第2話 幼馴染
学校に着き上履きを履き教室に向かった。
廊下を歩いていると”トントン”と肩を叩かれる。
(こんな事してくる奴は一人しかいない)
翔は肩を叩かれた方を向こうとすると、頬を人差し指でチョンと突かれた。
「おはよう!翔君」
幼馴染の春田 千夏(17歳)翔とお同じ神山高校に通う高校生。
翔の性格とは正反対で明るく元気で優しい柔道部の部員。
有名な大手自動車会社の社長令嬢。
身長は翔より少し小さい。
髪は綺麗なオレンジ色のポニーテール。
豊かな胸を持つ美少女。
「おはよう千夏。あと何回も言うけど普通に挨拶してって何回言えばわかってくれるのかな?」
翔は睨んだ視線を向けながら千夏に問いかけた。
「そんなに照れなくていいんだよ。幾ら私が可愛いからって」
(照れてない。自分で可愛いとか言っちゃってるよこの子)
千夏はスタイル、性格、共に抜群で男子からも女子からも人気があった。
「うん。照れてないよ!千夏は相変わらず人の話を聞かない子ですねぇー」
綻び、相手を挑発させるように言った。
「その言い方なんかムカつくね......まだ寝ぼけているのかな?」
千夏は笑顔で言いながら腕をバキバキ鳴らしている。
これはまずいと思っていると”キンコンカンコン”とチャイムが鳴った。
(チャンス!)
「千夏チャイム鳴ったから教室行くから」
翔は千夏に背を向けてその場から逃げるように廊下を駆けて行った。
「あっ!翔君後で必ず一発殴るからねーーぇ!」
(さらっと危ないことを言ってらっしゃる)
教室に到着し翔は誰に挨拶することなく自分の席に座った。
周りも翔とは関わりたくないと言わんばかりかのオーラを漂わせながら目を合せなかった。
それもその筈で翔は周りから不愛想で暗くて不気味がられている。
だが翔は決して嫌ではなかった。
無理して話に付き合うこともなく遊ぶ必要もない。
自由な時間が過ごせるのだから。
寧ろ心地が好いと思っていた。