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第五十六話 『約束は破られた。ディムリアはもういない』──知識の魔王、神となる。

 グアレナはおれたちの攻撃を全てはじく。


(くそっ! この壁貫けない! 魔法の壁か! そうか!) 

 

「セリエス! おれと同時に攻撃だ! そのあとルードリヒとディムリア!」


「は、はい!!」


 おれとセリエスは剣で攻撃した。   


「無駄です...... なに」


 壁が切り裂かれた。


「せい!」 


多速魔連弾マルチマジックバレット!!」


 二人の剣と魔法がグアレナにあたり、土煙がまう。


「やったか......」


「そういえば、あなたはリアベールの子孫でしたね。 その剣、魔鉱宝石オリハルコンジェムでした。 それにシュンさんもそんなものをもっていたのですね。 本当にあなたにはおどろかされます」


 土煙からそグアレナはでてきた。


(無傷かよ! どうする! 骨を核に打ち込むしかない! しかしどこだ!)


「ああ、私の核を探しておられるのですね。 ここです」


 そういって服の前をはだけると心臓辺りが仄かに赤く輝いている。


「なぜだ......」


「教えた理由ですか...... 無駄だからです」


 そう口もとに笑みを浮かべる。


「第二の器官セカンドオーガン第二層、大腿骨!」


 ガキッ


 固いもの音がする。


「なっ! 壊れない!」


「ええ、三体分の魔鉱宝石オリハルコンジェムを取り込んだんてす。 その密度も強度も前とは比較になりません。 さあ、諦めてディムリアさんこちらに」


「......貴様、完全体とやらになってなにをするつもりなのじゃ」


「人々を導くのです」


「人々を導く......」


「かつて人間たちは自分たちを見失いました」


「自分たちをみうしなった?」


「彼らがもつ優れた魔力をつかった魔法技術の発展は人々を豊かにしましたが、欲望が限界をこえ醜悪な本性がでてきたのです」


「醜悪な本性......」


「おのが欲に溺れ、他者を自然を自らの思うがままにしようとしはじめた。 そこでは貧富が生まれ、より強いものが弱いものを虐げる、貧しいときに、いやもっとひどい状態に戻ってしまったのです」


「それで魔王をつくったのか」


「ええ、人々を正しき生き方に導く必要があると感じた高名な錬金術師たちはその存在をつくりだそうとしました」


「それが完全体か」


「そうです。 だが暴走したその力によって多くの人々が死に古代文明の多くは失われました。 しかし残ったものはその技術をもとに新たな存在を作り出そうとしました」


(新たな......)


「それが我々です。 この世界も同じ道を歩んでいます。 おそらくまた技術が復活して、豊かになる。 そしてまた滅びへと歩むことになる。 だからその前に人々を導くのです」


「それに我が必要なのか......」


「あなたを無理やり取り込んだとしても制御できるかわかりませんからね。 このままこの世界を滅ぼしたくないのであれば、私に取り込まれて下さい」


「............」


 ディムリアは沈黙する。


「やめろディムリア。 そんな完全なものなんてこの世界に存在するわけがない......」


「そうです...... 嘘ですよ」


「......そうだ。 口車にのるな」


「ふぅ、わかってはいませんね。 今あなた方に選択権はないのです。 このままだと戦争はとめられませんし、あなた方も死にます。 ディムリアさんが犠牲になるしかないのですよ」


「......もし我が取り込まれたら、そなたは戦争もこのものたちの命も救ってくれるのだな」


「ええ、お約束します。 しなければあなたは私の邪魔をするかもしれませんからね」 


「ディムリア......」

 

「......よかろう。 我を取り込むがよい」


「ふふっ、決心がつきましたか。 では吸収します」


「ミリア! 蒸気だ!!」


「無駄ですよ」


 ミリアの魔法が放たれるとその場に蒸気に包まれた。 だが光が放たれるとディムリアはその場から消え去っていた。


「ディムリアさん!!」


「ディムリア!!」

 

「ディムリアさんが取り込まれたですわ!!」


「ふふふっ、力が漲ってくる。 これで私は完璧な存在となった!」


「......これで戦争を止めてくれるんだろうな」


「戦争を...... そうですね。 どうやら彼女は邪魔できないようだ。 その意思すら吸収してしまったようです」


「......やはり嘘か」


「ふふふっ、おろかな人間など滅んでしまえばよいのです。 私は完全な魔王ーーいえ神となった。 もはやこの世界のことなどどうでもいい。 その力を存分に使えるだから、人が存在しない理想郷をつくりあげます」


「そうか......」


「あなたたちももうまもる必要はありませんね」


 そういうと、グアレナはその腕をこちらに向ける。





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