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いけにえ


        「ある日 思った、自分以外の全てが、嘘なのでは…?と。」




世界には、生贄が必要だ。


故に自己犠牲は美しく、気高く、甘美で、悲劇で、愛で


誰からも尊敬される行為である


そう、遺伝子に

思想に、意志に刻み込まれてるとしか思えなかった。



多くの文明で生贄が求められた

それは ある時、穢れなき女性を求めた


多くの文明で戦争が求められた

それは ある時、無数の男達を特攻させた


それはどれも、”平和”を求めるが故の犠牲だった。



だが、いつも思うのだ

皆が生贄たちを華々しく送り出す中で 子供の私は

不敬な事を想った、罪深きことを…



 『 生贄を求める神など、ろくでもないモノではないのかと… 』



スーアが花を摘んでいる

墓所に良く咲く花を


迷信だろうが、死が集まる場所に咲くという花がある

誰も正しい名前を知らない

名を付ける必要がない

” 死者に手向ける花 ”、で充分だからだ


呪われた花だと普段は忌み嫌うのに、死者に向けてだと皆で一所懸命 集めるのだ

生者と死者は違う

そこは明確に、差別し、区別し、死別しなければならない…。



スーア「おい、ヤミグモ サボってないでお前も手伝え」


美しい黒髪と白い肌の女が、墓の花を持って夕日を背にしている

一瞬、何かの絵画かと思った。


気持ち悪い感想なので、スーアには内緒だ。


ヤミグモ「そんなもんで充分だよ、行こう 夜になる。」



今にも死者たちの呻き声が聴こえてきそうだった

夜は近い、死者の時間は近い


風が生暖かい、こんなにも冷たいのに…



次の日、俺たちはムラオサに呼び出された


どうやら、近くの村で大量に死者が出たらしい


”マノモノ”にやられたのだ



ヤミグモと私は、若いが立派な働き手だった

剣の腕を同じ師匠の元で磨き

幼き頃より姉弟同然に一緒に育った。


傭兵のような、戦士のような、そんな扱いを周囲から受けていた



村長「その村のイケニエの護衛がいなくなった、お前達が行ってガードしてやれ」


ムラオサめ……、どうせ その村から高い金をふんだくってるに違いない


いつもそうだ、ガキの頃からそうだから

あまり疑問に持たなかったが、こういうのを”搾取”というらしい

私らが危険な仕事をし、村長が儲ける

ヤミグモから教わった


「行こうか、頼りにしてるよ 相棒」


「うるせー、誰が相棒だ」


そう返して、私は相棒と呼ばれた事を喜んで 緩ませた口元を隠した



(コイツは顔だけはいいから厄介だ…)



私と幼馴染のコイツで

天翼の一族の村へと旅立つ



生贄を守り、殺す旅に_。




つづく

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