第1話:怪奇えちえちジョロウグモ
・特撮ヒーロー風アクション
・えちえち妖怪美少女怪人
・BLじゃない男の子同士のコメディ
・下ネタメタネタなんでもありのゆるゆる文章
以上、やりたい事ぜんぶやる系の息抜き系小説です。
ホントにゆるゆるでやってくのでどうかゆるゆるな目線で読んでください。ゆるゆる。
日本列島、関東某所。
時刻は夕方のちょい前くらいっていうか、フツーに放課後。おやつの時間。
一人寂しくママチャリ漕ぎ漕ぎ家路を目指していた帰宅部エースことオレ、神楽坂香久耶は、少々困った事になっていた。
「クモーッ!」
河川敷沿いの小道の脇から突然現れてママチャリごとオレをぶっ飛ばしてきたクモのバケモノが、あまりにも捻りの無さすぎる鳴き声をあげてクモクモと元気に威嚇してきているのだ。こわい。
どうどうクモさん、話せばわかる。
「クモーッ!」
「やべぇな」
あかん。無理だコレ。話せねぇわコレ。
そりゃそうか、クモだもんな。ニューヨーク在住のメリケンヒーローじゃねぇもんな。
うん、しゃーない。許せる。
「クモーッ!」
下半身がでっかいクモで上半身が色白白髪和服美少女なマニア向けエロスパイダーが、やたら萌え萌えしいアニメ声でクモクモ言いながらワサワサとにじり寄ってくる。
うは、おっぱいでっか。谷間がめっちゃI字だよ。ねぇ写メ撮っていいかな?上半身だけでいいからさ。
あ、ダメだ。腕の骨折れててスマホ持てねぇや。しかも両腕。バッキバキ。うははは。
いたい。
「クモッ!」
どぴゅっ!
「んむっ!?」
ホワッ!?オレの顔面下半分にクモ女が吹き出した白くベタつくナニかが!?
「んむむむぅ!?」
正確には顔面だけでなく、全身がネチョネチョネバネバになっていた。そしてなんか妙に熱い。例えるならアレだ、だしたばっかりのアレみたいな熱さだ。
アレっていうのはもちろんアレです。男たちが己のプライドとせいしをかけて下半身からだすアレです。そう、せいしをかけて。せいしを。せいし。
「クーモクモクモクモ!」
クモのクセにケツじゃなくて口から糸を吹きやがったなんちゃってスパイダーが、めっちゃ嬉しそうにクモクモ笑いながら8本脚をワサワサして更に至近距離まで近づいてくる。かわいいね、かわいいね。くっそきもいけどかわいいね。
っていうかクモちゃん、キミ下半身と両腕合わせたら脚10本もあるじゃん。ちょっとオレに分けてくれない?ちょうどさっき腕折れちゃってさ、主にキミのせいで。ハハハハ。
キレそう。
「クモォォォォォォ…」
「んむぅ…!」
めちゃんこかわいい美少女フェイスでニヤァと笑ったクモちゃんが垂らした透明なヨダレが、ネバネバに拘束されて身動きがとれないオレの額をねととぉーんと濡らす。ありがとうございます。ふぁっく。
…うん、これアレだわ。捕食されるヤツだわコレ。えっちな意味じゃなくて、ふつうにモリモリ食べられちゃうヤツだわコレ。パクッと。アムッと。ムシャムシャと。うーん。
ぴえん。
「んむ…」
一瞬で全てを悟ったオレは、王子様のキスを待つプリンセスの様にいじらしく目を閉じ、祈った。
おぉ、ブッダよ。願わくば来世では、足が8本あったり口から糸を吹いたりしないふつうの巨乳美少女にえっちな意味でイチャイチャッと食べられちゃう様な、18禁エロ漫画的桃色人生を歩めますように。
「クモォォォォォォォォッ!!」
なむあみえいめん、なんみょーほー。
◇
と、穢れなく純粋な心で真摯なお祈りを捧げ奉りまくっていたその時。
そこら中の空気をぜんぶ焼き焦がす様な凄まじい熱量と爆音のエキゾーストノートが、ガチ恋距離真っ只中なオレとクモちゃんにブロロロロッ!っと襲いかかってきた。
「クモッ!?」
…あれ、いまのってクモちゃんの悲鳴?
クモちゃん?だいじょぶ?おっぱい揉む?
恐る恐る目を開けると、クモちゃんは下の河川敷まで見事にぶっ飛ばされていた。
かわいそう、かわいそう。クモちゃんバイクに轢かれてかわいそう。ざまみろ。
「……」
そしてオレの目の前には、クリスタルみたいにスケスケなクリアブルーのフルカウルバイクに跨った、碧色のバケモノがいた。
みどりっぽい田舎の川の化身みたいな、清らかで瑞々しいオーラのバケモノだ。
「んむむ?」
でも、バケモノって言うにはちょっとルックスがかっこよさげ。
キレーな碧色の全身はウロコっぽくて生々しいけど、どことな〜くバイクレーサーのレーシングスーツ風にも見える感じだし、でっかくて青い両目は程よく吊り上がっててクールだし、若干無機質で仮面みたいにも見える顔面は中々にヒロイックでイカしてるし。
あと、頭とか肩とか腕とか脚とか、いろんなとこに魚っぽいヒレが付いてるんだけど、いわゆる半魚人的なダサさとかは全然なくって。
一言で言うなら、人型の龍って感じ。そんな見た目のイケメンフィッシュマンだ。
いいないいな、フィギュアほしいな。秋葉原とかで買えるかな。
「……」
でっかいエンジン音をドンドコドンドコ鳴らしながら、碧色イケ魚人がチラッとオレを見る。
あ、もしかして助けてくれる感じ?それは助かる。ありがとうオサカナさん。
「……」
ぶぉぉぉぉんっ!
「んむむーっ!」
ってどこ行くねーん!
◇
スーパーネチョネチョマンなオレをほったらかして河川敷までバイクで降りていった謎のサカナマンは、汚い土手にすっ転がされた哀れなクモちゃんを再びバイクでぶっ飛ばし、汚い都会の汚い川に容赦なく叩き落とした。
ばっしゃーん!
「クモーッ!」
全身びしょ濡れでおっぱいがスケスケになってしまったえちえちクモちゃんが、ブチギレ全開で白い粘糸をサカナマンに吹き出しまくる。
どぴゅっ!どぴゅぴゅっ!どぴゅるるっ!
「……!」
だが、次々と撃ち出されたクモちゃん自慢のホワイトホットグーは、バイクから降りたサカナマンの両腕に備わった刀みたいに鋭利なヒレで、スパパッ!と容易く切り裂かれてしまった。すんごい。
「クモッ!?」
思わずクモクモと動揺してしまうクモちゃん。ほんとにそれしか鳴かないのねキミ。
そして無言でクモちゃんのそばまでずんずんずんずん歩いていくサカナマン。こわい。
「クモッ、クモッ!」
ばっしゃばっしゃと汚い水面を進んでくる怪人さかな男に、クモちゃんは必死になって白いアレをぴゅっぴゅしまくるが、サカナマンは首を左右にくいっくいっと反らすだけでカンタンによけてしまう。タツジン!
「……」
「クモ…!?」
そこからは、サカナマンによる一方的なクモちゃん解体ショー(グロ注意)だった。
この小説サイトに数パーセント存在するかもしれない金髪ロリ&銀髪ショタ読者たちの健全な育成に配慮して詳細は省くけど、クモちゃんのでっかい8本脚がものの見事にバラバラにされてしまったのだ。
「クモーッ!?」
実に、実にひどい絵面だった。もうひきちぎるわへし折るわヒレでぶった斬るわ踏みつぶすわで、見てるこっちまでイタイイタイってなったもん。腕もイタイからなおさらね。いやだわぁ。
「ク、クモ…」
下半身の大部分を失ってしまい、すっかり虫の息のクモちゃん。
イタイイタイ。もうゴールしていいんでない?
「……」
スッ、と右腕を水平に構えるサカナマン。
すると、あれまびっくり!右腕のヒレがジャキンと伸びて、更に鋭く巨大な刃にパワーアップしたのだ!
か、かっこぇぇぇぇぇぇ!
「クモ…ッ!?」
特撮ヒーロー感マシマシな必殺技ムーブに入ったニチアサ系サカナマン。恐れ慄くクモちゃんの濡れスケおっぱいにも容赦せず、サカナマンは高らかに右腕を振り上げ、そのまま一気に振り下ろした。
「…ハァァァァッ!」
(あ)
——めっちゃめちゃ聞き覚えのある、オレの大好きな親友の声をあげながら。
マジかよ、知らなかったわ。いやホントのホントにはじめて知ったわ。
(みずっちだ)
お前、ホントはおさかなさんだったんか。
妖怪を物理でぶっころがしちゃダメだろって思ったそこの貴方。多分みずっちにもなんか妖怪的な謎パワーがあるんですよきっと。そういうことにしとこうよ(プロット皆無)