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一体、誰が選ばれたのだろう?人々は興奮と好奇心に満ち溢れていた。そして期待と興奮に胸を膨らませ、互いに推測を交わした。誰が受洗者に選ばれたのか、誰が国の礎となる存在となるのか。それはこの街の人々にとって大きな関心事であり、心躍る瞬間だった。

「おそらく青門台の人間じゃないかな?」「そうだ、前回もそうだった!」

すぐに青門台にある省庁内部からの人物という噂が流れた。国家のために奉仕する者が新たな役割を果たすことで、この国にさらなる発展がもたらされることを人々は歓迎したのだった。


特務室には静寂ががおりていた。そしてそれぞれの面々が今回の決定について思い悩んでいた。バルトは自身の考えを口にした。

「私はこの決定には非常に恣意的なものを感じざるを得ない。鋼眼鳥が神の使いとして受洗者を選ぶという理屈自体、果たして信じてよいのか疑問だ。」

バルトの声には疑念と憤りが混ざり合っていた。静かに自分の椅子に座り、両手を組み合わせたまま考え込んでいる。彼の瞳には疑問と困惑が宿り、真剣な表情が浮かんでいた。特務室の雰囲気が一層重くなった。部屋の中には緊張感が立ち込め、沈黙が広がった。彼らはそれぞれに自分の信念と疑問を抱え、内心で葛藤していた。

ゾンネンは深いため息をつき、目を閉じて言った。

「鋼眼鳥による受洗者の決定。僕たちはそれを当たり前のこととして受け入れてきた。過去から現在に繋がる言い伝えや伝統としてそれは存在していた。」

ヴェレットは心を重く抱えながら、特務室の一角で立ち尽くしていた。彼女の眼差しは遠くを見つめ、思いを巡らせていた。

「私はどうしたらよいのか分からない。受洗者の決定を覆すことはこの国ではできないのだから」と、ヴェレットは呟いた。

ヴェレットは自らの過去を思い起こしていた。受洗者となった父と母の存在が頭をよぎっていた。父母は国のために尽力し、その犠牲が国家の礎となったのだとヴェレットは理解していた。その一方で、リノが受洗者となったことが心を揺さぶっていた。それは彼女自身の過去と絡み合い、自分の納得してきた信念との葛藤を生み出していた。彼女の表情は複雑で、内なる葛藤がそのまま顔に浮かんでいるようだった。

エカテリーナ「報道機関や人々は神威砲よりも鋼眼鳥を重視する方針に傾いています。神威砲に携わったことによる、鋼眼鳥による罰なのではないかという見方も出ていまるようです。」

エカテリーナの言葉には憂いと疑問がにじみ出ていた。

リノは少し深呼吸をし、自分の言葉に力を込めた。

「みなさん、私のことで悩ませてしまいすみません。しかし、私はこの決定を受け入れざるをえないと思います。まだ道半ばです。団結してこの困難な時を乗り越えましょう。私は受洗者となる運命を受け入れ、最後まで国家のために力を尽くすつもりです。」

姿勢はまっすぐで、心の中で葛藤しながらも前を向いているようだった。彼女の言葉は一瞬の間静まり返った部屋に響き渡った。その言葉には力強さが込められていた。悩みを抱えつつも前を向いて進む覚悟を示していた。一同はリノの言葉に敬意を払い、彼女の背中を支える覚悟を示した。


夜も更け、あたりが静まる頃、リノはいつも通りに自宅への道を歩いていた。公務員用の宿舎までの距離は10分ほどだった。しかし、ふと傍に何者かが存在していることに気付いた。それが何であるかはすぐに判明した。人の大きさほどある千眼鳥だった。滑らかな金属で覆われた体と巨大なレンズのような眼を持ち、リノをじっと見つめているのだった。

その姿はまるで監視者のようであり、不思議な気配が漂っていた。彼女の一挙一動を見逃さないように捉えていた。それはまるでリノを見守り、守護する使命を帯びているかのようにも思えた。


翌日、帝国議会で神威砲の完成報告会が開催された。各省庁は公の場ではそれを賞賛し、特に防衛庁は国の防衛力の強化に向けた重要な一歩として歓迎した。しかし、実際に神威砲を配備するための承認は得られなかった。作り上げたものの、それを動かすことには慎重な判断を下したのである。その判断は意外なものであり、議会では緊張感が漂っていた。代表たちの表情には不満や疑問が浮かび上がり、静寂が広がった。

神威砲配備の保留について世間に広まると、人々の間には様々な感情が渦巻いた。政府への信頼を持ち続ける者たちは、この決定を冷静に受け入れた。一部では失望と不満が広がり、神威砲の未来に対する懸念が生まれた。

バルト「完成したことは大きな一歩です。ひとまずの目的は達成されたと考えていいのではないでしょうか。」

バルトの言葉に一同が静かに耳を傾ける中、リノは微笑みながら応えた。「そうね、完成は大きな一歩ですね」

その言葉に、部屋は深い沈黙に包まれた。様々な感情が渦巻いていた。喜びと同時に不安や疑問が心を揺さぶっていた。リノの言葉は、まるで静かな嵐の前の静けさのようだった。一同は沈黙しながら、互いに目を交わした。それぞれが内心で安堵の気持ちを抱きつつも、まだ解決の道は見えないことを胸に秘めていた。


リノが帰宅した後、数名が執務室に残り、思いの内を語り合った。ゾンネンは悔しさを込めて言った。

「リノさんはああ言っていたけれど、配備されなければ何の意味もないよ!」

ゾンネンは怒りを抱え、机を拳で叩きつけた。「これではリノさんが文字通り命をかけて推し進めてきた改革は直前で取りやめになったのと同じだ!」

ヴェレットはゾンネンの様子に驚きを隠せなかった。ゾンネンの普段の穏やかな態度からは想像もつかないほどの怒りと失望が彼を襲っていたのだ。一方、バルトは静かに口を開いた。「実際、ゾンネンの言う通りだ。まさか、たどり着いた先がこのような結末とは…」

彼らの言葉には苦悩と絶望が込められていた。築き上げた改革への情熱が幻と消える光景を前にして、新たな道を模索する必要性を感じていた。


リノの行動には常に千眼鳥がつきまとった。それはまるで彼女の影のように存在し、彼女を取り巻いていた。気が付けばリノの周りには、少なくとも一体の千眼鳥がじっと彼女を捉えているのだった。その姿は奇妙で、異様さすら感じられるものだった。千眼鳥の金属の体は滑らかに光り輝き、不気味な存在感を漂わせていた。巨大なレンズのような眼は、冷たい輝きを放ちながらリノの一つ一つの動作を記録することに懸命になっているように思われた。

ヴェレット「リノさん、私もあれを見たことがあります。私の父と母の時と同じです。何もしないけれども執拗についてくる。」

リノ「ええ、そうですね。おそらくは逃亡を阻止するためでしょう。表向きは『千年の時を経て祝福に導く鳥』だなんて言っているけれど、監視者に過ぎないのかもしれません。」

ヴェレットは悲しみの表情を浮かべながらリノに向かって語りかけた。

「父と母は毅然としていました。少なくとも私の前では栄誉なことだと言っていたんです。でも私にはそれが嘘であることがわかったんです。ずっと一緒に暮らしてきた私が父と母の感情を理解できないということなどありえなかったんです。あんなものはおかしい、でたらめだと、目や態度がそのように語っていたんです。」

ヴェレットの声は少しずつ震えてきた。彼女は手を握りしめ、その爪先が皮膚に食い込むほど力を込めた。胸中に湧き上がる葛藤と怒りが全身に広がっていくのを感じていた。その間、部屋の中には静寂が漂っていた。時間が凍りついたかのように、ヴェレットの言葉が響き渡った。

ヴェレット「リノさんがこんなことになって、私はどうしたらいいのか分からない。もちろん、この国の人々を全て敵にするわけにはいかない。でもリノさんが受洗者となって私の前からいなくなってしまうことは耐えられない」

その間、リノはヴェレットの傍に静かに寄り添っていた。リノの表情には優しさと共感が宿っており、彼女はヴェレットを支えるためにそばにいるのだった。

ヴェレットの内なる葛藤が彼女の心を苦しめているのを感じながらリノは静かに彼女の手を取り、そっと力を込めて握った。その触れ合いによってヴェレットは少し安心を得たように見えた。

リノは穏やかな声で言った。「ヴェレットありがとう。でも大丈夫。すくなくとも私がいなくなってもみながいてくれるから。それに私は常にやるべきことをやってきた。その瞬間瞬間でできることをやってきたつもり、だから後悔なんてないんだよ」

ヴェレット「でも・・・ごめんなさい。つらいのはリノさんなのに」

リノは終始動揺した様子を見せなかった。むしろ晴れ晴れとした表情をしていた。


リノは翌日、久しぶりの休暇を取った。家にいても気持ちが晴れないため、彼女は外に出ることに決めた。朝食を終え、テーブルに残されたパンのかけらを片づけながら、彼女はふと窓の外を見た。

外は明るい陽光に包まれており、風が心地よく吹いていた。リノは気分転換を求め、軽やかな一歩でドアを開けた。歩道には人々が行き交い、街は活気に満ちていた。リノは深呼吸をし、その場所に身を置くことにした。休日のひととき、リノは内なる静けさを取り戻すことができると思った。


喫茶店に入った。店内は静かで落ち着いた雰囲気が漂っていた。彼女はウェイターに注文を告げテーブルに腰を下ろした。

本を手に取りページをめくるが、どこか心が散漫で集中することができなかった。しばらくしてリノの注文が届き、彼女は一口コーヒーを飲んだ。口の中に広がる温かさが彼女の心を癒してくれた。

喫茶店の中で過ごすひとときは、リノにとっては短い息抜きの時間だった。周囲の人々の会話や喧騒の中に身を置き、自分の思いを一時的に忘れることができた。そんな中、隣のテーブルに座っている親子の存在が視界に入った。子供は無邪気に周囲を見回していた。しばらくして彼女の顔をじっとみつめた後に言った。「あ、この人テレビでみた人だ」

リノはハッとした。近くの親子だけではない、ほとんどの客がリノに注目して何かを小声で話し合っていた。窓の外をみた。窓越しのすぐ傍に千眼鳥がいた。大きな眼は相変わらずリノを中央にとらえてじっとしていた。

「あの、受洗者になられたファロンさんですか?」

別の人がリノに話しかけた。リノは何もこたえることができなかった。

「おめでとうございます!」

周囲の人々が自然に拍手をはじめた。祝福の声が響き渡り、喫茶店はざわめきに包まれた。リノは圧倒された気持ちで立ち上がり、その場から逃げ出すように退店した。彼女は混乱し胸がいっぱいになっていた。店を後にすると、外の風が彼女の頬を撫でた。歩き出す足取りは急かされるように早くなり、リノは何かから逃げるようにして街を駆けた。


−−受洗式前夜

特務室にはバルトとリノが二人残っていた。密室の中で静寂が漂い、緊張感が空気を支配していた。

リノはゆっくりと言った。「儀式をみたことはあるけれど、あれなかなかずっと主役みたいなものだから大変ね。気を使いそう。」

リノの言葉にバルトはしばらく何も答えなかった。彼女の思いをどのように組んだらよいのか分からずにいた。バルトは深呼吸をし、心の中で思考を整理しようと試みていた。

リノ「受洗者って、儀式の後はどうなるんだろうね?」

リノは自分自身に問いかけるようにつぶやいた。「伝承によると、鋼眼鳥の血となり肉となり国家の礎となる、と伝えられている。これは言葉通りに受け取ればいいのか、それとも例えなのか。ううん、そんなことはどうでもいい」

リノは遠い記憶を思い出すように口にした。「そういえば、バルトは私を庇って怒ってくれたことがあったよね。あれはどうして?」彼女の声は少し震えていた。

バルトは戸惑いながらも答えを探し、口ごもった。「え、それは…」

リノは身を寄せてバルトに頭を預けた。その一瞬、二人の間には言葉では表せない絆が生まれた。そして、静寂が彼らを包み込んだ。

リノは再び口を開いた。「私は何もわかっていなかった。ヴェレットが両親のことを聞いて、ヴェレットに気を使ってきた。でも、本当の気持ちをまったく理解していなかった」と言葉に詰まりながら続けた。

頬を伝う熱いものを感じながら、リノは続けた。

「・・・私は死にたくない…」

彼女の声には弱さと脆さが交錯していた。

バルトは力強くリノを抱きしめた。

「かならず私が守ります。あなたは生きてください」

バルトは決意を込めて言葉を紡いだ。


翌日、バルトは情報収集のために行動を開始した。神威砲の建設に関連する古書をいくつも手に入れていたのは幸いした。その中には鋼眼鳥や千眼鳥に関する物語も含まれていた。しかし儀式まで後1日しかない状況で一人でやれることは限られていた。全てを完了することができないだろうことを痛感していた。彼は情報の断片を手に入れながらも、まだ解き明かせていない謎や伝承の一端に直面していたのだ。

ヴェレット「そんなわけで私に声をかけたというわけ?それならもっと早く声をかけて。なんでもやるから」

バルト「すまない。もっとも信用できそうなのが新米のはずの君だけなんだ。よろしく頼むよ」

ヴェレット「あなたに頼まれることはない。私はリノさんのために儀式をぶちこわしてでも守る手段を計画していたところだ。もうちょっと平穏にすますことができるならそれでもかまわない」

バルトはそれを聞いてとても頼もしく思った。彼女の強い意志とリノへの思いに、彼の心は勇気づけられた。

ゾンネン「僕も手伝わせてくれない?」

ゾンネンは二人が何をしているのか、どういうことをしようとしているのか、勘づいているようだった。しかし、バルトとヴェレットは警戒心を抱いた表情を浮かべていた。ヴェレットは疑い深い声で言った。「信用できないね」と述べると、ゾンネンは即座に反論した。「信用してもらう必要はないです。ただ、僕はリノさんを助けたい。それだけのことです。言っておきますが、私は結構な知識を得る立場にいたのです。必ず力になれます」と自信を持って述べた。ゾンネンの表情は真剣であり、その眼差しは迷いのない決意に満ちていた。

バルトはゾンネンの言葉に耳を傾けた後、彼を評価するような微笑みを浮かべた。ヴェレットも同様に警戒心を解き、少しだけ表情をゆるめて見せた。


ゾンネン「つまり、宗教庁と煌華教はアドリアル教皇を通じて密接に結びついているということなんだ。」

バルトは頷きながら言った。「なるほど。それほどまでにアドリアル教皇の力が宗教庁に及んでいるとは想定外でした。そうすると…これは恣意的な選定である可能性が高まりましたね」と考え込むような表情を浮かべた。

ゾンネン「しかしそれを裏付ける証拠がない。どうしたらいいのか」

バルトは深く考え込んだ後、一つのアイデアを思いついたように言った。

「神威砲も古の兵器だ。そしてその内部には神威砲に関わる歴史、成り立ちがあった。もしかしたら鋼眼鳥にもそのようなものがあるのかもしれない」

彼の言葉に、ゾンネンは目を見開いて驚きの表情を浮かべた。バルトの提案が鋼眼鳥の謎を解く鍵となる可能性を感じたのである。

ヴェレット「鋼眼鳥の内部調査?それは到底できそうにない。周辺は厳重に警備されている」と懐疑的な声を上げた。三人はお互いに黙り込んだ。彼らは大掛かりな調査を三人だけで短期間で実行することは不可能であることを理解していた。

沈黙が部屋を支配し、重苦しい空気が漂った。壁にかかる時計の針が静かに刻まれる音だけが聞こえる。

ゾンネンは突然、何かに気づいたかのように大きな声を上げた。

「千眼鳥ならどう?」

ヴェレットとバルトはその言葉に驚き、互いを見つめ合った。

バルトは迅速に反応した。「すぐに調査しよう」彼の声には決意と行動の意志が込められていた。それから翌日早朝からの行動計画を定め、仮眠を取ることになった。


バルトは固い備え付けのソファーの上で目を閉じた。そして胸の内で思い悩んだ。人々の意思を踏みにじろうとする者たちに対して、彼らは当然の報いを受けるべきだ。しかし、同時に彼は自身の立場を考えた。自分が素性を隠し、他人を裏切りながらも仲の良いふりをしていることで、自分自身が誰かの意思を踏みにじっているのではないかという疑念が湧き、いつまでも消えずにいた。


−−東林州、緩衝地帯

翌日早朝、ヴェレットはバルトとゾンネン、そして大京大学サンデル教授を連れてひさしぶりに東林州に訪れていた。サンデル教授は神威砲調査の際にも活躍してくれたよき理解者であり、特務室の方針にもっとも賛成してくれている協力者であった。

一同の目的は弟であるジェイクに会うことだった。


ジェイク「お姉さん、久しぶり。どうしたの突然」

ヴェレットは微笑みながら答えた。「ちょっとした旅行みたいなものだよ。それと、同僚を紹介する。」

ヴェレットはバルトとゾンネン、サンデル教授をジェイクに手軽に紹介した。

ジェイクは興味津々の表情を浮かべた。「いつも姉がお世話になっています。」

ヴェレットはジェイクに向かって急かすように言った。「ジェイク、悪いけど時間があまりないの。やりたいことは簡単なこと。千眼鳥を捕まえて調べるの。」

ジェイクは驚きの表情を浮かべて叫んだ。「なんだって!?」

ヴェレットは落ち着いた口調で続けた。「あなたならその方法が分かると思ってる。千眼鳥についてはとても詳しく調べていたじゃない。」

ジェイクはヴェレットの言葉に一瞬たじろいだが、すぐに頷いた。「ああ、それはそうだけど。理由は?」といいかけて、首を降った。まるでいいかけたら聞かないことに観念しているようだった。

「分かったよ。もちろん協力する。」

バルトは興味津々の表情で問い返した。「ジェイクさんはなぜ千眼鳥に詳しいのですか?なにかそのような組織に属しているとか?」

ヴェレットは微笑みながら説明した。「私たちは鋼眼鳥に関わることを調査してきた。できる範囲でね。ジェイクは特に千眼鳥について詳しく調べてきたんだ。いつかその秘密を明らかにしてやろうというわけ。親の敵みたいなもんよ」

ヴェレットからの説明にバルトは深く頷きながら理解を示した。ジェイクは少し考え込んだ後、「やはりわけを教えてよ」とヴェレットに訴えた。

ヴェレットはゆっくりと話し始め、ジェイクに理由を説明した。神威砲の構築、そして仲間が受洗者に選ばれたことについての経緯を詳しく説明した。

ジェイクはその説明を受けながら眉間にしわを寄せ、手を握り締めた。彼は深く考え込み覚悟を固めた様子だった。

「わかりました。なんでも協力しましょう。時間がないのでしょう。完結に説明させていただきます」一同を見渡しながら言い、真剣な表情でヴェレットに向かって頷いた。彼の手の力は握り締められ、その強い意志が空気中に漂った。

ジェイクは重要な情報を明かした。「千眼鳥はある一定の周期で交代します。彼らは周囲をパトロールした後、また鋼眼鳥の元へと戻っていくのです。それはおよそ3時間周期です。仮にその一匹をうまいこと拿捕したとしても、3時間以内に次の千眼鳥に見つかってしまうのです。過去に同じことを試みた者たちがいましたが、その時は鋼眼鳥の「新たなる朝陽」によりその者たちは焼き尽くされました」

ジェイクの言葉に緊張が一層高まった。三人の表情には困難への緊張が滲み出ていた。

バルトは深く考え込んでから尋ねた。「そんな話は初めて聞きました。時刻の民を焼くというのですか?神はこの国の人々を守っているのではないのですか?」

ジェイクはバルトを見つめながら、真実を伝える覚悟を持って言葉を続けた。

「私がみたところによるとあれは神でもなんでもない。単なる兵器ですよ。神威砲と同じです。ただ少し意思のようなものがあるのは確かなようです。でもそれは意思であると感じるだけで、やはりそれは機械的なものである可能性も高いです」

ジェイクは迅速に結論を述べた。「3時間の交代周期の間に千眼鳥を拿捕し、調査し、それから解放することが必要です。そうでなければ我々には間違いなく死が待っているでしょう」

ヴェレットは重要な質問を投げかけた。「拿捕する方法は?」

ジェイクは少し考えた後、口を開いた。

「それも既に判明しています。この国境付近では鋼眼鳥からの距離が遠いためか、たまに千眼鳥が動かずに停止することがあります。本当に稀です。そうすると大抵、煌華教の信者たちが回収にくる」

ヴェレットは驚きを隠せなかった。「信者達が回収?」

ジェイク「これは国境付近でしか起きていないようでした。もしかしたら、鋼眼鳥からの距離に限界があるのかもしれないと考えたのです。」

バルトは興味津々の表情を浮かべながら、問いかけた。「どうするんだ?」

ジェイクは自信を持って答えた。「電磁波です。これを発生させると千眼鳥はかなりの確率で動作不良に陥り、落下して動かなくなる」

バルトは驚嘆の声を上げた。「すごいもんだな、そこまで調べ上げていたのか」

ジェイクは少し自慢げに頷きながら、手に持っていた装置を見せた。それは電磁波を発生するための装置であり、彼の緻密な研究の結晶だった。一同はその装置に興味津々で視線を注いでいた。

ジェイクはそれから不安そうな表情を浮かべ念を押すように問いかけた。「しかし、本当にやりますか?死と隣り合わせですよ?」

ヴェレットは落ち着いた声で答えた。「ジェイク、私が考えたいくつかの手段の中で一番まともな手段になりそうだよ。」

「他の手段とは一体何・・。いや、姉さんの考えは想像しないでおこう」

作戦を決行することにした一同は、ジェイクの指示に従い準備を整えた。千眼鳥の捕獲を目指し最も拿捕しやすい地点に移動して準備をした。


時計の針は12時30分を指していた。緊張が漂いながらも、一同は静かに行動を開始した。ジェイクは周囲を確認しながら機械装置を操作した。彼は迅速かつ確実さを持って作業を進めていった。他のメンバーたちはジェイクの指示に従って配置を決め、待機の姿勢をとった。そして息を潜めて千眼鳥の到着を待った。

空気中に緊迫感が漂い始める。風がそよぎ、葉がざわめく中、千眼鳥の姿が遠くに現れた。それは翼を広げ優雅に舞いながら定められたルートを辿っているようだった。

ジェイクは一呼吸おき、仲間たちに合図を送った。

「今からしかけをセットします」

彼は操縦装置を操作し、電磁波の発生を始めた。

すると、突如として千眼鳥は動きを止め、空中でふらつき始めた。次第に高度を失い、姿勢を崩していった。千眼鳥の持つ青いレンズは彩りを失い、一層暗く沈んでいった。倒れこんだ姿を確認すると、ジェイクは迅速に仲間たちに指示を出した。「いきましょう」

指定の位置まで千眼鳥を運び、集中して調査に取り掛かった。ジェイクは器具を手に取り千眼鳥の身体を詳細に観察した。他のメンバーたちは周囲を見回し、信者が接近しないか警戒した。

サンデル教授は慎重に千眼鳥のデータを確認した。興味深そうに頷き、その後しばらく考え込んだ。そして言った。「やはり神威砲とそれほど変わらない技術でできているようです」

サンデル教授の言葉は重々しく響き、バルトはそれを聞いて目を見開いた。教授は静かに頷き、その解析結果がジェイクの研究と一致していることを確認した。

「神の使いでもなんでもない。これは非常に高度な機械ですよ」

さらに調査は継続して行われた。その結果は千眼鳥の正体とその背後に潜む謎を解明するために不可欠なものとなるはずだった。

予定の3時間に差し掛かる頃、緊張が高まっていた。ジェイクは不安そうな表情を浮かべながら、サンデル教授に近づいた。

「そろそろ終わらないですか?これ以上は危険です」

サンデル教授は眉をひそめデータを集中的に分析していた。彼は情報のパターンを見つけるために指先で端末を忙しそうに叩いていた。

「もうちょっと待ってください。非常に興味深い情報にアクセスできそうだ」

彼は時間の制約にもかかわらず、集中力を持って最後まで情報を探索しようとしていた。

タイムリミットは一刻一刻と近づいていた。ジェイクとサンデル教授の周りには緊張感が漂った。情報の解析結果が判明する瞬間を待ち望んでいた。それが彼らに新たな展望をもたらし、次の一手を打つ決断の根拠となることを願っていた。

ジェイクはかかってきた通話機で誰かと話し込んでいたが情報を受けて驚きの表情を浮かべた。「なんだって」

バルト「どうしたんだ?」

ジェイクは焦りを隠さずに言葉を紡いだ。「いつもより早めに次の千眼鳥が予定位置を通過したようです。今から元の場所に戻しにいったとしても、もう時間がない」

その言葉と同時に、サンデル教授が声をあげて喜びを示した。「よし、情報を全て入手したぞ。OKだ、これは大変貴重なデータだ」

時間が迫る中で、サンデル教授が必要な情報を得たことは彼らにとって大きな進展だった。

ジェイクは迫り来る危機に頭を抱えながら言った。「どうする...」

その時、バルトが意志を示して声を上げた。「俺が引き受けよう。俺が何とか時間稼ぎをする」

ヴェレットは心配そうな表情でバルトを見つめながら声をあげた。「気にするな。俺は...もともと死んでいるようなものだ」

バルトの言葉に、ヴェレットは驚きを隠せなかった。彼女はいつもバルトからそのような雰囲気を感じ取っていたが、今回の言葉はそれを裏付けるものだった。バルトは自らの生命に対して、目的のためならば死をも恐れないのだということを彼女は理解した。彼が生命を軽んじる姿勢を持つのは、彼自身に価値を置いていないからだ。バルトは己の存在を犠牲にすることで、他者や使命のために尽力するのだ。その覚悟は凄まじいものだが、ヴェレットにはその真意が完全に理解できなかった。

バルトの決意にジェイクも驚きを隠せず、深い感謝の眼差しで彼を見つめた。



バルトは一人、通過点手前に身を隠し決死の覚悟で千眼鳥を待ち構えたていた。「さぁ、こい」

すると、千眼鳥が勢い良く飛んできた。バルトは瞬間を逃さず、構えた長距離射撃用の銃で千眼鳥に向けて銃弾を放った。命中したかと思われたが千眼鳥は何の反応も示さなかった。その後、千眼鳥は銃撃が行われた位置を探り始めた。首をいくつかの方向に切り替えながら大きなレンズを赤色に変えた。

バルトは巧妙に身を隠していたが、千眼鳥が近づいてくる気配を感じ取っていた。その視線の鋭さはまるで鷹のようであり、彼の存在を感知しようとしていることが伝わってきた。バルトは静かに息を潜め、心臓の鼓動を抑えながら、周囲の環境に溶け込むことに意識を集中した。

千眼鳥が徐々に接近し、目の前で足を止めた。バルトは千眼鳥がじっと動かない様子を見つめながら、その静寂に包まれた状況に緊張が高めていた。彼は自身の存在を完全に隠し、千眼鳥が自分を発見することがないように祈りながら、次なる一手を待ち構えた。最悪、みつかったとしても時間稼ぎをする準備はできていた。


千眼鳥は突然、調査を諦めたかのように振る舞い、空へと飛び去っていった。それを見てバルトは一瞬の安堵感を覚えた。千眼鳥が去ったことで一時的な安息が訪れていた。


バルトが時間を稼いでいる中、他の者は千眼鳥を元の場所に戻し、退散できていた。

ヴェレット「すべてうまくいったみたいだね。」

ジェイク「ああ、本当によかった。それにしてもバルトさん、あなたは本当に勇敢な人だ。私はあなたを尊敬します」

ジェイクは敬意を込めて頷いた。バルトは穏やかな笑顔でジェイクに応える。

「僕の行動は特別なものじゃないんだ。必要な時に必要なことをやっただけだ」

サンデル教授の解析により、多くの情報が明らかにされた。

バルトはそのデータを見ながら呟いた。「キングダムオブメリシア 偉大なるメリシアのために」

それを聞いてゾンネンが驚きの表情を浮かべた。「教典に登場する夢の国に関する話だ。豊かな大地に繁栄し、すべての人々が幸せを享受する国。まさか実在したの?」

サンデル教授はゾンネンの言葉にうなずきながら、重要な情報を明かした。「偉大なる国には神の鳥が舞い降りた。その存在は国を豊かにし、繁栄をもたらしたのです。しかし、その神の使いを拒否した国は滅びてしまった」

一同は口をつぐんで考え込む。偉大なるメリシアと神の鳥の関係性、そしてそれが拒絶された結果とは何なのか、彼らにはまだ解き明かされていない謎が残っていた。

サンデル教授は深い考えにふけりながら、次第に言葉を紡いでいく。「はっきりとわかることは、過去にそれらの存在が現実のものとして存在していたということですね。そして、その時代の技術は、今の現代技術に似ているのです。むしろ、我々の技術がそれらを模倣し、発展してきたと言った方が正しいかもしれません。電力発電やその他の技術もすべて失われた文明から得てきたものなのです」

サンデル教授の言葉に、一同は驚きと興味を抱いた。彼らは過去の存在が現実であり、現代の技術がそれを模倣して発展してきた可能性を理解した。そして未知の歴史の謎が彼らの前に広がっていることを感じた。

一同はサンデル教授の言葉に続き、バルトの仮説を真剣に考え始めた。彼らは失われた文明の存在と、鋼眼鳥がそのメリシア国の使いである可能性について激論を交わした。

バルトは深い眉間の皺を寄せながら、自身の仮説を述べた。「それらは魔法でも宗教上の仮想的な国でもなかった。だとしたら、鋼眼鳥はそのメリシア国が構築した兵器であり、なんらかの方法で自立しあるいは人々の手によって運用されていたのではないか。」

ゾンネンはうなずきながらバルトの言葉に補足する。「そうだとすれば、一番怪しいのはアドリアル教皇かもしれません。また、教団に何か秘密があるのかもしれません。そうなると実際、受洗者を選定しているのが鋼眼鳥という話も疑わしいものです・・」

ヴェレット「もしそうなら許されないことだ。絶対に!」 怒りを抑えきれず、こぶしを握りしめながら声を荒くした。


一行は教団本部に向かっていた。闇夜に包まれた路地を歩いていく中、ルヴィンスキは固く縛られた手錠を振り払おうと躍起になっていた。しかし、彼の抵抗は無駄であった。一行は一切の動揺を見せず、確実に彼を目的地へと連れて行くつもりだった。

ルヴィンスキ「こんなことをしてただで済むと思っているのか。ゾンネン!」

ゾンネンは決然とした表情で言った。「どう転ぶかなんて分からない。でもこうすることが一番手っ取り早いということだけは分かる。ルヴィンスキさん、すみませんがしばらく言うことを聞いてもらいます。」

ヴェレットは驚きを隠すことができなかった。彼は以前、ゾンネンを優柔不断で決断のできない男としか見ていなかった。しかし、今の彼の姿はまったく違っていた。過去の迷いや躊躇が消え、新たな決断力が湧き上がっているように思えたのだった。それはまるで別人のようだった。

バルト「ルヴィンスキ。メリシア国をしっているか?」

ルヴィンスキ「なんだ?煌華教で伝えられる夢の国の話か?」

バルト「それは夢でも何でもない。現実の国の話だ」

ルヴィンスキは驚きを隠せず、疑問の眼差しでバルトを見つめた。「なんだって?何を言っているんだ。」

バルトは事の経緯をルヴィンスキに説明し始めた。その説明が進むにつれて、ルヴィンスキの顔は青ざめていくのが見て取れた。驚きが彼の心を襲い、次第にその表情は重苦しさに包まれていった。

ルヴィンスキは驚きを隠せず、考え込む表情を浮かべながらバルトに答えた。「まさか。そのような話は私も聞いたことがない。そうすると、私は…。君たちの言うことが嘘でないのなら、確かめなくてはならないな。」

バルト「今回、受洗者が定められた経緯はどうなんだ?」

ルヴィンスキは一瞬考え込み、思い出をたぐり寄せるようにして答えた。「宗教庁から説明があった。そこに大きくアドリアル教皇がからんでいるということは分かってはいた。それは正式な手続きに沿って進められていることと理解していた。」

彼の言葉には複雑な感情がにじみ出ていた。ルヴィンスキの眉間には深いしわが寄り、目は遠くを見つめ、内心の葛藤が表情に浮かび上がっていた。


ゾンネンは厳しい表情でルヴィンスキに向かって語った。「正式な手続きなんてものが本当に正しく運用されていたのか。実際のところ、宗教庁あるいは煌華教以外知り得なかったのでは?…」

ルヴィンスキはゾンネンの言葉に一瞬固まり、深い納得感を覚えた。彼の顔には苦悩が滲み出し、迷いと決意が入り混じった表情がうかがえた。

「私に思い当たる節がある。教団本部ではなく進路変更をしてくれ。」ルヴィンスキの申し出に一同は顔を見合わせた。一瞬迷った後、頷きながらルヴィンスキの要望を受け入れる決断をした。


ーー中央区某所にて

それは小さな雑居ビルにかくされた地下への通路だった。通路の入り口で一同は立ち止まり、その謎めいた道への緊張が彼らの心を駆り立てた。ヴェレットは手がかりを求めて通路の壁を確認した。壁面をなぞり、不思議な模様や紋様を辿っていく。通路の中は薄暗く、足元は静寂に包まれていた。ヴェレットは驚きながらも興味津々の表情で通路を見つめた。「こんな通路があるんだ。」

ルヴィンスキ「おそらくは1000年前から存在している、失われし文明によって設けられた建築物だ。煌華教がいうところの神により創造されたものだ。この先には『本当の』教団の本部がある。そこにおそらく情報が詰まっていることだろう。アドリアル教皇以外立ち入りを許されていない区画もある。」

バルト「しかし、どうしてここにあるとわかった?」

ルヴィンスキ「以前、アドリアル教皇をここに送ったことがある。その時は急いでいる様子で、こんな雑居ビルに何の用事なのかと思ったが・・」

彼らの足音が響き渡り、その響きが古代の壁に反響する音と混ざり合った。通路は次第に広がりを見せ、彼らの前には壮大な空間が広がっていた。そこには教団の本部とされる建物がそびえ立ち、神秘的な雰囲気を纏っていた。

施設には中央に大きな通りがあり、いくつかの部屋が設けられていた。ほとんどの部屋は人影はなく出払っているようだった。しかし、つきあたりの奥の部屋には1人の信者が働いていた。ゾンネンはそこによく知った顔の男がいるのを見出していた。その男は顔を上げ、少し驚いたように言った。

「ゾンネン、どうしたんだこんなところに。」

「お父さん・・」

ゾンネンは父との再会に戸惑いを感じていた。言葉に詰まり、ゾンネンはラゾフの視線を避けるようにした。

ルヴィンスキにはその男はよく知った男だった。「ラゾフじゃないか」

ラゾフはルヴィンスキとゾンネンの姿を見つけて、驚きながらも優しい笑顔で声をかけた。

「おや、これはルヴィンスキさん。どうされたのですか?夕方から受洗者の儀式もあるものですから、こちらにおこしになるとは思いませんでした。」

彼は手を止め、ゆっくりと頭を下げた後、続けた。

「急用でね。今日は人が少ないな。」

ラゾフの言葉にルヴィンスキはうなずきながら答えた。

「みな、儀式に出払っていますよ。数年に一度の大切な煌華教の儀式ですから。」

ルヴィンスキの言葉に対し、ラゾフは敬意を込めて頷いた。

「なるほど、そうか。アドリアル教皇は?」

ラゾフは微笑みながら答えた。

「アドリアル教皇様ももちろん儀式に向かわれています。」

会話の中で、ラゾフの言葉遣いや身振りは丁寧でありながらも穏やかであった。固い表情を崩さずに、ルヴィンスキはラゾフに命令するような口調で言った。

「それは好都合だ。あそこの扉をあけてくれ。」

ラゾフは驚き、戸惑った様子で答えた。

「あそこはアドリアル教皇様以外立ち入りが禁止されていますが...」

ヴェレットが信者に銃を突きつけると、ラゾフは取り乱したようになった。

「ひっ、なんですか一体。」

ルヴィンスキは冷静さを失わずに言い放った。

「いいから早く!時間がないんだ」

ルヴィンスキの口調は厳しさと焦りが交錯していた。彼の表情も硬いままだった。ラゾフは恐れおののきながらも手を上げ、腰を引いたままで扉の鍵を取りに行き、扉を開けた。


扉の向こう側には少し狭い部屋があった。多くの機械や書物が置かれており、ルヴィンスキは今回の受洗者選定に関する資料を手に取った。しかし、彼がそれを読み進めると、驚きと憤りが彼の顔に浮かびあがった。そこには受洗者の選定においては明らかにアドリアル教皇によるものであることが記載されていたのだ。

「なんだこれは...。鋼眼鳥による選定などという話は嘘だったのか...。ラゾフ!どういうことだこれは!」

信者が戸惑った声で答えました。

「いや、これは...。神による意思とは、つまり煌華教の最高指導者であるアドリアル教皇様の意思でもあるということですから」

ルヴィンスキは怒りを込めて叫びました。

「なんだと!」

彼の声は部屋に響き渡り、周囲の静寂を打ち破りました。彼の顔は激情に歪み、眉間にしわが寄りました。ラゾフはその表情を見て、怯えた様子で後ずさりしました。

部屋の奥には数台の機械装置が配置されていた。そこには受洗者としてリストアップされたデータが表示されていた。サンデル教授がその機械装置を見つめながら言った。

「おそらくですが、鋼眼鳥に備えられた仕組みは、鋼眼鳥に対して危害となる者を割り出す機能があるのです。そのための情報を千眼鳥が集めてくる。受洗者を選んだ経緯も書かれていますね。」

サンデル教授は機械装置をじっと観察し、指先で画面上の情報をなぞりながら詳細を確認した。過去の受洗者選定の履歴についても発見した。「ベルトラン夫妻。彼らは鋼眼鳥についての調査をしきりに行い、多くの情報解析を行う危険性がある、とされている」

その言葉にヴェレットは身を乗り出し、熱心に画面を見つめました。画面には受洗者のその後についてのメモも表示されていた。最後の言葉は「我が子達が健やかであるように」と書かれていました。ヴェレットはそのメモに目を通しながら、声を詰まらせて言いました。

「お父さん・・・お母さん・・・」

彼女の表情は複雑で、悲しみや思い出が顔に浮かんでいた。彼画面に集中し、過去の出来事や家族との絆を思い起こしていた。心に様々な感情が渦巻いていていた。

サンデル教授「リノ・ファロン。神威砲の復活をもとに鋼眼鳥についての取りやめを決定する危険性がある。それに彼女は魅力的でもある」

周囲の人々は興味深げに耳を傾けました。サンデル教授の声が静まり、彼らは状況を理解しようと思案しました。部屋の中には緊張感が漂っており、その一瞬の間に何か大切な決断が下される予感がした。

ルヴィンスキは深いため息をつきました。その後、彼は口から吐き出すように言葉を紡ぎました。

「神の意志なんてものはなかった。あったのは下劣なアドリアル教皇による、品のない意志と国を守るという強弁で、本当は自らの地位を脅かす者を排除するだけの仕組みだったのだ」

彼の声は静かでありながらも、憤りと失望がにじみ出ていました。その言葉には、彼の内なる怒りと軽蔑が込められていた。

ゾンネンは怒りに満ちた声で言った。

「これが実態か。すべてはアドリアル教皇による独断で物事が動いていたわけだ。この国の人間をだまし、そして、思いのままに操っていたんだ。こんなものに加担していた僕の手は血で染まっている。ルヴィンスキさん、あなたもだ」

ゾンネンの顔には憤怒が刻まれ、目には涙と怒りの輝きが宿っていた。ルヴィンスキは落胆と怒りに満ちた声で呟いた。

「そんなことが・・・。すべて私は把握していたはずだ。うまくやってきたはずだ。それなのになぜ・・。こんなことは誰一人として報告してこなかった。」

ゾンネンは辛辣な口調で答えた。「あなたは誰かに対して気にかけたことがありますか?いつもそうだった。決めつける。もしくは、命令するだけだ、そのようなやり方で真実を掌握していたつもりだったのですか?」

ルヴィンスキは怒りに震えながら、ゾンネンに向かって指を差した。「ゾンネンお前!知ったようなことを!!・・・」

彼らの間には緊張感が漂い、言葉のやりとりが激しさを増していった。ルヴィンスキの身体は緊張に張りつめ、顔には怒りが滲み出ていた。ゾンネンもまた怒りに満ちた表情で、ルヴィンスキに対峙していた。

ルヴィンスキはそれから、気分を落ち着かせるようにゆっくりと周囲を見渡した。まるで自分の立っている場所が分からなくなったというように顔をした。その顔には困惑と悲しみが交錯していた。しばらくの間、何かを言おうとしていたが最終的に口を開くことはなかった。


サンデル教授は私たちに向かって重要なことを知らせると言って話し始めた。

「わかったことがあります。鋼眼鳥は、メリシア国が創り出したものでした。それらは国を安全に統治するために開発されたようです。」

一同は驚きを隠せなかった。彼の言葉は、我が国の歴史に対する新たな視点を提供するものだった。彼は続けた。「さらに、それらの鋼眼鳥は他の周辺国にも配置され戦争を抑止するための手段としても利用されました。これでメリシア国の政策がより明確に分析できるようになりました。鋼眼鳥は単なる監視装置ではなく、国家間の平和を促進するための具体的な手段だったのです。」

サンデル教授の言葉には説得力があり、彼のしぐさや表情は真剣さを物語っていた。一行は彼の話に引き込まれ、一つ一つの言葉を丁寧に受け止めていた。だがすぐにその事実について飲み込むにはより多くの時間を必要としていた。

バルトは尋ねた。「この先には、一体何があるんだ?」

バルトの目の前には両開きの大きな扉があり、固く閉ざされているようだった。しかし、ラゾフは一行が部屋に入るのを制止した。「だめです。流石にここは。ここには誰も入れてはいけないとアドリアル教皇から固く言いつけられています」

ルヴィンスキは怒りを込めて言いました。「どけ!」

ラゾフは、気迫のある声に押され、傍に倒れ込んだ。

部屋の中では、画面上に男性の顔が浮かび上がっていた。その表情は一行を意識して視線を向け、何かを語りかけているようだった。近くに寄ってみると彼がはっきりと私たちを意識していることが分かった。

男性は挨拶しました。「こんにちは。現在、この周辺地域はとても良好です。お困りごとはありますか?」

バルトは疑問を抱きながら尋ねました。「あなたは?」

男性は自己紹介しました。「私はメリシア国の国防長官、カストナ・ロインです。」

バルトは驚きを隠せませんでした。「メリシア国?それはとうの昔になくなったはず・・」

カストナはそれを聞いて固く言いました。「なくなった?そんなはずはありません。私は今もこうして任務を全うしています。周辺地域の安全のために外敵を推測し、作戦実行の要否を判断しています。最近、また一人の危険分子が選定されました。」

カストナの口調からは、使命感と責任感が滲み出ていた。

バルトは尋ねました。「危険分子?」

カストナは頷きながら答えました。「はい。危険分子とは我が国メリシアに危険をもたらす兵器や人物を指しています。危険分子の選定には、私が自ら調査する場合と、情報を口頭でいただく場合があります。今回は情報をいただいたのです。大変感謝しております。小型監視機にて調査、捕獲が完了しています。」

バルトは深く頷きました。小型監視機が千眼鳥のことであることは明白だった。

ヴェレット「これは決定的だね。」

ゾンネンも驚きを隠せませんでした。「こんな仕掛けだったなんて。もう存在しない国の兵器、ただの機械と対話していただけだなんて。昔ならいざ知らず、今の時代にこれを神と崇める人はいない。これは単なるプログラムによる映像に過ぎないじゃないか。」

ルヴィンスキは怒りに身を委ねながら叫びました。「こんなものに私は長い間操られていたというのか!こんなものに!」

怒りに駆られた彼は、機械にこぶしを叩きつけた。無力感と憤りが彼の動作に滲み出ていた。

それを見てラゾフは制止するように懸命に訴えました。「もうやめてください!そんなことは神が許さない!」

ラゾフは銃を手に取り、ルヴィンスキに向かって発砲した。銃弾がルヴィンスキの一部に命中した。ルヴィンスキは一瞬驚いたように身を震わせた後、苦痛に歪んだ表情を浮かべた。


ゾンネンは怒りを爆発させながら叫んだ。「なにやってんだよ!」

しかし、ラゾフはゾンネンの怒りに対して一言も返さず、ただ自分のしたことに驚きと疑念を抱きながら、手のひらを見つめるだけだった。ヴェレットは素早く彼の背後に回り込み取り押さえた。ラゾフは何も抵抗しなかった。彼の表情は困惑と後悔に満ちていた。


バルトはルヴィンスキの傷を確認した。「少し銃弾がかすった程度だな。幸いそれほど深刻ではないようだ。」

ヴェレットはルヴィンスキに尋ねた。

「リノさんが今どこにいるのか分かる?」ルヴィンスキは考え込んだ後、答えました。

「通常、受洗式が終わった後は特定の施設に移動することになる。しかし、その後にお清めの儀式があり、その後は宗教庁による『信仰の奉献式』が執り行われる。これは一般の人々にも公開されている手続きだ。」

ルヴィンスキは時計を確認した。「そう考えると...『信仰の奉献式』まであと2時間ほどしかありません。」

バルト「どこで信仰の奉献式が行われる?」

ルヴィンスキ「いくつかある。特定の場所ではないが、私の知識からいくつかの候補を絞り込むことができる。」

ルヴィンスキはそう言いながら、施設内を注意深く探索し始めた。

その時、ゾンネンが苛立った様子でラゾフに尋ねました。「親父は知らないのか?アドリアル教皇がどこに向かったのか!時間がないんだ!」

ラゾフは困惑した表情で答えた。「知らない、本当に分からないのだ」

信仰の奉献式の場所が判明しないまま、時間が刻々と過ぎていく。ゾンネンは考え込んだ後、口を開きました。「儀式に参加するのは少数だろう。施設も限られているはずだ」

ルヴィンスキはゾンネンの方を見つめ、しばらく考え込んだ後、頷きました。

「そうすると、ここから南西の南区にある施設だろう」

バルトは決意を込めて言いました。「行こう!時間がない!」

一行は一斉に施設を後にし、南西の南区へ向かった。


信仰の奉献式が行われる会場では祭壇の中央にリノが横たわっていた。彼女は一切の動きを示さず、何らかの薬で眠らされているかのようだった。

アドリアル教皇が厳かな声で言った。「儀式を執り行う。この聖水を彼女の口に注ぐことで、神が降臨し、彼女は鋼眼鳥の礎となり、メリシアの地へと旅立つでしょう」

アドリアル教皇は手に聖杯を抱え、祭壇に近づいた。まさにリノに飲ませようとする瞬間、会場の出口が大きく開かれた。

ドアが開かれる音と共に、会場内は驚きと騒乱に包まれた。人々は驚いた表情で周囲を見渡し、出口の方を注視した。


バルトは叫びながら言った。「アドリアル教皇!」

その瞬間、ヴェレットが跳躍しました。彼女は身体を弓のようにしながら地面を蹴り、一気に祭壇へと飛び上がった。体は弧を描きながら宙を舞い、そしてアドリアル教皇に向かって突進した。

鋭い蹴りが体を守ろうとするアドリアル教皇の腕に命中し、アドリアル教皇は床に倒れ込むようにして吹き飛んだ。その一瞬、会場内は混乱に包まれた。

周囲の信者たちは手に持っていた銃を握りしめ、祭壇に向けて発砲し始めた。銃声が会場内に響き渡り、恐怖と混乱が広がった。

ゾンネンは教団に駆け寄り、リノを確保しようとしたが、その瞬間、銃弾が彼の体を揺らした。苦痛に顔をゆがめながら、ゾンネンは床に倒れ込んだ。

ヴェレットは叫びました。「ゾンネン!」

バルトは怒りを抱えながら、信者たちに向けて発砲しました。彼は瞬時に正確な射撃を行い信者たちを無力化した。銃声が止み、会場内は静寂に包まれた。

フードをかぶっていた信者の一人が、その声に反応して声を上げた。

「ゾンネン?なんということ」

その人物は実はゾンネンの母親だった。彼女の目は丸く見開かれ、息子がそこにいることを信じられない様子でただ立ち尽くしていた。

彼女は悲しみと衝撃に包まれながらも、息子がこのような場に関与していることに対する怒りが湧き上がったようだった。

「神聖な儀式をこのようにしてしまうだなんて、なんて罰当たりなこと・・。誰が私の息子に嘘を吹き込み、騙したんだ」

彼女は手にしていた銃を構えようとしたが、バルトの動作は早かった。迅速で鋭く、まるで捕食者が獲物を捕らえるかのようだった。バルトは女性の腕を制止し、銃を取り上げると同時に彼女を制止した。彼の力強い手は女性の腕をしっかりと掴んでおり、彼女の動きを完全に封じ込めたのだった。

女性は驚きと抵抗の表情を浮かべながら、バルトの力に抗うこともできず、銃を構えることを阻まれた。彼女の手は力なく下がっていった。

ルヴィンスキは心配そうにゾンネンに近づいた。彼の眉間には深いしわが刻まれ、目には懸念が宿っていた。

「ゾンネン、大丈夫か」

ゾンネンの背中に銃弾が突き刺さり、体を貫通しているようにみえた。出血が酷く、彼の身につけている服は赤黒く染まっていった。ヴェレットはすぐにその状態を確認した。そして枯れたような声で言った。

「ダメだ」

この状況ではもはや救いようのないことが明らかだった。

ゾンネンは弱々しく声を出した。「ヴェレットさん...リノさんは無事ですか?」

彼は最後の力を振り絞って尋ねた。

ヴェレットは悲しみに満ちた表情で答えた。「無事だよ」

彼女は涙を抑えながら、リノが救われたことを伝えた。

「そうか...」ゾンネンの最後の言葉が漏れた。ゆっくりと目を閉じた。その表情はどこか満足げであった。


−−2週間後、特務室

リノ「鋼眼鳥それに煌華教で行われていた真実については、省庁内の多くの人々に知られるようになりました。アドリアル教皇と彼に従う側近の信者たちは軟禁され、今後の取り扱いについて検討中とのことですよ。」

リノは落ち着いた様子で特務室のメンバーに説明した。

ヴェレットは心配そうな表情でリノに話しかけた。「リノさんが無事でよかったです。ただ、ゾンネンは…彼はリノさんを助けるために・・」

ヴェレットは下を向きました。その言葉には深い感謝と悲しみが込められていた。ゾンネンが自分のために犠牲になったことを思い出し、胸が痛んだ。

リノは目を閉じ、彼のことを思い胸を痛めた。そのしばらくの沈黙には深い悲しみがこめられていた。そしてゆっくりと目を開けて、静かに言った。「彼の死を無駄にしてはいけません。私たちはやるべきことをやらなければなりません」

バルトはリノに近づき心配そうに尋ねました。「ところでリノさん、お体は大丈夫ですか?」リノは微笑みながら答えました。「ええ、私は大丈夫です。でも、あなたたちは無事だったんですか?拘束されていた場所や状況は知りませんが」

ヴェレットは少し笑顔を見せながら答えた。「特に大きな問題はなかったですよ。ただ、ベッドが少し硬かったくらいです」

彼女は軽く肩をすくめながら、その過去の困難を思い出しました。

内務室長官室でルヴィンスキは一人、窓の外をじっと見つめていた。リノ室長救出劇を思い出していた。いったい何を正しい事と判断すればよいのか分からなかった。そして父の事を思い出した。父も受洗者になった。当時はそれは正しいことなのだと確信していた。それは当たり前のことだったし、疑う余地さえなかった。でもそれは間違いだったのか…。

いづれにしても、ルヴィンスキ自身がアドリアル教皇によっていいように操られてきたことは明白であった。すべて宗教庁を含めて、コントロールしてきたのが彼なのだ。国のためにと思ってやってきたことが、実際には国のためなんかではない。ほとんどアドリアル教皇自信の私利私欲のためであったのだ。ルヴィンスキは手に持った書類を握りしめ、怒りに顔を歪ませた。やり場のない怒りが湧き上がるり、それは自責の念も増大させた。


――バルトとリノは二人でいた。 

バルト「それで、もう体の調子は大丈夫なのか?」

リノ「うん。ありがとう。・・・それだけ?」

リノがバルトに言うとバルトは少し照れたような表情を浮かべた後。リノの頭をなでてあげた。

リノは目を細めた。「でも私は仲間を、ゾンネンを守ることはできなかった。まさか守られる側になるだなんて。」

バルト「仕方がない。薬を飲まされていたんだ。リノだってあのままでは危なかった」。

リノはうつむいた。「私は守られてばかりのような気がしている。これじゃ駄目だね」

バルトは言った。「そんなことはないよ、いつだってみなを引っ張ってくれている。君のことを信頼しているということだ。もちろんゾンネンだって君に心を開いたのだろう。私はあなたのよいところをたくさん知っている」

リノは尋ねた。「たとえばどういうところなの?」

バルトとリノはお互いに口元に笑みを浮かべた。少しの間、彼らは黙っていたが、その静寂は彼らの間に暖かな空気を満たしました。そして、バルトは穏やかな声で答えました。

「君の強さと勇気、それに対する責任感。そして、君が仲間を大切にする心だ。」

リノは照れくさそうに微笑みながら、バルトに向かって頷いた。彼らの絆は深まり、互いに心の支えとなっていった。


−−中央区某所

誰にも気が付かれぬ街角の影で二人の男が話し合っていた。謎の男は言った。

「そうか、バルト。よくこの情報を掴んだな。これでわが国も対抗できる力を手に入れることができるかもしれない。これは手柄だぞ」

バルトは少し沈んだ表情でうなずいた。

「ああ...」

謎の男は不思議そうにバルトの顔を見つめました。

「どうして浮かない顔をしているんだ?はやく帰ってきて一緒にやろう」

「ああ、ようやく祖国の念願がかなうかもしれないな」とバルトは言った。謎の男はうなずきながら応えた。

「そうだ。何百年にわたりあの『でかぶつ』に脅かされてきたんだ。そこに住まう人々は卑劣で、傲慢。そのような国が存在する必要はないんだ」。男は満足げな表情を浮かべた。

「そうだ」

バルトは頷きました。バルトはそうだったと思った。そのように教えられてきたのだ。でも実際はどうだっただろうか。長年、霊翼帝国に潜入する中でたくさんの人と出会ってきた。そしてそれは今私にとってどのような存在なのだろうか。ようやく念願がかなうというのに晴れ晴れとした気持ちになれないのはなぜだろう。男との話が終わった後、バルトは一人、街角に立ち尽くしていた。深いため息をついた。周囲の街は驚くほど静寂で満たされていた。

バルトは声を出さずに笑った。もはや自分の中に芽生えた気持ちに嘘をつくことはできない。バルトはゾンネンのことを思った。彼は自分の置かれた状況に打ち勝って、過去の自分に打ち勝った。自分の過去を否定するというのはそれほどに難しいものだということをバルトは知らなかった。


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