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ノリノリでお茶会に乗り込んだわけなんだけど、いざ着いてみるとなぜかそこにいるメンツがあたしの知ってるイジメお茶会の参加者と全然ちがうことに気がついた。


本来ならマデリーンと取り巻きAB、それにあたしって構図だったのよ。


でも、取り巻きABの代わりになぜか攻略対象の婚約者たちが参加してるし。


しかも、攻略対象のイケメンくんたちまで招待されていて、あたしの顔を見てちょっぴり気まずそうに顔を反らしたりしてるのよ!?


意味わかんない!


「よく来てくださったわね、フィオナさま」


あたしを見たマデリーンは、立ち上がってにこやかにあたしのことを出迎えた。


「もう皆さんいらしてるわ。こちらにお座りになって」


そう言って指し示した席は、マデリーンの左隣。反対の右隣には、マデリーンの婚約者で王太子のマイケルが座っている。


なんかもしかして、この席って上座ってやつで、平民のあたしが座ったりしたら『下賤な平民如きが座ってよろしい席ではなくってよ!』的なお叱りを受ける席なんじゃないかなーと思って、ちょっぴり期待しながら座ってみたんだけど何も起こらなかった。チッ。


で、何事もなく和やかにお茶会は始まったわけなんだけど、和やかであるものの空気がやたらと重い。


王太子であるマイケルと、宰相の息子であるディエゴ、騎士団長の息子のナサニエルにはそれぞれ婚約者がいて、その婚約者たちもこのお茶会にそろって参加している。


攻略対象たちと婚約者たちは、もともとあんまり仲が良くない。婚約者たちは攻略対象にほんのり恋心を持ってるみたいなんだけど、婚約者たちはそれに気づいてなくて政略結婚だりーくらいにしか思ってない。


で、そこに颯爽と現れた天真爛漫な美少女のあたしに対して、今はちょっぴり興味持ってます状態なわけよ。


さすがに婚約者と浮気相手(予定)が、同じテーブルに同席してるのは気まずいんだろうね。


ちなみに、ゲームの中では婚約者たちと友達になって、その恋を応援しますルートなんてのも存在する。



一方、婚約者がいない大店の息子のサムと、学園教師のバリー先生はリラックスしてお茶会を楽しんでいるみたいに見える。


何はともあれ、これはあたしが待ち望んでいたイジメお茶会ではないっぽい。いくらなんでも、このメンツの前であたしに紅茶をかけたり、あたしの差し入れクッキーを踏みにじったりなんてできるわけないもん。


そう判断したあたしは、とりあえず難しいことを考えるのはやめて、目の前のスイーツを堪能させてもらう事にした。


マロンクリームをさくさくのパイ生地で挟んで層にしたもの、日本人には懐かしい抹茶風味のクリームブリュレ。


極め付けはチョコレートケーキ!


ドーム型のチョコレートに温めた生クリームを十文字に掛けるとそのチョコレートのドームがさっと開いて、中からイチゴがたっぷり乗ったザッハトルテが出てきたのよ!!!


あたしは歓声を上げてケーキに貪りついた。


だってケーキだよ?


日本にいたときは好きな時にいつでも食べられたけど、転生してからはケーキなんて庶民には贅沢品。滅多に買えるもんじゃないんだよ。


しかも公爵家のお茶会だけあって、このケーキは一級品。紅茶も良い香りがしてめちゃくちゃ美味しいし、あたしはこんな素敵なお茶会に招待してくれたことを、思わずマデリーンに感謝しちゃったわ。


ありがとう、マデリーン!


他の人たちは、最近国交が開通した隣国との交易がどうのとか、どっかの伯爵領で開発中の魔道具がこうのとかなんか難しい話をしてたけど、あたしにはさっぱりちんぷんかんぷんだったから、そんなことはまるっと聞き流して無言でスイーツを食べまくった。


気がついたらテーブルの上に乗ってたスイーツが半分ばかり無くなってたけど、全部私が食べたわけじゃないと思いたい。


さすがにお腹いっぱいになっちゃったけど。


イジメイベントも始まらないし、スイーツも胸焼けするほど食べたし、他の人たちはあたしにはどうでもいい難しい話を相変わらず続けてるし、退屈だしもう帰ってベッドに横になってごろごろしたいなーなんて考えてたら、マデリーンがそっとあたしに耳うちしてきた。


「で、誰が本命なんですの?」

名前を考えるのがめんどくさ……もとい大人の事情で、ある海外ドラマから名前をまるっと拝借しました。

役者さんの顔と吹き替え声優さんの声で再生されると、話がめちゃくちゃカオスになるので、ググるなよ、絶対にググるなよ。

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