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第49話(最終話)「願わくば、この幸福が一時でも永く続きますように――」

おいでませ。

これが最終話となります。最後までよろしくお願いします。


「私ね、多分薫風(くんぷう)さんに初恋していたと思うんですよ」

「「「ぶっ!」」」


『よすが』にいたお客・璃月(りつき)千秋(かずあ)が一斉に空気を吐き出した。薫風ですらコーヒーをいれていた手を止めて。

 だって突然心霊(みれい)が告白したから。それも皆に聞こえる声でだ。


葵月(あおつ)さんに最期に伝えたのもこの真実ですよ」

「そ、そうか」


 珍しくキョドっている薫風。

 心霊はそれを見て面白そうに笑って言葉を続ける。


「薫風さんと出会ったのは偶然でした。

 喫茶店巡りをしていた折にお見かけしたんです。

 奥さまを亡くされても気丈に振る舞っていた貴方を。

 けれど、淋しそうに見えたんです。

 その時はただ同情を感じたんだと思っていました。

 でも良く考えたら違うかなぁ、って。

 だって同情なら今までいくらでもしてきました。

 一緒にいて支えてあげたいと思ったのは薫風さん、貴方が初めてだったんです。

 一目惚れと言うモノだったのでしょう」

「過去形か」

「過去形です」


 お客と璃月と千秋が心霊を凝視している。耳だって最大限に大きくなっている。一言一句聞き逃すまいと。


「今はね」


 近くにいる人物――璃月の手を取る、心霊。


「きっと璃月くんに恋しています」

「――ッ」


 璃月の顔色が真っ赤に染まった。まるで今はナリを潜めている左目の花のような色に。


「私、貴方の血筋に弱いんですかねぇ」

「ふっ。

 璃月は俺に似ているか?」

「ええとても良く」


 笑いあう二人。

 動揺するお客。

 固まる璃月。

 複雑な表情を浮かべる千秋。

 それら全てを見回して、心霊は一つ呟くのだ。


「願わくば、この幸福が一時でも永く続きますように――」




 バグは今も生まれ続けている。

【ドリーミー】も残っている。

 ブラッドサンドも活動を続けるだろう。

 問題はあれど、この場は確かに幸せに満ちていて。




 だから心霊は今日も、微笑みを浮かべるのだ。




 了

第49話(最終話)、お読みいただきありがとうございます。

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では!

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