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許されざる者たち


       『人は、自由に値しない。』





天翼の村にウーザリィーヌ王国の兵士の一団が到着していた。


人数は20名程


あまり多くない



「ウザリヌの方々、よくぞいらっしゃってくれました」


天翼の族長が挨拶をする。



「自らの集落の守護を頼るとは、翼の戦士の質も落ちたモノだな 翼が無ければ後はカビ臭い誇りしかないだろうに…」


兵士の隊長は吐き捨てるように言った。



「お疲れでしょう、水でも…」


天翼の女性が水差しを持ってくる


「いらぬ」


兵士は女性の水差しを払いのけると、そのまま歩いていった



ガシャン、辺りに乾いた音と水が飛び散った



「そして、我々は”ウーザリィーニェ”の戦士だ 正しく発音しろ 嘴ではないんだからな」




明らかに見下している

純然たる差別がそこにはあった 隠すことも、繕うこともしない




兵士たちが、ざわざわと談笑を始める

下品な笑い方で、聴こえるように話し出す これ見よがしに


「はー、田舎を思い出すよ この鳥臭さ まるで鶏小屋だ…」


「だが、奴らの羽は高く売れるって聞いたことあるぞ 帰りに何羽から毟って行こうか?w」



貶めと、侮辱と、侮蔑


全てが凝縮されたような会話だった。



「お食事の準備が出来ました」



族長は冷静な顔で対応する。


村人の何人かは、怒りの表情を隠せずにいる


モレの許嫁、生贄の少女の許嫁は唇を噛み切っていた その血は赤い



「田舎の料理というのは、どうも癖が強い… 匂いからして野蛮だ 獣臭い」



まぁ、獣だかわからぬ 人の成り損ないが作った料理なら当然か




兵士たちは、あまり料理に手を付けなかった


そして持参した酒を飲みだす、護衛の為に来たのではなかったか?



「それで? 生贄は? とっとと捧げたのか??」




次の瞬間、隊長は倒れる


料理に顔ごと突っ込んで


族長が剣を握っている、切り伏せたのだ


「うわぁぁぁあああああああ!!!!!」


「貴様ら、何の真似だ!!?」



ウザリヌの戦士たちは どよめき立つ

しかし、武器は預けていて丸腰だ


回りにいた天翼の女性たちが次々に短刀を取り出し、兵士たちを組み敷いていく



族長

「騒ぐな、全く 大人しく料理を食べていれば薬で眠らせ、苦しまぬよう逝かせてやったモノを…」



「貴様!!!!!反逆行為だぞ!!! ウザリィーヌと敵対する気か!?」



「おい、ウーザリィーニェではなかったのか? 正しく発音せんと如何よ 自分の母国だろ?」



ザク


兵士の眼が一瞬めいいっぱい開き、そして光を失う



「誇りある戦士であるなら、こちらも誇りある戦いで相手をしなければなるまいが 貴様らのような”輩” 汚い奇襲で充分。」


会話を聞いてるだけで、反吐が出るよ



兵士は次々と処された、何人かは天翼の民に捕まれ空高くから落とされた。



「出来るだけ多くの兵を、と頼み 村の現状も伝えたのに

 たったの20人、しかも兵士としては未熟な者ばかり

 我らの駄々洩れの殺意に気付かず、無警戒、煽り散らすとはな」



あっという間に一人なる



「お前は、伝令として生かしてやる」


族長は足に剣を突き立てた


「フグゥゥゥゥウウウウウ!!!!」


口を抑えられた状態の兵士は悶絶する。


「その足で必死に走り、ウザリヌの愚王に伝えるがよい…」




”我々、天翼の民はこれより貴様らとの同盟を破棄!!!!

 今後は頭上に怯えよ!!! 我らは空から、貴様らの命を刈り取るぞ!!!!!!”




生贄は、今後 お前たちの国から差し出せ


お前達自身が苦しめ。






「族長…」


事の後始末をしている時に、モレの許嫁が震えながらやってくる



「確かに、私もウザリヌは嫌いだ、あいつらの言葉だけは絶対に許せない…しかし、これは…」



「だから、お前を生贄の旅から外した 子供のお前には荷が重過ぎる こいつらは敵だ 敵を始末して何が悪い」



我々の差し出す生贄にさえ、何の敬意も払わぬ愚か者ども

マノモノより質が悪い



「この地は、雪灰が増えた 一族の歴史ある場所だから守って来たが もう限界だったのだ

既に、多くの天翼の民が各地に散らばっている、わしの息子も死んだ 頃合いだ」


「モレは!!! モレが生贄になって、雪灰だって収まるでしょう!?」


「一時的だ、根本的な解決にはならない ウザリヌとの隷属関係は限界だった

 しかし、確かに今回はもう生贄の期限が迫っている 失敗すれば大変な事になる。」



族長

「大人になれ…とは言わん、こんなのが大人とも思って欲しくはない お前は優しい

 こんな方法で手を汚す天翼の民の長はワシが最後であって欲しいと願うよ」


族長の眼は、とても悲しく暖かく瞬いた


もう、何も言えなかった…




我らは、天翼の民 その翼は天使の眷属の証 囀る鳥に在らず


誇り高き御使いの尖兵なり_。




「カラマリの長に、伝えよ ”計画は半分 成功したとな”」






もう、目が半分開かない


喰らったのは蹴りだった、それをみぞおちに貰い 息がまだ出来ない


次の瞬間、斬りかかるキジマサさん


速い、超反応


しかし、それすら後ろ向きに躱した黒鉄の騎士は剣を一線


キジマサさんの腕と羽根が綺麗に切断され、吹き飛んだ



「スー・・・ア・・・!」



スーアと生贄の少女は、放心状態だ



絶体絶命である。





つづく


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