魔物の仲間
勇者は、村人に見送られたあと、魔物の森を駆け抜けました。
その間、おそって来た魔物を出来るだけ多く、薙ぎ払い、そうするうちに勇者はどんどん強くなっていきます。
森の中心部にさしかかったとき、魔物の森の主が勇者の行く手を阻みました。
「よくも我の森を荒らしてくれたな、汚らわしい人間め」
魔物はそう言って、憎しみの目で勇者を睨むと飛びかかってきました。
勇者はそれを間一髪でよけ、魔物の主に蹴りをお見舞いします。
魔物は大きく後ろに吹っ飛びました。
そこに勇者はすぐ飛びかかり、馬乗りになって、聖剣を突き刺そうとします。
「ま、待ってくれ! 降参だ!
我はそなたの手下のなる! 我は強いから力になれるぞ」
「魔物の言葉など信じられるものか。今まで散々、人間を苦しめてきただろう。
お前たちは嘘しか言わない」
「本当だ!我はそこらの魔物とは違う! 一度でいい、信じてみてくれ」
泣いて縋る魔物に勇者は少し迷ったあと、一度だけ信じてみることにしました。
魔物だから全員が悪とは限らない。たった一度だけ信じてみよう。
そう思ったのです。
そうして勇者は魔物の森の主を引きつれ、森を進みます。
いい感じじゃない?
初めて書くにしはよく書けてるはず。
漢字が難しいけど、辞書で調べるのも楽しいかも。
やっぱり勇者は正義のヒーローだ!
そして正義のヒーローは剣も強いけど、やっぱり心も強い。
魔物の森の主を引きつれた勇者は、魔族領に向かって、突き進みました。
手下の魔物は言葉通り、勇者を裏切ることはなく、率先して魔物を倒していくではありませんか。
その上、手下の魔物はとても強く、勇者が魔物を切り伏せる前に敵の魔物の首元を噛みちぎっていきます。
そうして勇者と手下はようやく魔族領へと足を踏み入れました。
魔族領は一見、人間の国とさほど変わりありませんでした。
そこには魔族の人たちの村や街があって、人間と同じような生活がありました。
ここにも善い魔族たちはいる。そんな魔族たちの生活がある。
それでも僕は人間の平和のために、魔王を討ち取らなきゃいけない。
勇者はぐっと拳を握ると、もう一度決意をしました。
姿を隠して、勇者は手下の魔物を引きつれ、魔族領を奥へ進んでいきます。
そんな途中の道での出来事でした。
勇者は幼い魔族の女の子が、魔族に無理やり連れ去られていくところを目撃してしまいます。
これは魔族の問題だ。勇者である僕には関わりのないことだ。
でも……勇者は勇者で、正義でなければいけない。
そこに人間も魔族も関係ない!
勇者は立ち上がります。手下の魔物を引きつれ、魔族が女の子を連れ去った大きな塔へとたどり着きました。
塔の前には誰もいません。
勇者と手下の魔物は塔の中へと突撃しました。
高い高い塔の上、そこに女の子はいました。
女の子を救出して、あとは逃げるだけです。
けれど、そう簡単にはいきませんでした。
塔を下りている途中で、女の子を連れ去った魔族と鉢合わせてしまったのです。
手下の魔物が魔族に飛びかかります。
その後ろから勇者が魔族に斬りかかりました。
魔族は手下の魔物に腕を噛まれながらも、どうにか勇者の剣を避けます。
狭い螺旋階段は塔の外壁に沿うようにあって、中央は空洞。
落ちたら、一貫の終わりです。
腕を必死に噛んでいた手下の魔物でしたが、魔族が大きく腕を振り払った反動で外壁に体をぶつけてしまいました。
勇者と魔族が距離を置いて、じっと対峙します。
先に仕掛けたのは魔族でした。鋭い爪で勇者に襲い掛かります。
勇者はそれを剣で受け止めますが、相手の強い力にどんどん中央へと押されていきます。
このままでは落ちてしまう……!
そこに手下の魔物が魔族へと飛びかかりました。
勇者は尻餅をついてしまいます。すぐ後ろには断崖。
手下の魔物と魔族は取っ組み合いになっています。
勇者は勇気を振り絞って立ち上がり、手下の魔物に加勢しました。
そして最後は魔族を階段の中央まで追い詰めると、剣を振りかざしました。
魔族は斬られた衝撃で、空洞の下へと落ちていきます。
手下の魔物と勇者は息も切れ切れになって、座り込みました。
「よくやった勇者。かっこよかったぞ」
「君のおかげだよ、本当に助かった」
こうして二人の間には小さな友情が芽生えました。
魔族の街へ無事、女の子を連れていくと、女の子の両親が涙ながらに感謝をしてくれました。
女の子は別れる際、勇者の頬にキスをします。
「素敵な勇者様。本当にありがとう!」
勇者は自分の選択を心から満足しました。
「今日はこれでおしまい」
やっぱり勇者は女の子にもモテて当たり前だよね!
正しい行いのために勇気を出して、立ち向かう。
これが正義のヒーローのあるべき姿だよね。
「あれ?」
こんなところにイチゴのキャンディーだ。
いつからあったんだろう?
嬉しいな、久しぶりに甘いものが食べれる。
そういえば、明日からパパとママは旅行に行くんだっけ?
レジ―のお世話を僕がしなくちゃ。
おばあちゃんもいるけど、足腰が弱くなってるみたいだし。
今日は早く寝よう。