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キミと見たライブの景色  作者: NO NAME
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ラストライブ

ボーカルがいないライブなんて経験がない。

もちろんそんなライブは聞いた事すらないが、開催する事になったのだ。


10月3日12時

ついに開場時間を迎える。

開演は13時からだ。

開演までの1時間の時間に次々とお客さんがライブハウスに流れ込んだ。


開演時間になる頃には来場者数は1000人を超えて超満員となっている。

急遽開催されたこのライブのために多くの人が集まってくれたのだ。

準備する時間などもなく、前売りチケットなどもない。

会場側の計らいでお客さんは無料で入場が出来るライブとなったが集客する暇なんて全くなかった。


関係者たちや支援してくれる人たちから集客用のフライヤーが配られるだけの集客。

それだけなのにかなりの人数が集まってくれている。


このライブを開催する事を決めたのは8月16日

気持ちの整理もつかないままわずかな時間で準備して10月3日に開催することになった。

口コミの広まりが非常に激しく、人が人を呼ぶように瞬く間に広まり多くの来場者が訪れた。


開演時間になると同時に僕がステージで挨拶をする。

『今日はお忙しい中、突然の呼びかけに応じてお集まり頂き本当にありがとうございます。

告知を満足に出来なかったにも関わらず、こんなにも多くの人にお集まり頂けた事を光栄に思い感謝でいっぱいです。』


『ボーカルのいないライブなんて聞いた事もなく、僕自身も開催して良いものなのかどうか悩みましたが、今はお集まり頂いた皆様の顔を見て開催して良かったと思っています。』

『突然の出来事により、最後までまともな精神状態を保てるかどうかわかりませんが本日は最後までお付き合いください。』

『僕達のバンドが築いてきた全てをここに置いて、バンドは解散させて頂きます。』

涙が溢れてきたが我慢はしない。

『今まで皆さんに応援して頂いた事は死んでも忘れません。

何千人もの方々に支えられ、ここまで来ることができました。

今日はご来場いただいた皆さまがボーカルとなり、皆さんの合唱でこのバンドの築いてきた全てを届けたいと思っています。どうかご協力お願いします。』


メンバーの全員が涙を流しながら演奏を始める。

会場に来ている多くの来場者もまた、涙を流しながら合唱で歌い始める。


このライブハウスにいる全ての人が心を込めて、ワンフレーズごとに精一杯の気持ちを込めながら会場全体を包み込む演奏をみんなで奏でた。


僕は最後のライブで今までの思い出が詰まった曲を演奏しながらバンドの歴史を振り返った。

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