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シビトの病


神は人を創り、人は人工知能を作った。


神は絵を描かれない、人は絵を描いた、人工知能も絵を生み出すようになった


神は絵を描かれない、人も絵を描かなくなった

人工知能は人より、遥かに美しく正確な絵を一瞬で生み出していった


人は、絵を描くという無駄な作業から解放され 幸せになりました。


それは、物語や歌も同様に_




巨大なマノモノの巨体が倒れる。


キジマサさんが、剣を振り、穢れを落とし、納めた


圧巻の強さだった


こんなにも強い人が率いた鳥の一団が壊滅したのだ


相当に恐ろしいマノモノだったのだろう…



生贄の旅だが

羽があるなら飛んでいけば良いのに、という話になる。


そこには、幾つものそう出来ない理由があった



まず、応援である僕らが飛べない


イケニエの旅で飛ぶ事は禁じられている

理由は知らない、そういうものなのである。


雪灰が多い地域で飛ぶのは危険である。


生贄を狙った翼を持った強力な”魔物”が出現する為

空旅は危険である。


「■■■が■■かす■■■■…」


ん?他にも大事な理由があったような気がしたが、思い出せない

まぁ、飛ばなければ良い話である。



自分や他の護衛で、小柄な”マノモノ”を相手する。


俺とスーアはコンビネーションがウリだ


よく連携が取れている


というか、腕が劣るスーアを上手くフォローして攻撃を繋げるのが俺の役目だった


だが、そんな戦い方をしている内にバラバラで戦うよりも強くなっていた


スーアに守りを任せるのは安心できる。



キジマサ 『すこし、休みましょう』



俺たちは大丈夫だったが、他の護衛と生贄であるモレさんは辛そうだった


普段は飛んで移動するのもあるのかもしれないが


テンションがただでさえ下がる旅である。


マノモノの数もやけに多い、消耗している


「カゴでもあればいいのだが、この少数ではな… 担ぎ手に人手が割かれるし カゴは標的になる 機動力も乏しい」



大軍なら囮なんかも用意出来るが

我々ではこれが精いっぱいだった



モレさんが、何か話したそうにしている


が、俺は無視した


スーアは気にせず話している


生贄として送り届ける人と、親しくなんて俺はなりたくなかった



途中、”止人”の群れに遭遇した


シビト、死んではいない


止まった、停止した人々である。



この世界にある、三大奇病の一つであった。


人々が、急に動かなくなるのだ


身体が硬直してしまうような病は他にもあるが


このシビトの病はそれとは明らかに違う



シビトは呼吸さえ止まっている、なのに死なない

シビトは何も食べられない、なのに死なないのである。


モレさんがシビト達に、祈りを捧げている

キジマサさんがそれを側で見守る。



他の護衛の天翼の一族に話を聞いた

キジマサさんの母親も、去年 シビトになったのだ



スーアがじーっとシビトの眼を覗き込む


「やっぱり、なんかぐるぐるしてるな」


眼の中で何らかの文様が回転しているように見える


ゆえに、別名ぐるぐる病とも呼ばれていた。



「私が生贄になれば、この方々も治るかも…」



生贄を捧げると、その地域のシビトが動き出すというのは実際に、報告されている話だった


全員ではなく、どんな因果かは不明


だが、やはり生贄は尊く必要であると納得せざるを得ない現象だった。


病気、というよりは何らかの呪い、神罰と唱える者も多かった



「行こうぜ、次は俺が前に出る!」


天翼の護衛の一人が、シビトの肩にたまった雪灰を払って そう言った。


俺達と歳が近いだろうか

ライバル意識のようなモノを感じた


この陰鬱な旅の中での


ポジティブといえる感情の機微だった


名はヤマイソ


救われる



マノモノとの戦い、傷ついた天翼の人々、生贄の少女の想い、スーアのドジ


心も身体も疲弊する一方だった



「頼むよ」




そう、俺が答えたのが2日前だったか


ヤマイソは死んだ



マノモノの猛攻を抑えきれなかった…

犠牲者は彼一人


生贄の少女は大声で泣いていた





つづく





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