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Cafe Shelly

Cafe Shelly 幸せの花を咲かせましょう

作者: 日向ひなた

 まさか、こんなに周りから反対されるとは思いもしなかった。気がつけば孤立無援。誰も私の思いを理解してくれる人はいない。どうしてこんなことになったのか。それは私のこの一言から始まった。

「私、ちんどん屋になる!」

 この言葉に驚いたのは、まずは親。当然だろう。大学まで出て、大阪でそこそこの企業に就職をして、彼氏までできてさぁ結婚でも、なんて思った所でこんなことを言い出したのだから。

「春奈、何考えてるのよ。そんなバカみたいなこと、本気で思っているの?」

 私は至って真面目。次に驚いたのは彼。もう結婚を約束して、結婚式をどうしようか、なんて具体的に考えようとしていた矢先のことだから。

「おい、またどうしてちんどん屋なんだよ? お前、アホじゃないのか? それこそ、あんなのはアホのやることだろう」

 その言葉にはさすがの私もムッとしてしまった。おかげでその日は喧嘩別れをして、それ以来連絡をとっていない。

 せめて友だちは理解してくれるだろう。そう思って相談したのだけれど。

「はぁ? なんであんたがちんどん屋?そりゃ、あんたちょっと変わっているところがあるとは思ってたけど。ムリムリ、そんなのやめときなって」

 相手にしてくれない。そもそも、ちんどん屋なんて職業がまだこの世に存在するのか、なんてことまで言われてしまった。

 どうして私がちんどん屋をやろうなんてことを思ったのか。そもそも私は「人に笑顔を与える仕事」に就きたいとずっと思っていた。だから大学を出て、就職をするときもたくさんのお客様と触れ合えるようなものを選んだ。それが営業の仕事。おかげで私はたくさんの人とふれあい、その中でみんなが喜んでくれるものを提供することに誇りを持った。

 けれど、私を上回る人と出会ってしまったのだ。それがちんどんの親方。これも、些細なきっかけだった。

 営業で街を歩いていた時に、遠くから賑やかな音が聞こえてきた。太鼓と鐘の音、楽しそうな音楽、そして口上。まさか、インターネット全盛期のこの時代にこんなレトロな宣伝をやっている人たちがいるなんて。まずはその存在に驚いた。と同時に、私もその音にあわせて足踏みをしながら彼らの後を追っていたことに気づいた。

 すごい、こんな衝撃は初めてだ。行く先々でみんなが笑顔で寄ってくる。私はただ彼らの後を追っているだけなのに。こんなにも楽しい気持ちにさせてもらえるなんて。夢の様なひととき。そして、私は親方と出会った。

「まったく、ちっちゃな子どもならまだしも、こんな大人のいいねぇちゃんが、ちんどん屋のあとを追いかけてくるとはなぁ」

 休憩の時にそう話しかけてきたのが親方である。年齢は私の親よりまだ上なくらい。だが、背筋がピンと伸びて、チンドン太鼓を背負って向上をする姿にかっこ良さを覚えた。

 この時に思った。私もこれ、やってみたい、と。そのことを親方に話すと

「何言ってやがんでぇ。お前、簡単にできると思っているだろう? そもそも楽器はできるのかい?」

「はい、中学の時に吹奏楽をやっていて、サックスを担当していましたから」

「ほう、サックスか。なら、ちょいと吹いてみるかい?」

 そう言って貸してもらったサックス。久々に触るし、曲も大したものは吹けない。けれど昔とった杵柄。体がその感覚を覚えていた。

 ちょっと怪しいながらもなんとか一曲吹いてみる。そして吹き終わったあと、周りを見ると…いつの間にか人がたくさん寄ってきていた。そして拍手。そこで私は、自分の手で周りの笑顔を作り出したことに気づき、そこに快感を覚えてしまった。

「なかなかやるじゃねぇか。まぁ暇な時だったら少しは芸を教えてやらぁ。時間のあるときにオレんとこにこい」

 これが私とチンドンとの出会いである。

 休みの日に親方のところに足を運び、少しずつ芸を習う。最初は趣味程度のものだったのだが。手が足りないからと、土日の仕事に同行させてもらい、一緒にチンドンをやらせてもらった時に思った。私、ちんどん屋になりたい、と。私達が練り歩くと、笑顔がどんどん広がっていく。それを実感できたからだ。

 しかし、周りの反応は先程言った通り。こんなにも冷たいものだとは。親方にそのことを話すと、こんな風に返された。

「バカやろう。お前がちんどん屋になるなんざ、とんでもねぇ話だ。特にお前は女なんだから。こんな世界に足を踏み入れるもんじゃねぇ。女なんざ、結婚して家庭に入って旦那さんと子どもの世話をしてりゃいいんだよ」

 昔ながらの親方だから、言葉も荒い。だが私はわかっていた。こんな芸の世界に入っても、お金がそうそう得られるものではない。仕事そのものも多くはないし。親方は生活保護を受けながらチンドンの仕事をしている。

 そんな中でも、一緒にチンドンを回った時にはアルバイト代を渡してくれた。親方は私に苦労をさせたくないのだ。本当は後を引き継いでくれる人が欲しいと思っているのはわかっている。

 私は悩んだ。本気でちんどん屋をやってみたい。けれど、誰も賛同してくれない。親方ですら、私に本気でちんどん屋になれとは言わない。孤立無援、この状況でどうすればいいのだろうか。

 そんなとき、ある人の講演会を聞いた。私の地元で活躍しているコーチングの羽賀さんという方の講演会。メガネを掛けてニコニコしている顔がとても印象的だった。そこでこんな言葉を聞いた。

「今、目の前に起きている困難や障害。これは喜ぶべきことなんですよ」

 これにはちょっと驚いた。でも意味を知ってなるほど、と理解できた。

 人は速いスピードで前に進めば進むほど、風の抵抗を受ける。今起きている困難の大きさが、その人の成長のスピードと比例している。そして、その風の抵抗を上手く利用すれば揚力となって空へ飛び立つことができる。あとはその抵抗をどう活用するかを考えればいいだけだ、と。

 私は手帳にその言葉をメモ。なんだかスッキリした気持ちになった。そしてもう一つ、こんな言葉もいただいた。

「今、ここに集まっているみなさんは偶然に集まったんじゃないんです。必然的に、助け合うようになるべく集まったのです」

 そこでふと隣の人と目が合う。私より少し年上の男性。なんとなく気持ちが落ち着く人だ。講演会が終わって帰ろうとした時、その人からお茶でもいかがですか、と声をかけられた。

 ナンパ? って感じでもなかったが、ちょっと気になったのでその人について行った。そこでお互いの夢を語り合うことになった。

 彼は省吾さんといい、普通の会社員ではあるのだが、ゆくゆくは沢山の人を喜ばせるようなことをやってみたいという。ただ、それが何なのかはまだ見えていないとか。私と同じじゃない。そこで私はちんどん屋になりたいという話をした。今までの経緯も含めて。

「ちんどん屋、いいなぁ。ボクも一緒にやらせてくれないか?」

「えっ、一緒に?」

 そこから話はトントン拍子に進み、親方のところへ二人して週末弟子入り。そんな二人が恋に落ちないわけがない。こうやって付き合い始めて、三ヶ月後にはプロポーズされた。私も省吾さんなら、という思いが募りイエスの返事。

 私のことをこれだけ理解してくれている人は初めてだし。一緒にチンドンをやれそうな感じ。親もチンドンにはまだ反対だが、省吾さんと週末に趣味程度であればということで許しが出て、めでたくゴールイン。

 ところがその矢先。省吾さんに転勤辞令が出てしまった。あまりにも急な話だったのと、以前は毎週通っていた親方のところにも結婚後は足が遠のいていたのもあり、親方には黙って転勤。そして私たちは私の地元へと住まいを移すことになった。

 急な引越しも終わり、私の中にはちょっとぽっかりと穴が開いてしまった。あれだけ熱心だったチンドンも、結婚してからはちょっと間が開いてしまい。省吾さんも仕事が忙しくなり、チンドンどころじゃなくなり。私は専業主婦としての毎日を過ごすことになった。

 だが、専業主婦は私には向いていない。気がつけば再びちんどん屋へのあこがれが深まって。ある日、省吾さんにこの胸の内を打ち明けてみた。

「そうか、春奈はやはりチンドンをやってみたい、ということか」

「うん、でも習う人もいないし、私一人でできるかな?」

「大丈夫、ボクもできる限り手伝うから。やってみなよ」

 省吾さんの後押しもあり、チンドンを復活させる決意が固まった。とはいっても、チンドンの道具は大阪の親方から借りていたので一切手元にはない。一から手作りだ。ピンクの派手目なドレスを自作。チンドン太鼓が欲しいところだが、これは難しそうなので自分の得意なサックスをインターネットで格安で手に入れた。

 そしていよいよチンドンデビュー。何の予告もなしに、いきなり朝市の会場に楽器を持って躍り出た私。

「とざいと〜ざい」

 突然の掛け声とサックスの音楽で驚く人たち。本来ちんどん屋は何かの宣伝をするために行う行為。その依頼主がスポンサーとなり、お金を頂いてやるプロの宣伝マンがちんどん屋。しかし今回は決まった宣伝がない。だから目に入った朝市のお店一つ一つを勝手に宣伝しまくる。これが意外にウケて。

「おねぇちゃん、こっちも宣伝してよ」

「はぁい」

 こんな感じであちこち宣伝しまくり。中には売り物をくれたり、さらには終わってから私に千円ほどのお金をくれたお店まである。

 これはいける。もっと本格的な衣装や小道具を揃えなきゃ。来月の朝市でもぜひやってみよう。だが、これはみんなに評価されたわけではなかった。真っ先に駆け込んできたのは両親。

「春奈、あんた何はずかしいことやってんの!」

 どこから聞きつけてきたのかわからないが、こんなことはやめてくれと懇願されてしまった。これにはさすがにへこんだ。私は自分の信じた道を進みたい。

「省吾さん、私、どうしよう」

「春奈は春奈の信じた道をいけばいいんだよ。ボクは応援しているから」

「省吾さん…ありがとう。でも…」

「でも、なんて言っちゃダメ。自分の力でやれることをやりきってからその言葉を言いなさい。そうそう、いいニュースがあるよ」

「何?」

「ボクと春奈が出会った講演会、覚えているだろう。あの時の講師の羽賀さんと知り合うことができたんだよ。なんと、うちの会社のコーチング指導をしてくれることになってね」

「えーっ、ホント! あの人に会ってみたいなぁ」

 私はあのとき、羽賀さんの講演会を聞きに行かなければ今はなかった。もちろん、省吾さんにも出会うことがなかった。そして思い出した。今起きている困難や障害は喜ぶべきものだ、ということを。

 翌日、省吾さんはさらにうれしいニュースを持ってきてくれた。

「羽賀さん、春奈に会ってくれるって。今度の土曜日の午後で良ければいかがですかって」

「行くいく、もちろん会いに行く!」

「そう言うだろうと思って約束してきたよ。場所はね…」

 こうして私は羽賀さんに会えることになった。羽賀さんと会って何か突破口が見つかれば。そわそわしながら土曜日が来るのを待った。

 そしてその日、私は省吾さんと一緒に待ち合わせとなっている喫茶店へと足を運んだ。

「カフェ・シェリー、ここだね」

 通りに黒板の看板があるビルの二階。ここがカフェ・シェリー。階段を上がり扉を開ける。

カラン・コロン・カラン

 心地良いカウベルの音。同時に聞こえてくる女性店員のいらっしゃいませの声。そういえば喫茶店なんて久しぶりだな。

「あ、羽賀さん、今日はありがとうございます」

 見ると、店の真ん中にある三人がけの丸テーブルにあの羽賀さんが座って待っていた。

「どうも、こんにちは。あらためまして、羽賀純一です」

「こっちが先日話したうちの家内の春奈です」

「春奈です。よろしくお願いします」

 ちょっと緊張してしまったが、羽賀さんのにこやかな笑顔ですぐに私は打ち解けることができた。

「春奈さん、ちんどん屋をやろうとしているんですってね。いやぁ、ちんどん屋なんてずいぶんお目にかかっていないからなぁ。確か子どもの頃に見たきりですよ」

「あ、私この前の朝市で見ましたよ。あれってこの方なんですか? ああいうの、すごくいいなって思いましたよ」

 女性店員がお冷を持ってきた時にそう言ってくれた。

「はい、私です。見てくださったんですね。うれしいなぁ」

 その言葉に思わず顔がほころんでしまった。女性店員の言葉を機に、私はタガが外れたように喋り始めた。

 チンドンを始めたきっかけ、大阪の親方で修行をしたこと、省吾さんとの出会いとチンドンの日々、結婚を機にちんどんから足が遠のいたこと、そして思い切って朝市でチンドンをやってみようと思ったこと。次々と私の経験が言葉で引き出されてくる。

 不思議なのは、話したいことがどんどん頭に浮かんでしまうこと。後から省吾さんに言われて気づいたのだが、これは羽賀さんの聴き方がとても上手いからだということだ。上手な頷きと促しの言葉、さらには興味を持って聴く態度など。おかげでお冷のお水がすぐに空になり、何度か入れてもらったのを覚えている。

「なるほど、春奈さんもいろいろな思いをされていたんですね。で、今悩みなのが両親から反対されているってことですか」

「はい、恥ずかしいことはやめてくれと」

 この話題になって、私の口は急に閉ざされてしまった。しばしの沈黙。

「そういえばそろそろ飲み物を注文しませんか? このお店には面白いコーヒーがあるんですよ」

「面白いコーヒー、ですか?」

「はい、まずは飲んでみてからのお楽しみ。マイちゃん、シェリー・ブレンドをお願い」

「はぁい」

 面白いコーヒーってなんだろう? 私はカウンターの方をあらためて眺める。

すると、ちょっと渋めのマスターがにこやかな顔でコーヒーを淹れている。

 あらためてお店を見回す。なんか居心地のいい空間だな。このお店、気に入っちゃった。

「春奈さんはどんなちんどん屋を目指したいのですが?」

 突然の羽賀さんの質問に、私はちょっととまどってしまった。どんなちんどん屋、これ、考えたことがなかった。しばらく悩む時間が続く。

「はい、お待たせしました。当店自慢のオリジナルブレンド、シェリー・ブレンドです。飲んだらぜひ感想を聞かせてくださいね」

 マイちゃんと呼ばれた女性店員が運んできたコーヒー。なんだか本格的なのは久しぶりだな。とても良い香りがする。

「いただきまーす」

 早速一口、口に含んでみる。コーヒー独特の苦味と酸味が口の中に広がる。と同時に自然に顔がほころぶ。

 あぁ、こんな感じを人に与えたいんだよなぁ。みんなが安心して自然と笑顔になれる。それが桜が満開になったときのように広がっていく。まるで花咲かじいさんのようだ。枯れ木に灰をまいたら花が咲いたように。私のチンドンが通ると、周りに笑顔が広がっていく。そして幸せを感じてくれる。

「幸せの花を咲かせる、か」

 何気に口にした言葉。とてもいいフレーズだ。

「幸せの花を咲かせましょう。春奈、それ、いいんじゃない。今の春奈にピッタリの言葉だよ」

 省吾さんは息巻いて私にそう伝える。省吾さんの言葉を聴いて、私もまんざらじゃないと感じている。

 そうだ、そうだった。私がチンドンをやり始めたきっかけ、これを再度思い出した。あの親方の後をついていくと、周りには笑顔が満開になっていく。それを私の手でつくってみたい。私のチンドンを見て、みんながほっこりとした笑顔になっていく。そんな光景をつくっていきたい。それが私の目指す姿だ。あらためてそこに気づいて、そのことをみんなに話してみる。

「春奈さん、それいいですよ。絶対にやってみてください。応援していますよ」

 お店のマスターもそう言ってくれる。

「はい、ありがとうございます。うん、誰がなんと言おうと、私はこの道を進んでいく。笑顔の花、幸せの花、これを咲かせてみせます」

 力強く言葉にしてみた。うん、なんだか力がお腹のそこから湧いてくる感じがする。

 だが、羽賀さんはさらに私の今の思いをグレードアップさせてくれる質問を投げかけてくれた。

「春奈さんがちんどん屋をやって、さらにその先はどうしようと思うのですか?」

 さらにその先? その質問に私は頭を悩ませてしまった。するとマスターがにっこり笑ってこんなことを言ってくれた。

「もう一度シェリー・ブレンドを飲んでみてください。すると、その答が出てきますよ」

 どうしてコーヒーを飲むと答が出てくるのかはわからないけれど。とりあえず言われたとおりにしてみた。

 さっきより少し冷めたコーヒーを口に含む。そして目をつぶる。

 えっ、さっきと味が違う。いや、さっきより味が濃く感じる。と同時に、幸せの花が日本国中に、いや全世界に加速的に広がっていくイメージが湧いてきた。

 私一人じゃない。私と同じようなチンドンをやっている人が急激に増え。そして、いろんなところで笑顔を振りまいている。そしてみんなを笑いの渦に巻き込んでいく。

 何かお祝いごとをしたいときにはチンドン。ちょっとしたパーティーにチンドン。もちろん、イベント事にはチンドン。一度は廃れたちんどん屋が、当たり前のように世の中に定着し活躍している。そんな世界がつくれたら。私の妄想はどんどん広がっていく。

「どんなものが見えましたか?」

 えっ、という思いで我に返った。今見ていたもの、それはとてもリアリティがあるものだった。

「驚いていますね」

「え、えぇ」

「実は今飲んだコーヒー、シェリー・ブレンドは魔法のコーヒーなんです。飲んだ人が今欲しいと思っている味がするんです。そして、人によっては欲しいと思っているものの光景が頭に浮かんできます。今、頭に欲しいと思った光景が浮かんだのではないでしょうか?」

「は、はい。なんだか不思議な感覚でした」

 私は今頭に浮かんだこと、チンドンで世界中の人を笑顔にさせる、そのチンドンを演る人がどんどん増えていく、そのイメージをみんなに話した。

「それ、いいですね、楽しそうだなぁ」

 羽賀さんも私の言葉に賛同。

「春奈、そのためのトップバッターにお前がなればいいんだよ」

 省吾さんも私の言葉を後押ししてくれる。よぉし、やってやるぞ! 今、心の奥から力がみなぎってくる感じがしてきた。

 早速、次の朝市でさらにグレードアップしたちんどんを演じることをみんなに約束。そのためにはもっと芸を磨かないと。よし、前回はサックスだけだったけど今度はチンドン太鼓を揃えてみよう。早速インターネットで必要な材料をできるだけ格安で購入。あとは手作りだ。衣装も今度は着物を準備。本格的なチンドンスタイルのできあがり。こうしてあっという間に翌月の朝市を迎えた。

デンデン、チンチン、デデン

「とざいと〜ざい〜」

 突如朝市の会場に現れた、派手な格好をして賑やかに太鼓や鐘を鳴らして叫びだす怪しげな女性の姿。みんながこちらを向く。いったい何が始まったのだ? ここから私は先月と同じように、勝手に朝市のお店をチンドンで紹介し始める。一つ終わると拍手喝采。そして次に移動。そんな中でもお店やお客さんと触れ合いながら進んでいく。

「おねぇちゃん、また来たね」

 先月も宣伝をしたお店でそう声をかけられる。その顔はとてもにこやか。さらに先月よりもたくさんのお店が、たくさんのものを私にくれるではないか。今回は省吾さんがマネージャー的に私の後ろをついてきてくれるし、さらに手書きのチラシを作成して配りまわってくれるから心強い。今日は充実感でいっぱい。朝市で小一時間回って休憩をしていると、一人の若者が近づいてきた。

「あの…ちょっといいですか?」

「はい、なんでしょうか?」

「実は、ボクまだ大学生なんですけど。趣味で大道芸をやっていて。それで先程のちんどん屋を見て、ぜひ一緒にできないかと思って」

「えっ!?」

 思わず省吾さんと顔を見合わせた。まさに夢の第一歩。私に仲間ができた瞬間だった。

 新しい仲間の登場を皮切りに、私の人生は大きく変化していった。前回は省吾さんが私のチラシを配布してくれたおかげで、問合せがきたのだ。チンドンをうちのお店の宣伝でやってくれ、という仕事の依頼だ。早速大学生の新しい仲間、伊織くんと一緒に現地に向かい宣伝活動。これがめずらしいとあちこちで写真を撮られ。中にはブログなどで紹介してくれる人もいるものだから。

 さらに話題が話題を呼んでくれた。今度はそれを見た新聞社が取材に来たいという申し出が。もちろん喜んで取材を受ける。これは効果的な宣伝になった。仕事としてのチンドンの依頼が徐々に増えていったのだ。

 それとともに、伊織くんとはもっと芸を磨かないといけない、レパートリーを増やさないといけないという話になって。平日の昼間、時間があるときには二人で稽古を重ねた。さらに伊織くんの大道芸仲間の一人がチンドンに加わりたいという話になり。三人で組んでちんどん屋の一座を旗揚げすることになった。

 何もかもがトントン拍子に進み始めた。そんな時ほど、なにか起きるものだ。ある日、一本の電話が私を暗転させてしまった。

「あら、ご無沙汰しています」

 電話は大阪時代のチンドン仲間から。

「春奈さん、親方が…親方が行方不明なんです」

「えっ、どういうこと?」

「私も久しぶりに親方に会いに行ったら…部屋はそのままで姿が見えなくて。どうしたんだろうって思って電話をしても出ないし。そんな状態がもう一ヶ月も続いているんですよ」

 その言葉にはびっくりだ。思えば親方とは大阪を離れて以来連絡をとっていない。あれだけお世話になったのに、今思えば薄情な私だ。

 親方は生活保護を受けながら、チンドンの仕事をしていた。けれど今の御時世、チンドンの仕事だけでは食べていくのは難しい。経費だってそれなりにかかるし。まさか…そんな嫌な予感が頭をよぎる。私もあわてて親方の携帯電話に連絡を取るけれど、虚しい呼び出し音が鳴り響くだけ。

「省吾さん、親方が、親方が…」

 あわてて省吾さんに事の次第を話す。

「春奈、わかった。お前、一度大阪に行ってみろ」

 省吾さんは私の心を見透かしていたようだ。私はいてもたってもいられず、大阪へと急いだ。チンドン仲間と合流して、一緒に親方が住んでいたアパートへ。大家さんに事情を話して鍵を開けてもらうことになった。

 扉を開いてみる。ひょっとしたらそこには…嫌な予感がした。まさか、ってことは…。

 だが、部屋には誰もいない。綺麗に片付けられている。チンドンの道具もそのまま。

 机の上を見ると、巻物が置いてある。なんだろう? 見ると、結構古いもの。表書きには「チンドン心得」と書いてある。

 その巻物を開いてみる。そこにはこんなことが書かれてあった。

一 人に求めるのではなく与える人になれ

二 笑顔は最高の宝物

三 感謝の毎日 おかげさまの人生

四 人とのつながりと絆を大切に

五 自分を信じること

 これ、親方が以前私にしきりに言っていたことじゃない。春奈、求めちゃいけない、与えるんだぞ。笑顔が最高の宝なんだから。感謝を忘れるんじゃないぞ。人とのつながりはとても大切にしなさい。まずは自分を信じること、これが大事だぞ。親方の顔と一緒にその言葉が思い出されてきた。

「親方…」

 私は涙が出てきた。この言葉、すっかり忘れていた。今まで人に求めてばかりいた。自分の笑顔を忘れてた。感謝することをやっていなかった。人とのつながりを簡単に思っていた。そして、自分を信じていなかった。

「親方はことあるごとに春奈さんのことを心配していたよ」

 チンドン仲間のその言葉で、本当に申し訳ないという気持ちでいっぱいになった。親方、ごめんなさい。

「親方ね、春奈さんが弟子入りした時に後継者ができたってすごく喜んでた。家庭ができて親方のところに来なくなってしまって、すごく残念がってた。でも、一度も春奈さんのことを悪く言ったことはなかったよ。あいつにはあいつの人生があるからって、笑ってた。地元に帰ってチンドンをやってるって噂で聞いた時にはすごく喜んでいた。あいつにもっとチンドンの心得を教えなきゃって、そう言ってたのに…」

 親方、そんなこと言っていたんだ。

「でも、どうして親方は…」

「わからないよ。全く手がかりがないからなぁ」

 私はどうやったら親方を探せるのか、それを考えた。このとき、なぜかシェリー・ブレンドが頭に浮かんだ。とりあえず今回は一度帰ろう。大阪での手がかりはチンドン仲間に任せて。自分のできることを考えてみよう。

 その旨をチンドン仲間に伝えて帰ろうと思った時。

「この巻物、春奈さんが持っていってよ。こうやって残しているっていうのは、親方が春奈さんにこの心得を継がせたいって意志じゃないかって思うんだよね」

 私は首を縦に振って、この巻物を手にした。このとき、得も知れぬ衝撃が私の身体を走った。

 「私はチンドンで生きていくんだ」

 チンドンこそ自分の人生。ここに全てをかけてみせる。親方の意志を継いで、この巻物のチンドン心得を多くの人に広げていく。帰りの新幹線の中、私はそのことを何度も強く心に誓った。

 戻ってきて早速私はカフェ・シェリーへと足を運んだ。

「いらっしゃいませ」

「こんにちは。シェリー・ブレンドをもらえますか?」

「春奈さん、今日はやけに焦っているように見えますけど…」

「はい、今は居ても立ってもいられない気持で」

「何かあったんですか?」

 マイさんの問いかけに、私は親方のことをカウンター席で話し始めた。マスターは無言でそれを聴きながらコーヒーの準備をしてくれている。

「…それで、親方をどうやって探せばいいのか。その答えを知りたくてシェリー・ブレンドに頼ってみようかと思ったんです」

「なるほど、はい、お待たせしました」

 ひと通り話し終えたタイミングで、マスターはシェリー・ブレンドを出してくれた。私は一度その黒い液体に映る自分の姿を覗き見る。その顔と親方の顔がダブって見える。祈るような思いで、コーヒーを口にする。そして目をつぶる。

 そのとき思い浮かんだのは、あの巻物。そこに書かれている言葉。その巻物がたくさんの人に渡っていく。

「どうして…どうして新幹線の中で思っていたことがここで出てくるの? 私は親方を探したいのに…」

 戸惑う私に、マスターがこんなことを言ってくれた。

「春奈さん、もう一度整理して考えてみましょうか。今感じたのは、先ほどお話された親方から受け継いだ巻物の言葉、それを世の中に広げることでしたよね」

「はい、それは親方の意思を継いだ自分の役目だと思っていますから。でも、それがどうして親方を探すことにつながるのか…」

「それこそが親方の意志だから、じゃないでしょうか?」

「親方の…意志?」

 親方は自分を探すよりも、自分の意志を、ちんどん屋としての志を広げることを望んでいる。そういうことなのか。

「今春奈さんがやるべきこと。それは親方の広げたかったチンドンの心得を世の中に広げて、笑顔の花をあちらこちらで咲かせること。私はそう感じましたよ」

 マスターの言うとおりだ。それができれば、親方もきっとどこかでそれを見てくれているはず。それこそが親方が望んだことじゃないだろうか。

 私はバッグから巻物を取り出して、あらためてその心得を見る。そして再度心に誓う。必ず親方の意志を継いでみせる、と。

「マスター、ありがとうございます」

 今自分がやるべきこと。それはチンドンの文化をもっと世に知らしめて広げていくこと。チンドンには古き良き時代の日本がある。その中には人として生きるための心得がある。よし、やるぞ。私の中の炎が燃え盛るのを感じた。

 早速行動開始。まずは日々精進のレッスン。そしてちんどん屋としての自分をアピール。この日から活動はさらに広がっていった。

 最初は物珍しさから人が集まってきたが。その中で常にチンドン心得を意識して、人とのご縁を大切にするように心がけた。すると、あれよあれよという間に私の存在が広がっていき。徐々に仕事が増えてきた。

 けれど、やればやるほど自分の芸が未熟なことに気づく。ここはまずは日本一のちんどん屋にならなければ。

「ねぇ、チンドンコンクールに出場しようよ」

 私は仲間にそうもちかけた。チンドンコンクールとは、年に一度開かれているちんどん屋の大会。ここでチンドン日本一が決まる。

 私の芸はまだまだ未熟で、上位なんてとんでもないのはわかっている。けれど、こういうものを目指さないと自分の芸が廃れてしまう。

 チンドンコンクールは三人一組で行う。が、仲間の一人はこれを辞退。あくまでも趣味の範囲でやっているから。

「春奈さん、上を目指すのもいいんですけど。でも、ボクはそんなことしたくてここに来たんじゃありませんから」

 そうあっさり言われ、今までの思いは何だったんだろう、ということを感じた。落ち込む私に省吾さんはこんな言葉をかけてくれた。

「春奈、確かにあいつの言うことも一理ある。でも、一つ明らかなこともあるぞ」

「何?」

「親方から受け継いだ心得。お前はそれを一人のものにしていなかったか? ちんどん屋を目指すものがあの心得を持たなければ。それはただのお遊びにすぎないんじゃないかな」

 省吾さんの言葉にハッとさせられた。そうだった。私、あの巻物の言葉を独り占めしていたのかもしれない。巻物の言葉を私だけが理解しているのでは意味が無い。仲間にそれを伝えていたつもりだったけれど、それは本当につもりで終わっていたんだ。大事なのはこの心得を共有すること。そのための教育をすること。芸を磨くことだけが大事なことじゃない。そのことにあらためて気付かされた。逆を言えば、この心得に賛同しない人は仲間になるべきではない。思いを一つに揃えなければ。

 そんなとき、知り合いになった社長から講演会を聞きにこないかというお誘いがあった。

「この社長、一度はどん底に落とされた人なんだよ。でもね、あることをして社員の心が一つになって、そして大逆転。今では一流企業と言われるほどに成長しているんだよ」

 それは興味ある。一体どんな話なんだろう。ワクワクしながら講演会の日を待った。

 そしていよいよ講演会の日。私は和服姿で会場へと向かった。最近はチンドンの宣伝を兼ねて和服姿でいることの方が多い。この日もおかげで沢山の人から声をかけられた。テレビで見ましたよ、この前イベントにいましたよね、などなど。ありがたい声なのだが、まだ心の奥から笑顔になれていない。どうやったら思いを一つにできるのか。その秘訣を知るまでは気持が晴れない。

 講演が始まった。

「私はね、以前は社長としての自分の思いを社員に伝えていたつもりになっていたんですよ」

 その言葉は今の私そのものだ。

「そしてかける言葉はもっと売れ、もっと品質を上げろ、もっと納期をはやめろ。それじゃ社員はついてくるわけがない」

 この言葉は私にグサッときた。まさにこの前までの私じゃないか。

「そうしていると社員が一人去り、二人去り、中にはうつ病になる社員もいました」

 うちはその寸前だ。ここからどう逆転したのだろう?

「ここで思いました。技術的なことの勉強も大事だけど。もっと大事なのは価値観の教育、価値観の共有だと。そして、理念をきちんと打ち出して浸透させることだと。だから、もう一度自分の会社の理念を見なおしたんです。これを社員と一緒に作りました。そして毎朝勉強会を始めたんですよ」

 その後は勉強家の様子などがスライドを通じて紹介された。どの社員もイキイキした表情をしている。

 思いを一つに揃える。これは上からの命令でできるものではない。みんなが同じ方向を向いていけるような教育が必要なのか。

 ここで親方のことが思い出された。思えば親方は、芸のことには厳しかったけれどその他では私に優しく笑いながらチンドンの心得を繰り返し説いてくれていた。だからすんなりと親方の言葉が耳に入ってきていた。

 そうか、私に足りなかったのはここだ。チンドン心得を伝えてはいたけれど、一方的に押し付けていただけでみんなにはきちんと伝わっていなかったんだ。チンドンを広げるには、まずは価値観をきちんと伝えないと。思いをそろえてから芸を磨かないと、みんなバラバラの方向を向いたままになってしまう。これじゃ日本一どころじゃない。私は決意を新たにした。

 翌日から私は思いを新たに、チンドン心得の教育からやり直すことにした。毎朝、五つの心得を唱和し。そしてその意味について一つ一つ、気づいたことを考えてもらう。さらに、身近にあった体験談や聴いた話、読んだ本などについて発表してもらう。ここにしっかりと時間を掛けて、そしてチンドンの練習を開始。仕事があるときには、本番前にチンドン心得をみんなで唱和。そして心を一つにして仕事に取り組む。

 最初はやらされ感があったメンバーたちも、徐々に慣れてきて。今では自信を持ってチンドンに臨んでいる。すると、にわかにちんどん屋を目指そうという人がちらほら出てきて。ぜひやってみたいという若者が私のところに寄ってくるようになった。

「私もぜひ春奈さんみたいになりたいです」

 こう言ってくれるのはありがたい。けれど、それをすんなりと受け止めて弟子にすることはやめた。まず、チンドン心得を徹底的に叩きこむ。その思いに共感できなければ、芸を教えることはしない。そこを徹底したおかげで、今私の回りにいるメンバーは気持が揃っている。

 私の元を巣立ったメンバーもいる。聞けば、九州や北海道でちんどん屋を始めたという。これはうれしいことだ。

「春奈さん、もっとちんどん屋を増やしていきましょう。この心得を持った人たちが日本中、いや世界中に増えれば。きっとあちらこちらで笑顔の花が咲き乱れますよ」

 そう言ってくれるのは、今では私の右腕となって一座を支えてくれる伊織くん。伊織くんは芸の道から少し離れて、今では一座の運営を担ってくれている。いわゆるマネージャー的な役割。それだけでなく、新人の育成をもっとシステマチックに行えるような取り組みを考えてくれた。それがこれ。

『チンドンアカデミー』

 その構想が形になり、今日この日にそのアカデミーが開校した。この学校を出ることで、ちんどん屋としての一歩を踏み出しやすくなる。ここで教えるのは、芸はもちろんのこと。それ以上に大切にしているのが「チンドン心得」である。私が持っているオリジナルの巻物。これを複製したものを生徒たちに渡す。

「いい、大事なのはこの心。ちんどん心得五ヶ条、これをしっかりと叩きこむからね!」

 校長である私の挨拶は、まず心得五ヶ条の唱和から始まる。。

一 人に求めるのではなく与える人になれ

二 笑顔は最高の宝物

三 感謝の毎日 おかげさまの人生

四 人とのつながりと絆を大切に

五 自分を信じること

「私達ちんどん屋は、人に笑顔を与えるのが仕事なの。求めるのではなく与えられる人になること。そのために芸をしっかりと磨いていくことが大事なのよ。

そして常に笑顔。どんなに苦しくても、笑顔があれば幸せを届けられるから。けれど、それは自分だけがやったからじゃない。周りの皆様に支えられてできたことなの。

 だから感謝を忘れちゃいけませんよ。感謝をすれば、必ず人が寄ってきます。そこで出会った一人ひとりを大切にしていくこと。みなさまのご縁のお陰で、私たちはなりたっているのですからね。

 そして何より、こうやって芸を行なって周りを楽しませることができる自分という存在。その自分を一番大切にして可愛がってあげてください。そうすれば、あなたは何でもできます。

 自分を信じて、そして志を大きく持っていきましょう!」

 力の入ったコメント。ポカンとしている者もいれば、熱心にメモをとる人もいる。けれど私はこう思っている。このチンドンアカデミーに来たからには、一流の思想家になってもあおう、と。自分の芸で世界中の人を笑いと幸せの渦に巻き込める人たちをつくっていこう、と。

 その思いから二十年後、私はとうとう奇跡を起こすことに成功した。

「おめでとうございます。千人目のチンドンマンの誕生です!」

 私のチンドンアカデミーを卒業し、プロのちんどん屋としてデビューした千人目。名前はなんと私と同じ春奈。彼女は小さい頃にちんどん屋を見て、ずっと憧れていた女の子。中学を出てすぐにチンドンアカデミーに入り、三年間の学習を経て、今デビューを果たすことができた。

 気がつけば世界中に広がっているチンドンマン。私は初代チンドンマンとして、今では育成事業に力を注いでいる。

 ちんどん屋は今ではお祝いごとやイベントに呼ばれるのはあたりまえになってきた。しかし、ただのイベント屋ではない。そこには必ず笑顔と元気を与える、幸せの種を巻く存在になったのだ。

 あれから親方の行方はわからないまま。けれど私は信じている。親方はどこかで私達チンドンマンを見守ってくれている、と。

「春奈ちゃん、行くよ」

「はい!」

 千人目のチンドンマン、春奈ちゃんのデビューのお祝いパレードが今から始まる。チンドン心得を唱和して、いざスタート!

「とざい、と〜ざい」

 元気な掛け声とともに飛び出していく春奈ちゃん。

 私には見える。彼女が歩いたその道に、幸せの花が次々と咲いていくのが。

「親方、ありがとう」


<幸せの花を咲かせましょう 完>

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