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黒鉄の騎士


        神が、この世界をこのように設計したのは間違いないが


         なぜ、このように設定されたのかは、わからない。





イケニエの旅も


もう10日程になったか


思うように進んでいない、天翼の村から この地域の生贄の祭壇までは

そこまで遠くないというのに


マノモノの襲撃も激しい

やはり、生贄の旅を邪魔するのが目的なのか?


なんら、目的も思考も読めない

黒い霧みたいな連中だが



夜の焚き火でスーアと話す


「なぁ、私が死んだら お前は泣くか?」



「もう、何回目だよ その質問… 今までの合計したら100回は答えてるぞ」



スーアの気分がネガティブになっている証拠の質問だ


正確には、137回目の質問になる。



命がけの戦いをしている仲間、相棒同士なら まぁ一度は誰しも語り合うのかもしれない

そして、何度も想像するのだろう


こいつが死んだら、俺は?


俺が死んだら、こいつは?



泣くと答えたのも、泣かないと答えたのも


悲しいと答えたのも、別に何も感じないと答えたのも


もうあらゆるパターンを答え尽くしていた


泣くと返事したのも50回以上はある



なんと、答えても結局は納得しないのだ


気持ちは、わかる



結局、その時が来ればわかるのだ



「ヤマイソだっけ、あいつが死んだときモレっちは滅茶苦茶泣いてたな」


「あの村で共に育ったんだ、俺達と同じ幼馴染みたいなもんだよ 当然だ」


(モレっち…?)


「キジマサの姉御は、泣かないで 厳しい眼で 何かを睨んでた」


「自分自身や、最近の部下の事を見つめてたいたのかもな 強い分、仲間の死を見つめ過ぎたんだ」



ヤバイ、ウトウトしてきた…火の番なのに…

もう疲れがヤバイ


「……なぁ、私が死んだらさ…」



まだ、言ってんのか… スーア……




「変わりましょうか?」



俺は眼を覚ます


「しまった、寝てた…どれくらい?」


「大丈夫ですよ、スーアさんもあなたの横で寝ています 仲が良いのですね」


恥ずかしくなり、スーアの顔を乱暴にどける



生贄の少女が起こしてくれたらしい



「…あんまり、話したくないんだけど…」


コクンと、生贄の少女は優しく頷いた


こちらの事情も汲んでくれているらしい…



「イケニエの儀式とはどんなモノなんでしょうね、ただただ ”イーェス”と心の中で繰り返せと教えられてはいますが…」


「何度か見た事があるけど、”神との対話”は俺達には聞こえないんだ 何かが語り掛けてくるらしい」


「そして、イケニエは…」


モレは、生贄の少女はすこし震えている


「消える」



沈黙が流れた後、俺はその場を離れた


そこからは一睡もしなかった




さあ、もうすぐ生贄の祭壇だ


祭壇と言っても大きな木が生えているのだが



ここまで、死者はヤマイソだけだが


同行者の何人かは重傷を負い、そこで待機させた

帰りにピックアップするか、もしくは可能なら村まで自力で戻るか



大いなる木も見えてきた


ここまで来れば



スーアが駆け出した


全く、あいつは落ち着きが…



瞬間、嫌な予感がした



「離れろぉぉぉぉおおおおおお!!!!!」



キジマサさんの叫び声



黒い何かが、”線が”俺に迫ってくる


速すぎて、そうとしか見えていないだけだった



何かが当たり、身体が吹き飛ぶ…!!


「がっ…はっ!!!!」



その吹き飛ぶスピードでさえ尋常ではない



スーアが腰を抜かしている


(バカ、早く逃げろ…)



無骨な鎧に、全身を 頭部を


ボロボロのマントを羽織った


黒鉄の騎士が、そこに居た。




つづく

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