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第二十一話 『燃えぬ森と糸の守護者』──アラクネ討伐、光と幻腕の奇策。

 暗い樹海のなか、アラクネを探して歩き回る。


「おかしいな。 なにも動いているやつがいないぞ」


 耳を増やして聞いてみるも動いているものを感じない。


「そんなはずはない。 クモたちがいるはずだ」


 ナザリオは周囲を見ながらいう。


「木々が枯れていないから生きているのは間違いない。 どこぞで隠れておるのじゃろうな」

 

「地面に生物の骨がありますね」  


 そこにはまだ新しい動物の骨が散乱している。


(どこかで隠れていて狙っているのか)


 ガサッ


「なにかいます!」


「さっきまで聞こえなかったのに!」


「上ですわ!」


 上を見上げると無数の巨大なクモがいた。 それは木々の間の空中に浮いていた。


「飛んでいる!」


「いや木々の間に糸をはってその上にいたのですわ!」 

 

「音が聞こえなかったのはそのせいかよ!」


「くるぞ!」


 上から糸をたらして巨大なクモが降りてくる。


「ミリア、魔法を! ディムリアは温存してくれ!」


「わかったですわ!」


 炎で迎撃するといくつかのクモは地面に落ちた。 だが数が多く気がつけば地上からも近づいてきていた。


「くそっ! 囲まれてる!」


「くくくっ、生きのいいえものね」


 そう木々の間から他のクモの数倍はあるクモがあらわれた。 その上半身は女性のようだ。


「モンスターがしゃべってる!?」


「そうじゃ、高位のモンスターには言語を介するものもおる」


「そうなのか。 それなら話をしてみるか。 すまないがここからでていく気はあるか......」


「お前は状況がみえていないのかい。 誰が住みかを手放すものか」


「話し合いに応じない場合、戦いになるがいいのか」


「くくくっ、お前はエサと話し合いなどするのか」


「そうか、なら死ね。 スピリットシュート!!」


 ナザリオの手のひらから光弾がアラクネにはなたれる。 だが、その前にクモが降りてきて光弾を弾いた。


「くくくっ、魔法はこの子達には効かないわよ」


「第二の器官セカンドオーガン!」


 おれは腕を増やして矢をはなった。


 アラクネをまもるようにクモが降りその体に矢がささる。


(くそっ! 貫けない!)  


「かなりの威力だけどおしいわね。 この子たちは勝手に私をまもるわ」


「なれば我が魔法で!」


「いや、確実にあてられるまでまて!」

 

 ディムリアをとめる。


「さあ子どもたち食事の時間よ」  


 更にクモたちがまわりの茂みからでて迫ってきた。


「直接あてるのは無理でも地面には放てるはず! ミリア、土で煙幕を!」


「わかりましたですわ! ウィンドシクル!」


 ミリアの風魔法が地面にあたり激しい土煙をおこした。


「そんなことをしても無駄よ。 でてきたら毒のえじきよ」


 そうアラクネの周囲をガサガサとクモがうごく。


「どうします! うかつにでれません!」


「おれの矢でも貫けない。 やはりディムリアの魔法だ。 でも魔法も物理も強いあの子グモがアラクネをまもる、さきにあれを何とかしないと...... ナザリオさっきの魔法は?」


「光魔法だ。 しかしあのクモには効かないぞ」


「......視界を奪えるか」


「空中ではぜさせればな...... だが、いったい何をするつもりだ」


「おれが名前をいったら使ってくれ」

 

「......わかった」


「土煙がとけるですわ!」


「みんな片眼をとじておけ、セリエス、ナザリオが魔法を使ったら、アラクネに向かってくれ!」


「はい!」


 土煙がとけると、周囲をぐるりと大きなクモたちが埋め尽くしていた。


「子どもたちエサの時間だ」


 そうアラクネがいうと、クモたちがこちらに迫る。


「ナザリオ!」


「スピリットバースト」


 ナザリオのはなった光が空中ではぜると眩しく輝く。


「くっ...... 目が!!」


 つぶってた片眼をあけると、目をおおうアラクネにセリエスが走りながらクモを切っている。


「第二の器官セカンドオーガン


 俺もあとをおう。


「くっ! こんな光ごときで! なめるな!」


「うわっ!!」


 アラクネが口から糸をはくとセリエスの大剣をからめとった。


 おれはその後ろから矢をはなつ。


 アラクネの前に数体の子グモが現れその矢を防いだ。


「残念ね。 かなりの威力みたいだけど、この子たちを貫けなかったみたいね」


「そうだな!」


 おれは隠していた見えない腕に持たせた剣をふり、アラクネの前にあらわれた子グモを切り裂いた。


「いまだ! ディムリア、ミリア!」


「はい! ウィンドシクル!!」


「グレートプロミネンス!!」


「ぐわあああああっ!!」


 二人の魔法がアラクネに当たると、アラクネは炎で悶える。 しばらくしてアラクネが動かなくなる。 


 すると木々が腐枯れ始め樹海はすぐに跡形もなくなっていった。



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