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第十話 『公爵の嘘は暴かれた、次は金の魔法を探しに行く』──働かずに生きる夢、再始動。

「確かに王家の剣ですね、では預かりましょう」


 屋敷からでたおれはラーク卿に剣を渡した。 ラーク卿はかなりの地位にある貴族らしく、ことの顛末を王家に伝えるといってくれたからだ。 


「お願いします。 それでアバレスト公爵は今後どうなりますか?」


「この事を知らせれば王家から何らかの処罰をうけると思います。 現在の彼は祖先の罪に関係ないとはいえ、手記を使ってセリエスくんを騙して宝珠を手に入れましたしね」


「なるほど」 


(アバレスト公爵と対立したら、ここから逃げないといけないと思っていたが助かったな)


「ここだけの話、アバレスト公爵は問題行動がおおかった。 他国とのつながりも...... それで私は王家より調査を命じられていたのです」


(それで協力してくれたのか。 ラッキー!!)


「それでセリエスの処遇は?」


「そうですね。 少なくとも暗黒騎士と呼ばれたリアベールの汚名はなくなるかと思います。 その事も王家に伝えることを約束します」


「ありがとうございます」


「ではシュンどの私はこれで」


 そういって、ラーク卿はさっていった。



「ありがとうございますシュンさん。 これでリアベールの汚名をそそぐことができます!」


 セリエスがそう涙ぐみあたまをさげた。


「そうじゃ! やつはそのような卑しいものではない」


「? よくわかりませんが、ミリアさん、ディムリアさんもありがとうございました。 それでみなさんはこれからどこに?」


「ああ、ある魔法を探しにベルタ山脈にいこうとしている」


「それならぼくもお供させてください。 せめて恩返しをしたいのです!」


「危険ですわ」


「そうじゃな。 そなたがそこまでする必要もあるまい」


(そうだな...... いくら強いとはいえ子供、さすがについてきてもらうわけには......)


「ですが、あの山脈には強いモンスターがすくうとききます。 今までも大勢がなくなっているはず......」


「......なるほど、ではともにいこう!」


「......サイテーですわ」


「......サイテーじゃな」


 二人はおれをつめたい目でみている。


「な、何をいっている! なにも礼をうけねば、セリエスが居心地悪いだろうが!」


「はい! ではお供します!」


 そうセリエスは満面の笑みでこたえた。



「ここがベルタ山脈か」


 巨大な山のすそのにきていた。 山の頂上が雲の上にありみえない。


「ディムリア、本当にここに魔法があるんだろうな」


「むろんじゃ! 嘘なぞつかぬ。 ついてたら我もしぬからな」


「......この山にはすごいモンスターがいると噂があるですわ」


「はい入ったものは例外なく死ぬ...... と」


 セリエスとミリアは緊張した面持ちでこたえた。


「だがやるしかない! おれの夢のために!」


「はい! なにかわからないけどがんばります!」


「そう夢じゃ! わかものはそうでなくてはならん!」


「......はぁ、そのやる気をほかのことに向ければいいのにですわ」 


 おれたちは山の洞窟へとはいっていった。


「これは...... かなりのモンスターがここにいるな」


 耳を増やして確認すると、迷路のような洞窟内に無数の音が聞こえていた。


「ですが、この音が反響する洞窟だと音が聞き分けられるのですわ?」


「ふふふっ、聞いてるだけじゃない。 匂っているのだ」


「耳と鼻ですわ?」


「ああ、だが耳は二つだ。 第二の器官セカンドオーガンをひとつさらに増やせるようになったのだよ。 それで嗅覚も倍だ」


「それでも三つですわ。 やっと人並み以下になっただけですわ」


 あきれたようにミリアがいう。


「うるさいなぁ、成長はしたんだからほめてくれよ。 おれはほめられて伸びるタイプなんだよ」


「うむ、わかった。 かわりに我がほめてやろう。 そなたは性格はひねくれている上姑息である、ゆえにアバレストのときのように同族を見抜く力はあるな」


「全然ほめてない!」


「シュン! なにかきますですわ!」


「し、しまった。話をしていて聞き逃した!」


 洞窟を黒い巨大なものが高速でちかづいてくると、腕を捕まれ目の前に牙がみえた。


「うわっ!!」


「この!」


 セリエスの剣が振るわれると、黒いそれは機敏に飛んでかわした。 それはコウモリだった。


「なんだ!? こいつコウモリか!」


「シャドウバットですわ。 噛まれたらその毒で全身から血を吹き出して死ぬですわ!」


「なにそれ、こわっ!! あれ、どこにいった!?」


「わかりません!」


「シャドウバットは影のように姿を消すですわ!」


「みえないのか! くそっ!」


 周囲をみても姿はない。


(やばいな。 噛まれたら終わりだ...... しかし姿がみえないと切ることもできん。 匂いはするがこう近づかれるとわからない。 コウモリは超音波で物体を見分けるんだったな。 できるか......)


「第二の器官セカンドオーガン!!」


 羽ばたく音がきこえる。


「わっ!!!」


「ギャアアアッ」


 コウモリは姿を現して右往左往している。


「セリエス!!」


「はい!!」


 セリエスは大剣でコウモリを切り裂いた。


「ふむ、口を増やしたのだな」


「ああ音で混乱させるためにな、そして肺も増やして声量をあげた」


「肺!? 体内の器官もできるのですか!」


 セリエスは驚いている。


「まあおれもやれるかもと思っただけだけどな。 なんかできたな」


「臓器はかなり複雑ですわ。 正直つくれるものはしらないですわ」


「そうなのか。 まあこれで更に汎用性があがったな。 そうだ! 胃を増やして大食い大会でも勝てるぞ! この世界にないのかそういう賞金のでる大会」


「ありませんですわ! そんなくだらないこと考えてないでまともな使い方を考えるですわ!」


 ミリアが怒る。


(まあな。 ただ内臓もつくれるなら、よりいい使い道があるはずだ) 


 おれはそう思い洞窟をあるく。



 

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