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kezu0120 zero 短編映画シリーズ  作者: 不知火 響
1/1

御国の希望は空を征く

これは、地球とは違うよく似たとある星の男たちの物語



 「諸島近海に進行中の敵主力機動部隊より大編隊が出撃、目標は最後の第二艦隊。敵空母格納庫に残る機は少数と思われる」

この偵察機からの入電に指揮官は一言「作戦開始」そう言った。



惑星暦一九四一年

地球では大日本帝国と呼ばれる国とアメリカと呼ばれる国が約五年にわたって戦う戦争が始まった。

帝国は本土を目前とした島にまで進行された惑星暦一九四五年、最後の大規模攻勢に出る。

 この作戦は、残存する海軍の艦隊を囮に陸海軍の両航空兵力をもって、進行する敵機動部隊を一網打尽にするものである。

しかし、搭乗員の多くは訓練を受けて間もない若者ばかり。

そのため、海軍は壊滅した第二艦隊を残る最後の主力艦等で再編成、囮とし、敵の迎撃部隊や攻撃部隊を引き付けることで、混成攻撃隊の突入をでき限り可能なものとした。

 別の偵察機からの通報によって混声部隊は次々、空母や陸上基地から発進していく。

「発、偵察2 宛、作戦司令部 敵空母機動部隊ヲ視認 即応体制ノ直掩機、攻撃機ハ甲板上二認メズ 今ガ攻撃ノ好機也 以上」この偵察機はこの通報の後連絡が途絶えた。

 発進する搭乗員は、「行くぞ!帝国の命運は俺たちに掛かっているんだ!」と意気込む者。

戦友を殺された恨みを晴らすためか、残る整備員を励ますためか「必ず敵を一掃してやる!」そういって出撃していった者がいた。

 一方、敵機動部隊ではレーダーに多数の機影を捉えパニックになっていた。「艦長!大変です、レーダーが帝国軍機の大編隊を感知しました」。予想していなかった報告に驚きながらも冷静に「クソっ!艦隊は囮だったか・・・ならば、敵航空隊を撃滅するまで!残っている戦闘機をすぐに上げろ間に合わなくなる!」艦載機をエレベータで上げてすぐさま発艦させていった。

 


先に敵を発見したのは機動部隊の戦闘機だったが帝国機も攻撃される前に発見しヘッドオンに持ち込んだ。機動部隊のF6Fと帝国の烈風、零戦の制空先頭の火蓋が切って落された。

 先手を取られ半ば強引にヘッドオンに持ち込んだ烈風は、後続の零戦と連携し一機を撃墜。

その後も両軍の後に続く機が突入し大空戦となる。

最初のF6F数機を撃墜したところを流星と九七艦攻からなる雷撃隊が艦隊に突入した。

低空を進む先頭の流星が制空戦から離脱してきたF6Fに撃墜され、

乗員二人の十八歳の命が海に散った。

流星の後に続く九七艦攻にも「簡単に空母まで行かせるか!」そう叫びながら攻撃する。


 九七艦攻の搭乗員も「墜とされたあいつの為になんとしてでも、空母に魚雷を喰らわせてやる!」と艦隊に突入していく。

海面スレスレを卓越した操縦技術で右へ左へ機体を滑らせながら銃弾を回避する様子は、まるでアメンボの様だった。

この九七艦攻の三人は戦争の始まりから雷撃隊として数々の作戦に参加していた。古参の中でも最古参に当たる者たちだった。

「あと少しで魚雷を投下できる・・・、流石だな対空砲火も濃くなってきてる…よし、ここだ!魚雷投下!」


魚雷を投下された空母の見張り員が叫び、続けた。

「右舷より魚雷接近!、何て腕と度胸だあの低空をこの弾幕の中飛び続け回避できない距離で投下していきやがった」そう言い終わると同時に空母の側面に艦の高さを超える水柱が上がり艦を揺らした。「くっ、大丈夫だこの程度で沈まんよ」



一方上空では、F6Fが帝国機に苦戦していた。「帝国機にケツを取られた!助けてくれ!」しかし別のF6Fも追われ「こっちも敵機に追われていてそちらへの対処ができない!何とか持ちこたえてくれ」回避に夢中になって海面まで下りてしまい万策尽きて上昇したスキを逃さず攻撃され一機が撃墜され、増援でやってきたP-38も帝国の雷撃隊を攻撃しようとしたところを撃たれ、バランスを崩し海面に激突した。

空母が攻撃を受けているとの連絡で戻ってきた銀色のF6Fが雷撃機を撃墜し「こちらシルバースカル一番機、空母は無事か?」の問いに対し返ってきたのは見張り員の叫び声の報告だった

「こちら空母艦橋見張員!一機のValが弾幕を掻い潜って急接近!」見張員の声が叫び声に変わった。

「あぁ!敵機反転!降下開始!」

この時攻撃したのは帝国が、主力空母四隻を失った戦いの生き残りであった。「空母め覚悟せぇよ!ワイの急降下爆撃は百発百中や!」放たれた爆弾は空母の甲板に命中して火災を起こした。「飛行甲板の火災消火と応急修理急げ!」


別の空母に着艦しようとした、シルバースカル隊の二番機を零戦が襲う。零戦の放った弾丸は二番機を撃墜したが自身も対空砲が命中、炎上し空中で爆散した。その後も上空に残る、シルバースカル隊機に撃墜される機は続出した。

果敢にも護衛なしで突入する九九艦爆の雛鳥艦爆隊、空母を目指すも、ある機はF6Fに銃撃され燃えながら海面に激突。また別の機は対空砲火で操縦手が被弾し操縦できなくなったところを攻撃され爆発四散した。空母乗員が落ち着こうとしたとき、上空から機体に黒猫と数字の9を描いた九九艦爆が急降下爆撃を行った。

甲板に穴をあけそこに別の九九艦爆が緩降下爆撃をするという連携攻撃を受けた空母は、燃料庫に火が回り大爆発を起こして沈んだ。

しかし、いまだ戦闘は終わらずまた一機の帝国機が散る「空母を一隻やったか!よし、なら俺は敵機を撃滅する!」F6Fと零戦が翼の先から白い雲を引きながら、壮絶な空中戦を繰り広げる。

 このまま味方の、対空砲の射程まで引き付けようとするF6Fの思惑に気づかず艦隊の円の中に入ってしまった零戦は「深追いしすぎたか」離脱しようと反転したとき対空砲が命中し炎上する。

「燃えながらでも機体は操縦できるんだ!空母も道ずれにしてやる!」

今まさに体当たりされそうな空母の甲板上には発艦しようとする機が居た。

「おい!ゼロが一機燃えながら突っ込んでくるぞ!」

零戦は見事に空母の横腹に体当たりを成功させたが発艦は阻止できず、空母右舷から低空で突入する九七艦攻へと向かっていった。

「護衛の零戦が空母に突っ込んだか、彼らの遺志を無駄にするわけにはいかん!」そう覚悟を決め、

「古参の意地よ!必ず我ら精鋭部隊で空母を沈める!」


 この九七艦攻の攻撃を受けた空母の乗員は口をそろえて言う「あの時のKateの背後には帝国の飛行服や制服を着た男たちが守るように取り囲んでいた」と。この九七艦攻は、魚雷を投下した直後に零戦の体当たりを受けながらも発艦した機に撃墜された。

放たれた魚雷は白い筋を描きながら真っ直ぐに空母へ突き進み命中した。度重なる攻撃を受けていた空母は、この魚雷が致命傷になり赤い腹を見せながら海へ没した。

 残った空母一隻に、まだそんなに残っていたのかと言わんばかりの爆雷撃機や増援の陸軍戦闘機が畳みかけて攻撃した。ある陸軍機は攻撃隊を守るため、敵機に体当たりした。

それを見た攻撃隊は「先に死んでいった者の為にも残りの空母を必ず沈めて見せる」と決意を新たにした。

 敵も諦めておらず、最大限の抵抗を見せた。

制空隊の奮戦もむなしく、多くの攻撃隊機が撃墜された。この戦闘始まって二度目の出撃をした九九艦爆は空母上空から目立つように突入し、機を炎上させながらも爆弾を命中させ自身も体当たりした。

この機を逃さず突入した流星も被弾し炎上していた「炎上中のGraceが魚雷を投下!避けられない!」先ほど体当たりした九九艦爆の残骸で消火が難航し火薬庫に火が回るのも時間の問題と判断した艦長は総員退艦を命じた。


敵機動部隊は保有する空母すべてを失った。

さらに諸島防衛の任務についていた陸軍と航空機による決死の攻撃により確保していた飛行場を奪還され、今後予定されていた本土攻撃のための手段をも失った。

敵残存部隊は攻撃を受けたときの機体と数から空母が存在しそれを守る航空機がないことに気が付いたため残った巡洋艦と駆逐艦で殴り込んだ。



しかしそこには、全滅したと思っていた第二艦隊の主力とその半数が到着しており返り討ちにあった。これにより敵機動部隊は完全に機動部隊としての機能を失い保有する艦艇すらもほとんどが傷つき事実上壊滅したのである。

 帝国軍は敵機動部隊を壊滅させることに成功したが、敵は機動部隊を再編成し今度は断続的に航空兵力を削る作戦に切り替え削られていった。しかし、帝国軍は最後まで戦い続けた。



 


第二章「蒼き決意は旭日となる」は現在執筆中

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