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第四十話 『帝国の影と、封印された錬金術』──禁書を巡る戦いの幕が上がる。

 外にでたワイズの部下の男たちとルードリヒ、セリエスが対峙する。  


「本当にいいのか。俺の部下もけっして弱くはない。 あの女はかなり剣を使うようだが、しかし女と子供じゃ怪我をするぞ」  


 そうワイズは眉をひそめる。


「あの二人なら平気だ。 それよりお前らのほうこそ二人でいいのか? あの二人相手に」


「ずいぶん余裕だな」 


 男たちとセリエスたちは剣を交える。 その瞬間二人の男は宙をまい、地面に転がった。 


「なっ......」


 みていた男たちは言葉を失う。


「こんなものか」

 

「正直、退屈です」


 ルードリヒたちはそういって剣をおさめた。


「今のは気を抜いただけだ!」


「次は俺たちが!」


「やめろ......」


 いきり立つ男たちをワイズがとめる。


「お頭...... しかし」


「わかるだろ、こいつらは手練れだ。 おれがやる。 いいかシュン」


(やつはやりそうだな)


「シュン、やらせてくれ」

 

「ええ、すこしは歯応えがありそうです」


 二人はそういった。


「わかった」


「お頭、やっちまえ!」


 ワイズとセリエスたちは対峙すると、鋭く打ち合う。


「なんだこれは......」


 その攻防はワイズの部下たちを静まらせた。 三人は打ち合い、なかなか勝負がつかない。


「あのワイズという男、二人を相手にここまで戦えるのか、驚きだな」


「ああ、ワイズはほかのやつとはちがうよ。 なにせ元ブレマス王国の騎士だからね」


 ナザリオがそばでいう。


「ブレマス王国...... かつて東にあった小国だな」


「確か、指定災害モンスター【アビスケルベロス】に滅ぼされたってきいたけど......」


 パニエとメイシァルが目を見る。


「ああ、それで部下を率いてモンスター狩りをやってたんだが、どうもシュンに興味をもったらしくてね」


 ナザリオは三人よ戦いを見ながらそういう。


「まさか、あいつおれに復讐でもしろっていうのか」


「さあね。 でも強いだろ」


 確かに三人の戦いは決着がつかない。


「しゃあない。 そこまでだ」

 

 おれは見えない腕を使って三人の剣をとめた。



「悪かった、悪かった。 あんたらは強いよ」

  

「当然じゃ、なめるでないわ!」    

  

 ディムリアは自分手柄のようにワイズの部下たちをあおっている。


「まあ、そのぐらいにしておいてやってくれ」


 ワイズはそういってわらった。 おれたちは城で話をしていた。 


「確かにお頭とここまでやりあえるとは......」


「ああ、子供と女二人で、俺たちなら数人でも無理だ」


「そうだな。 かなりの使い手だ」


 ワイズの部下もその強さに納得したようだった。


「ふっ、どうやら納得したみたいだな」


「いや、お主はなにもしとらんじゃろうが」


「それでおれたちを試してどうするつもりだった」


「......そうだな。 単刀直入にいう、あることのために力を借りたい。 それが叶えばここで働こう」


「やはりか。 そのアビスケルベロスとやらを倒して国の復興か。 そんなのは無理だぞ。 リターンとリスクが釣り合わない」


「ちがう。 もはや国は復興できるレベルじゃない荒廃ぶりだ。 モンスターを倒したとて復興など現実には不可能だ」


「ならなんだ?」


「......その前に国が滅んだ理由をはなそう」


「モンスターに滅ぼされたんだろう?」


「ああ、帝国の放ったモンスターにな」


「はぁ!? 帝国!?」


「なぜプレマスに帝国が? 確かに小国ながら豊かな国だけど、侵略などしても他国との緊張を高めるだけだろ」


 パニエがいう。


「ああ、ほかの国々が同盟しているなか、そんなことが他国に知られれば一気に警戒と反感が高まり、貿易や戦争がおこれば帝国といえど耐えられぬはずだ」


 ルードリヒがそういうと、ワイズはうなづいた。 


「そうだな。 鉱物資源はあまりないし、農地なども小さくモンスターで荒らしてしまえば、ほとんど価値はない。 がプレマスには古代より錬金術師がおおいんだ」


「そういえば、そうだね。 家の家系もたどればもとはプレマス出身だよ」


 ギガルトは怪しげな紫の煙を出す瓶をもちながらいった。


「ギガルト頼むから城を吹き飛ばすなよ。 それで、帝国が滅ぶかもしれないリスクをおかしてまでその錬金術を手に入れようとしたってことか?」


「......そうだ。 プレマス王家には代々伝わる禁忌の錬金術の書があった。 モンスターがあらわれ国を滅ぼされたとき、封印されていた場所から書が持ち出されたのがわかった。 だからそれが目的だろう」


「禁忌...... なにがかかれているんだ!!」


 ギガルトが興奮気味に詰め寄る。


「い、いや、内容までは......」


「それでモンスターを倒さないのに、おれになにをしろというんだ?」


「禁忌の錬金術の書の破壊だ」


「ええ!! もったいない!!」


「そんなのもう使われているだろう?」


「いいや、そんな簡単じゃないらしい。 その錬金術の書は今はなくなった古代語でかかれていて解読はまだのはず...... それに」


「なぜそうわかる?」


「......お前に会わせたいかたがいる」


 すこし沈黙したあと、おれをみてワイズはそういった。



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