、そうしよう。 ありがとう......」


 そう神様だったものは光の粒子となってきえていった。


「あやつが神だったのか」


「神にされたものだ。 完全なものなど、誰にもなれはしない。 あれはそれを求められた悲しい存在だったんだ」


 そう、おれたちは歩いていく。


 不完全だからこそ、この素晴らしい世界で。



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