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キミと見たライブの景色  作者: NO NAME
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過ごす時間

塾の日は授業の前の1時間は至福の時間になった。

月、水、金は急いで学校から帰宅して毎回欠かさず1時間前にはベンチに座って待っている。

あきちゃんは電車で20分くらいかけて通っているので多少遅れる事があったがお互いがこの1時間を重要に感じているので欠かせない日課となった。

塾がない日が寂しいと感じるほどだ。


一緒にいられる時間はかけがえのない時間で、お互い時間を大切に楽しみながらたくさん話した。

音楽の話はもちろんの事、学校の事や他の趣味の事、家族の事や将来どうなりたいなどの話までしてお互いの事を次々と理解し合った。


この塾では4年生と途中入塾者は5月に入ると1週目の土曜日に全員塾に集まりIQ診断をする。

単純に知能指数を測定するだけではなく、特別な知能を生まれ持つ「ギフテッドチャイルド」と呼ばれる天才を見つけるために行われるらしい。


僕はそのギフテッドチャイルドに選ばれた。

IQ140以上と測定されたのだ。


ギフテッドチャイルドとは、IQ130を目安に生まれ持った高い知能を持つ子を指す言葉である。

選ばれた子達は塾の中でも少し特別扱いになる。

猛勉強しなくても学力が遅れる事がなく、平気で授業についてきてしまうため宿題などを忘れても、酷い場合はやって来なくても特に怒られず免除されるのだ。

成績が少し落ちても土曜日の補習1回ですんなり取り戻す。


先生達も安心しきっているのでピリピリした雰囲気に巻き込まれず、気楽に塾に通えるのですごく魅力的でのびのびと授業が受けられる。



あきちゃんに選ばれた事をすぐに報告した。

『おぉっ!やるじゃん♪じゃあこれから自習室を毎週つかおー。

あきも去年選ばれたんだよ。すっごい先生達の待遇が優しくなるから便利だよ。』

あきちゃんも1年前に選ばれていたみたいなのだ。


あきちゃんは僕よりも2段階くらい上の素質で、この塾では最上級の天才だそうだ。

ギフテッドチャイルドとして認められると水曜日の授業は自習室で自分のペースで勉強する事が認められている。

僕達は2人共ギフテッドチャイルドとして認められているので迷わず水曜日は自習室で自習をするようになり、会える時間も話せる時間もたくさん増えた。


水曜日は通常教室は学力定着のための反復試験をしている曜日なので僕達にはその必要がない訳だ。

その水曜日に好きなようにのびのびとあきちゃんと一緒に勉強が出来るのだから素晴らしい。

あきちゃんと横並びに並んで座り、イヤホンを片方ずつして音楽を聴きながら好きなペースで一緒に勉強するようになった。

あきちゃんの横にいるとあきちゃんは僕にわかりやすく勉強を教えてくれるので僕の学力が上がるスピードはみるみる加速する。


あきちゃんに教えてもらえると嬉しくて、いつもより勉強が楽しくなり先生に教えてもらうよりも深く理解することが出来た。

あきちゃんの勉強の速度を見ていると、その天才ぶりが目につき自分の無能さが目立って嫌になるが、そんな想いをするのも初めての経験で少し新鮮な感じがした。

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