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第十五話 『魔王のせいで金が消えたので、冒険者ギルドを立ち上げます』  ──働きたくない俺の、働かざるを得ない日々。

「いたい! いたい!! いたい!!!」


「うるさいですわ! がまんしなさいですわ! 生きているだけましなのですわ! さっきまで死にかけてたんですわ!」


 起きたおれが気づくと、体を包帯でぐるぐる巻きにされベッドにねかされていた。 あのあと目が覚めたセリエスとミリアにおれは森からつれだされたようだ。


「しかたないの。 そなたは体がボロボロじゃったからの。 まあ我もじゃが......」


 そうとなりのベッドで寝ているミリアがいった。


「でもすごいです! あの固いバジリスクをどうやって倒したんですか!」


 尊敬の眼差しでセリエスが身を乗り出してきいてくる。


「ああ、セリエスの剣できりつけた」


「ええ!? でもあれは魔力を使って振るってるんです。 とても常人では扱えるものではないですよ。 腕をふやしたのですか?」


「ああ、それもある。 更に心臓をもう一個つくって血流をふやしたんだ。 筋力をあげられるかとおもって、体中に血液を流せれば持続力もあがるはずだったからな」


「そなた、心臓までつくれるのか...... なんの魔法じゃ?」


「ばかですわ! そんなことするから血管がボロボロになったですわ! へたしたら血流で心臓が破裂しますわ!」


 ミリアが叩きながらそういった。


「いたたっ、それで報償金は?」


「ええ! 王様から大金が払われました!」


 賞状と紋章、そして金額のかかれた紙をセリエスはおれにみせた。


「おお!! こんなにあればもう働かなくてもいいな!!」


「ならば我の城をたてよ」


「ああ! 建ててやる! セリエスもあの剣だめになったろ」


「え、ええ、石化して一部、砕けてますから」


「新しいのつくってやる!」


「ええ!! いいんですか!」


「まかせろ!」


「またそんな使い方してたらまたなくなりますですわ」


「こんな額だぞ! そんな簡単になくならない! 勝った! おれたちは勝ったぞ!! 勝ち組だ!!!」


 おれは歓喜した。 それから連夜宴を開いた。



「おかしい...... あれほどあったお金が十分の一になっている」


 おれは残りの財産を数えてて驚愕の事実をしった。


「当たり前ですわ! 連日の散財してたらなくなるですわ!」


「いや、一生分は余裕であったぞ! なんでこんなに......」


「そういえば確かにそんな簡単になくなるはずはないですわ......」


「宴を開いているうちに盗まれたか! くっ!」


「くっ! じゃないですわ」


「でもなくなったのが事実なら大変です」


「おーい、そなたら来てくれ!」


 そのとき、ディムリアが部屋にはいってきた。


「なんだ、今取り込み中だ」


「城の建設が始まっておる。 みにくるがよい!」


「城? おまえまさか!!!」


 見に行くと、町の外れに大勢の作業員が作業していた。 土台がつくられていた。


「これはどういうことだディムリア!?」


「ん? 我が城じゃ」


「我が城じゃ、じゃない! 何かってに城をたてている! お前か、勝手に金を使ったのは!」


「なにをいっておる? そなたが城をたててもよいといったではないか」


「あー、そういえばいってたですわ」


「いっていましたね」


「た、確かにいった。 だけど本当に城なんてたてるなんておもうか! 冗談にきまっているだろう!」


「ディムリアさんにそんなこといっても無駄ですわ。 冗談がつうじる相手ではないですわ」


「くっ! なんてこった一生働かずにすむとおもったのに。 このままでは質素に暮らさねばならなくなった」


「そんなことより家具や調度品がいる」


「いらん!」


「ばかな! 地べたに寝ろというか! そなたは我を養う誓約があるのじゃぞ! ちゃんと養え!」


「養うだけでーす。 お金がないんで無理でーす」


「くっ...... ならばこの城で金を稼げばよかろう。 部屋はある」


「城で? なるほど宿か食事処か。 いや補修などの維持費を考えるとほかにもなにかいるな。 ミリア、セリエスなにかないか」


「んー そうですわ。 武具を売ればよいのではないですわ?」


「えーと、それならモンスターを売り買いできればいいですかね」


「武器屋にモンスター屋か。 なるほどな」


(そういえば、異世界といえば冒険者ギルドだな。 この世界にはないが、おれが冒険者ギルドを作ればいいのか)


「よし! 冒険者ギルドをたちあげるぞ!」


「冒険者ギルド? なんじゃそれは?」


「冒険者、まあ依頼をうけて仕事をこなすなんでも屋だ。 モンスターの討伐、採集、要人や輸送の護衛、なんかを受けてこなす仲介業者だ」


「確かにそんな仕事があれば依頼人とうける人たちはいそうです」


「でも許可をえないといけないですわ」


「うむ、王様に許可をもらいにいくか」


 おれはギルドを立ち上げるため、許可を得るために王様にあいにいくことにした。


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