第5話 震える身体
病院に到着し、すぐに手術室に運ばれた。
もちろん手術室には入れなく翔は彼女の血が付いた手をお洗いにお手洗いに行った。
蛇口を回し水を流しながら手を洗うが血が固まっていてなかなか取れない。
そしてなぜか翔の手は震えていた。
手を洗い終え手術室の前の椅子に座り、彼女の無事を祈っり考えた。
(俺の応急処置が上手く出来てなかったらどうしよう)
(あの時茂みに隠れずに彼女と話していればこんな事にはならなかった)
翔は罪悪感で一杯になり震えが止まらなくなった。
震えていると肩にそっと毛布を掛けてくれた。
此処の病院の看護師さんだった。
「大丈夫。きっと助かるわ」
それだけ言って去って行った。
(...暖かいな)
毛布を握り、彼女の手術が終わるまで無事を祈り続けた。
時間が立ち、手術中のランプが消え彼女が運ばれて来た。
翔は握っていた毛布を椅子に置き急いで駆け寄った。
「彼女は大丈夫ですか?」
「もう大丈夫ですよ。治療は無事に終わりました」
「よかった」
安心した表情を浮かべ、椅子に腰を掛けた。
彼女は病室まで運ばれて行った。
「ところで少しお話があるのですが!」
「はい?何でしょうか?」
「此処ではあれ何で、医務室で話しましょう」
何の話かはわからないが、取りあえず話を聞くことにした。
医務室に移動することになり、
移動している間に妙な違和感を感じた。
(結構な時間が立っているにも拘わらず神薙のご両親はなんで来ないのだろう?連絡は行っているはずなのに)
考えているうちに医務室まで来てしまった。
「どうぞ、そこの椅子に座って下さい」
「失礼します」
「失礼ながら御家族の方ではないですよね?」
「違いますが、学校の同級生です」
「そうですか実は彼女は身寄りがないもので、警察の方の調べで学校を調べて頂いているのですが中々見つからなく、困っていたのですよ!」
医師はほっとした表情を浮かべて言った。
(え...身寄りが無い?)
「そうなんですか...今日転校して来たので見つけるのに時間が掛るんだと思います。学校の住所と電話番号を書きたいので紙とペンをお借りしてもよろしいですか?」
そう言うと、紙とペンを渡された。
学校の住所と電話番号を記載し医師に渡した。
「ありがとうございます。失礼ですがお名前をお聞きしたいのですが?」
「成瀬 翔です」
「わかりました。あなたの判断力と応急処置の御蔭で彼女は救われました。ありがとうございます!」
少し照れたようにお辞儀をした。
「それでは今日は帰りますので!彼女の事宜しくお願いします」
「はい。気おつけてお帰り下さい」
話が終わり、翔は疲れ切った表情を浮かべ病院から自宅に向かって行った。