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第五十四話 『潜入、地下水路。そして玉座の前で剣は交差する』──ディムリアとの誓い、今こそ逆襲の時。

「なんとか帝都にはいれたな」


 かなり調べられたが検問を通過できた。


「シュンさんだけ兵士がずっと首をひねってたですわ」


 ポケットにはいっていたミリアがいう。


「ひどいわ! あんまりよ!!」


「あんたたちが上玉だったからね。 この国の女性は、生きるのに必死で美容にも手が回らないから見映えがしないのさ」


「ふむ、それならばなっとくした」


「あんたはおまけだよ。 他のものがきれいだから仕方がなかったのさ」 


「うっさいな、わかってるよ。 それで式典は」


「帝都の中央、正午から始まる。 いくよ」


 おれたちは中央に他の女性たちと共にむかった。



 中央のそこには大勢の兵士たちが整然と行進し、その周りの街道を女性がきらびやかな衣装をきて拍手をして並んでいた。 奥から複数の馬車にひかれた高い黄金の台座のうえ、椅子のひじ掛けに肘をついたアディリム皇帝が座っている。


「......いた。 しかし兵士たちが多すぎるな」


「ああ、突っ切るのは無理そうだな」


「ええ、武器もありませんし...... ワイズさん大丈夫かな」


 ルードリヒとセリエスがそうはなす。


「......今は仕掛けられない。 やはり皇帝が城に戻ってからだ。 ナザリオが手を打ってくれている」


 式典が進み、皇帝ののった台車は城へとむかっていった。


「おうぞ!」


 おれたちは皇帝をおおうとする群衆の波にのり、ついていく。


「ナザリオだ!」


 細い路地からナザリオが合図を送っていた。 おれたちはその路地へとはいる。


「こっちだ......」


 ナザリオにつれられていったそこには地下への道があった。


「水路だな。 こんなところよくみつけたな」 


 くらい水路で水の流れが速い。


「ここにすんでいた住人を国外に逃がしたとき、教えてもらったのさ。 ここは幽霊がでるってね。 兵士たちも近づかないんだと......」


「ええ......」 


「なにを怯えているシュン。 皇帝のほうが恐ろしいだろう」    

  

「いや幽霊も怖いだろルードリヒ」 

 

「私は騎士だぞ。 そんなものは怖くはない」


「うわっ!!」


「きゃああ......」


「ほら」


「............」


 ルードリヒに叩かれた。


「バカなことしてる場合じゃないですわ」 


 おれたちは行き止まりまできた。 上に上る階段がある。 そこには鉄の格子がはめられている。


「この先が城か」 


「でも武器がないとあれは通れませんね」


 セリエスがつぶやく。


「ワイズが何とかしてくれるはずだ......」


 おれたちはワイズを信じてまった。



「......遅いな」


「やはり私が探してくるか」


 ナザリオが立ち上がる。


「なにかくるですわ!」


 水路の水からワイズがあらわれた。


「ワイズ!!」


「ふぅ、またせたな。 さすがに川からこの水路まで泳ぐのは大変だった」


「......すごいね。 かなり流れがあるのに」 

  

 ナザリオはあきれ、感心するようにいった。


「とはいえ、かなりつかれた」


「ああ、ワイズはここでまっててくれ。 おれたちで向かう」


「わかった。 ここはおれが死守する」


「私は街にでて脱出の算段をたててくるよ。 いいかい、金を払わずに死ぬんじゃないよ」


 ナザリオは微笑んでいった。


 おれは耳と目を増やして周囲をうかがい、上に人のいないことを確認する。


「セリエス、ルードリヒ、ミリアいくぞ」


「はい!」


「ああ!」


「行くですわ!」


 ルードリヒが鉄の格子をきり、上へとあがる。


 

「......おかしいですわ。 警備の兵がいませんですわ」


「ああ、城内にまるで人の気配がない」


「シュンさん、これは罠では」


「かもしれないな...... だが遠くまで見ても誰もいない。 罠だとしても皇帝にまでたどり着ければそれでいい。 ミリア、皇帝はいるか?」


「ええ、異様な魔力を感じるですわ。 あっちですわ」


「それなら進もう。 行くぞ!」


 おれたちは皇帝と対決するため、城内をひた走る。


(やはり、誰もいない。 罠か...... だがこれはチャンスだ。 やつさえ討てればディムリアを取り返せる)


「ここですわ」


 そう巨大な扉のまえでミリアがとまる。


「貴様らは...... 衛兵はどうした?」


 皇帝が椅子に座りそう表情も変えずにいう。


(皇帝は知らない...... 罠じゃないのか......)


「ディムリアは......」  


「これのことか」


 そう右手で宝石をこちらに見せた。


「みんな行くぞ......」


「無駄だと言っておろう」


「おれはそいつと契約してるんでね」


 おれがそういうと皇帝が立ち上がり、宝石を懐にしまうと剣をとった。

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