第五十話 『理性の魔王 vs. 魔法の魔王』──魔王同士の対話で仲間が増えると思ったら、誰か減らされそうになった。
「おおお! こわいいい!! 高いいいい!」
「うるさいですわディムリアさん! 我慢するですわ、仮にも魔王ですわ!」
クルゼクスの背にのり火山を目指した。
「何をいうかミリア! 魔王でも怖いもんは怖い!」
「みるですわ! この臆病者のシュンさんでも静かですわ!」
「............」
「......そやつはとっくに気絶しておる」
「ふぅ、飛び上がってそうそうに気絶したから、醜態はさらさなかったぜ!」
「めちゃくちゃさらしてたですわ!」
おれたちは火山の火口付近へとおろしてもらった。 クルゼクスの上空からの息吹き《ブレス》でそこにいたモンスターたちは消し飛んでいた。
「シュンさん! ここに穴があります」
セリエスがよぶ。 そこには火山に横穴があった。
「どうやら、モンスターがここからでてきておるようじゃ」
『なれば、我はここでまっておる』
「くっ、クルゼクス来てほしいが、さすがに入れんのか」
「シュン、はやくいくぞ!」
おれたちは火山の洞窟へとはいる。
「これは......」
そこには人工的につくられたであろう通路がある。
「間違いないですわ。 遺跡、ダンジョンですわ」
「やはりリアベールの遺跡ですか」
「世代できには間違いなかろうな」
「だな。 なんか前の遺跡にもにているな。 うおっ! 下はマグマだ」
洞窟内の崖下をみるとマグマがわき立ち熱気をはなっていた」
「噴火したらひと溜まりもないですわ! 早くいくですわ!」
「クルゼクスさんがモンスターを倒してくれたから、特にいませんね。 シュンさんどうですか?」
セリエスにきかれ、増やした耳と目を遠くにだし周囲をうかがう。
「モンスターはいないな。 奥に道がある。 ミリア、ディムリア、魔力は感じるか」
「ああ、しかし薄いな」
「ええ、今までのところよりは薄いように感じるですわ」
「なら、リアベールの子孫に討たれた可能性もあるな」
「あっ、シュンさん、そこに部屋がありますよ!」
セリエスにいわれ、おれがその部屋を覗くと、祭壇のような部屋があった。 中央奥には石箱があった。
「ああ、間違いない...... いくか」
石箱に近づく。
「石の蓋があいている。 なかになにもない......」
「まさか、もう奪われたのですわ!」
「いや、妙な魔力を感じる...... うえじゃ!」
ディムリアにいわれうえをみると、部屋の天井に羽のはえた長い髪の女性が浮いていた。
「......なるほど、私ね......」
「くっ! みんな構えろ!!」
おれたちは構えた。
「まて......」
ディムリアは俺たちをとめると、まえにすすみでた。
「そなたは魔王ディムリアか......」
「ええ、あなたとおなじくその一つよ」
「我は戦いたくはない。 話をせぬか」
「......それは私も同じよ」
そういうとスーっと上空から目の前におりてきた。
(話せるのか、それなら共闘も可能か)
「どうやってでたんだ」
「封印の効力が弱まってたのよ。 だからでられた」
「それなのに、どこにもいかなかったですわ?」
「理由があってね...... それでそっちの私は他の魔王も手に入れたの?」
「ああ、こちらは四つ、ひとつは封印されちまってる」
「......なるほど、確かに嘘じゃなさそうね」
「ディムリアさん。 我々と共に戦いませんか。 魔王を集めているものがいるのです。 それを阻止したい」
セリエスが向こうのディムリアにそういう。
「......そうね。 それはこちらとしても望んでいることだわ。 私もせっかくえた自我を失いたくはないから」
「なるほど、これで奴らが仮に二つもっていたとしても、大丈夫だな」
「そうとも限らないのよ......」
羽の生えたディムリアは眉をひそめる。
「どういうことじゃ?」
「あなたに吸収されたものたちは、それほどの魔力をもっていなかったみたいね。 残りの二つはおそらく強大な魔力を秘めてるはず...... こちらの五つで同等というところかしら」
「そんな...... 嘘だろ」
「私たちはそれぞれ魔力を制御するものがちがう。 破壊や再生、理性、知識、統率、魅了、魔法にわかれているの」
「つまり我は魅了じゃな」
「ちがうわ、理性よ」
「いや、それもちがうだろ」
「なんじゃと!」
「私は魔法を司るの」
「魔法...... それじゃ奴らと戦うためその魔法をつかってくれ」
「......そうね。 でもその前に、そっちのディムリアを吸収させてちょうだい」
「はぁっ!!?」
そういう魔法のディムリアの目は冷たく光った。




