鈴の音
あなたの好きな音、私があなたの好きな音
鈴の音色
山に向かう男の音色
熊よけの鈴をあなたは私にそう語った。
馬鹿な人。
山なんて危険なところに向かうことを男の道だなんて。
馬鹿な人。
そんな男を憧れに、美しく見えて、その後ろについて行こうと思った馬鹿な女。
私の先に進むあなたは、ついには私を置いていったの?
山を超えて、一体どこに行ったのかしら?
そんなあなたに惚れた私はどこに行けば良いのでしょうか?
あなたについて行った山で見た清水、あの美しさを私は誰と分かち合えば良いのでしょうか?
私はここでどれほど待てば良いのでしょうか?
貴方が居なくなって、時の移ろいは早くなりました。
あなたを置いて、私はどこに行こうというのでしょうか?
私の脳裏にはあなたの涙がいつだって残っています。
男らしいあなたの情けない涙。
私が惚れたのはどちらなのでしょうか?
いつだって山を愛したあなた。
私よりも山を愛したから心中なさったのかしら?
いいの。2番目でも。そんなあなたを愛したのだから。
私はこの子と待つの。
だからね。
早く帰ってきてね。
私たちはずっと待ってるの。
大好きな人。
何年待ったのかしら。
私たちはずっと待ってたの
今でも帰ってこないの。
山はいつまで捕らえてるのかしら?
ずっと待って、もう老けてしまったよ?
歌いながら、手紙も書いてたの、旅立った山の絵も描いてたの。
ねえ?いつ戻ってくるの?
お母さんはもう年老いてしまったよ?
お父さんを待って、ただただ待ってるの。
ねぇ?いつ戻ってくるの?
お父さんの鈴の音色。
もう忘れてしまっているのに、脳裏に浮かぶの。
お母さんは鈴の音色を辿ってお父さんのところに行こうとするの。
あの山に、あの山の先に。
あの山の向こうから、鈴の音色が聞こえるの。
こちらの作品はサザンオールスターズの『山はありし日のまま』という曲をを聞いて思いついた作品です。
どうぞ曲と共にお楽しみいただければ幸いです。




