第五十一話 『仲間か勝利か──選択の余地は奪われ、そして皇帝が現れた』──見せつけるは、冷たい支配者の眼差し。
「ディムリアを吸収する!?」
「ええ、彼女の魔力は膨大よ、でも戦闘などに特化していない。 魔力もほとんど使いこなせていないの。 もし他の二体と戦ったら勝ち目はないわ」
「そんなことはできません! ディムリアさんはすごい魔法も使えますし、仲間です!」
「そうですわ! たいないところは私たちが補えばよいだけ!」
「......そっちのあなたはリアベールの子孫ね。 あなたの祖先、リアベールは魔王を倒したわ」
「ええ! ですから今回も可能でしょう!」
「......残念だけど、それは無理」
「どういうことだ?」
「彼女は理性を司る。 リアベールが魔王を倒せたのは、彼女が魔力を制御したからよ。 でなければ人間に魔王は倒せなかった」
「我が...... 魔王の弱点だった」
「そう、でも今回はその弱点がない。 普通に戦っても勝ち目はないわ。 でも魔法を司る私が彼女を取り込んでその力を使えばその二体とも戦えるわ」
沈黙が場を包む。
「......我を取り込めば、他の魔王を打ち倒せるのじゃな」
「ディムリアさん!」
「なにをいっているのですわ!」
「しかし、このまま他の二体と戦うのは無理じゃ。 何となく感じておった。 魔力があるのにまるで使いこなせない違和感...... まあ、ここは魔王として我が力をあたえよう!! その力で魔王を討伐してみせよ! かかかっ」
「......だめだ。 他の方法をとる」
「シュン...... よいのだ」
「だめだ。 他の方法がないとは限らない。 こっちには魔鉱宝石は未完成品もある。 戦える方法はあるはずだ」
「残念だけど、選択の余地はないの。 私は自我を失いたくないし、このまま取り込まれるのはいや、それがあなたたちに力を貸す理由......」
そういう魔法のディムリアが腕を伸ばした。
「みんな!!」
おれがそういうと同時に閃光が走る。
「これは、体が動かない!!」
おれの体が固まって動かない。 みんなも動けないようだ。
「あなたたちを傷つけるつもりはないの。 吸収するまでまっていなさい」
「だめだ! そんなことはさせない! 第二の器官、二層、分体」
おれは見えない分身を出して剣で切りつけようとした。
「やめよ......」
その前にディムリアがたつ。
「どけ! ディムリア!」
「ならぬ。 これからの戦いは負けるわけにはいかぬ。 我よりこのもの方が戦力になる」
「そんなこと! ディムリアさんを犠牲にして戦うなんてできません!」
「そうですわ! 必ず対処方法はあるはずですわ!!」
「セリエス、ミリアよ。 確実に勝たねばならぬ。 二人の魔王が何を考えているのかはわからん...... しかしどちらが復活しても世界にとって危機であるのはかわらぬ。 我はそなたらを失うのをみたくはないのじゃ」
ディムリアはこちらをみて微笑んだ。
「本当にいいのね。 あなたが納得しなければ前の魔王のときのように魔力を使うことができないの」
「......ああ、構わぬ。 ただ約束してくれ、人々をまもると......」
「わかったわ」
そう言うとディムリアの方に手を伸ばした。
「やめろ!!」
「!!!」
魔法のディムリアがディムリアを突き飛ばした。 その瞬間、光り輝き魔法のディムリアが赤い宝石となる。 それをいつのまにかいたグアレナが手にした。
「......両方とも手に入れるつもりでしたが、余計なことを」
「なっ、グアレナ!!」
「きさま!!」
ディムリアが魔法を放つ。 それをグアレナは宝石で防いだ。
「おっと、危ない。 奪われたこの間の借りを返しただけでしょう?」
「お前は、いや帝国はなんのために魔王を集めている!」
「それは皇帝にお聞きなさい」
「それを渡すのじゃ!」
「そんなことしていていいのですか? あなたたちのギルドでしたっけ、帰ったほうがよろしいのでは?」
「なんだと!?」
「ふふふっ、いまなら皇帝にお会いできるかもしれませんね」
そう笑いながらグアレナが姿を消した。
「これは......」
おれたちがクルゼクスにのり城に帰ると、そこは破壊されたあとがあり、ワイズとルードリヒが傷をおい倒れていた。
「ワイズ!! ルードリヒ!!」
「シュン...... そいつに気を付けろ!」
そう傷だらけのワイズが叫んだ。
「貴様がグアレナがいっていたシュンか......」
そう鎧姿の端正な顔をした若い男がこちらをみた。
「お前は......」
「余か、余はファルザー帝国、皇帝、アディリムである」
皇帝アディリムはその無表情で冷たい目でこちらをみる。
「皇帝!? なぜここに!!」
「しれたこと...... これとディムリアを我が手にいれに参った」
そう手にした魔鉱宝石をみせ、アディリムはさも当然のようにいった。




