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第三十八話 『リアベールの名が導いた、もう一つの真実』──竜の咆哮は守るためにあった。

「なっ! こいつが!」


 目の前にこちらを見下ろす黒い翼竜が金色の目がこちらを見つめていた。


「ロストワイバーン、大きすぎですわ!!」


「シュンさん! どうしましょう!!」 


「魔法を! シュン! 時間を稼げ!」


(くっ、こいつらをどう逃がす......)


『貴様らは、なぜここにいる......』


 その言葉に我にかえる。


「えっ!? 誰か...... まさか」


 ロストワイバーンをみるとその口を開けている。


「会話できるようじゃな」


『......なぜここにいるととうている。 返答次第ではその命をもらいうけねばならぬ......』


(そうかアラクネみたいに高位のモンスターは会話できるやつもいるんだったな。 それなら、何とか生きてかえれるかもしれん。 しかしどういって逃げる......)


「おれたちは別にお前を討伐にきたわけじゃない」


「いやらやれればやるのだろう?」


「し、シャーラップ!」


 ロストワイバーンはギロリとその巨大な目をこちらに向けた。


「い、いや、そうそう......」


(もうやるしかない...... 骨をその頭に打ち込めば)


 おれはみんなに目を合わせる。 緊張感が高まる。


(よし...... 今)


『動くな...... 貴様、何かしようとしているな。 いままで同じ様にしたもの達がどうなったか教えてやろうか』


 ロストワイバーンは口をあけると、その口内が青く光っている。


「息吹き《ブレス》じゃ! 食らえば死ぬ! やるぞシュン!」


「やるしかないですわ!」 


「いきましょう!!」


「やめろ。 わかった...... なにもしない。 だからこいつらは見逃してくれ」


「なっ!? 本気でいっておるのか!」


「なにいってるですわ!!」


「そうですシュンさん! 戦えば勝機はあります!」


「......やめろ。 あれは耐えられない。 わかるだろ」


『ほう、死ぬ覚悟か...... だがそれは勇気ではない蛮勇だ』


「ちがう。 おれはそんなたまじゃない。 ただここにきたのはおれのワガママだ。 それでほかのやつを巻き込むのは主義じゃないってだけだ。 だからこいつらは見逃してくれ」

 

「エクスプロージョンディストラクション!」


「ファイアストーム!」


「うおおお!!」


 魔法を使おうとするディムリア、ミリアと、剣を抜いたセリエスを見えざる腕で組伏せた。


「やめろ...... 死ぬつもりか」


「でもシュンさん!」


「そうじゃ! 勝てずともやるだけはやるべきじゃ!」


「そうですわ! あなたが死ぬなんて!」


「おれの犠牲でこいつらを生かしてくれ」


『......そうか、ならば貴様の命でそのもの達を解放しよう』


「ならぬ! 魔王が命ずる!」 


「そうですわ! あなたの守護が私の役目ですわ!」


「だめです!! そんなことは!」


 ロストワイバーンの口が目の前にせまる。


(ちっ、ろくな人生じゃなかったが、最後ぐらいカッコつけて死ぬか。 でも本当は死にたくねぇよ......)


わらべ、その剣』


 ロストワイバーンはセリエスの落ちた剣をみている。


「ぼくは勇者リアベールの血をひくもの! その人に手をだせば貴様を必ず殺す!」

 

「やめろ! セリエス!」


『......リアベールの、そうか』


 ロストワイバーンは口を閉じ伏せてセリエスの顔をみた。


『確かに、面影がある』


「お前はリアベールを知っているのか」


『......ああ、私がまだ幼い頃、ワイバーンを狩るものたちから命を救われた』


「リアベールが!」


 セリエスは驚いている。  


『お前達はここに何をしに来た』


 おれたちは顔を見合わせ、うなづくと事情をはなした。



『なるほど、魔王の復活か......』


「ロストワイバーンは...... 名前はあるのか」


『クルゼクス、そうリアベールから名つけられた』


「そうか、クルゼクス、なんで助けられたリアベールの国を滅ぼしたんだ」


『滅ぼしてなどいない...... 私がいないあいだに誰かによって滅ぼされた』


「誰か!? 人間の戦争か!」


『いや、ちがう。 みたこともないモンスターを操るものだった』


「みたこともない? そいつらがなぜリアベールの国を滅ぼしたのじゃ」


『わからぬ。 ただ何かを探して回ったあとがあった。 そしてモンスター達がこの地を闊歩していた。 私はそのモンスターを排除した』


(探して...... まさかこれが目的か)


 おれはもっている手帳をみる。


「それが青い炎が一面を焼き付くしたとされる事案ですわ」


「なるほど、それで滅ぼしたと誤解されたのですね」


「クルゼクスはこの国をどうしたいんだ?」


『どう? 私はリアベールに恩がある、だからこの地を荒らすものを排除する』


「それなら別に人間がすむのを排除するわけではないのか?」


『ああ...... この地がまもられればかまわない』


「それならラーク卿にいってみるか」


「そうですね。 倒す必要がないならそれに越したことはないです。 リアベールが助けたのなら、ぼくとしても戦いたくないですし」


 そういうセリエスをクルゼクスは優しい眼差しでみている。


 おれたちはラーク卿に報告にもどった。



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