第1話 青い瞳の少女
早朝、何時も通りある場所に向かった。
周りは木々で囲まれており、雑草やゴミが散らかり錆びれたブランコや小さな砂場、
古びたベンチがあるだけの人気がない公園。
人と関わる事が好きではない翔が唯一落ち着ける場所であった。
錆びれていて今にも鎖が外れてしまいそうなブランコに腰を掛け、
朝の日差しを浴びながら空を見上げた。
成瀬 翔(17歳)
私立神山高校に通う普通の厨二高校生。
髪は目に被るぐらいの長さで、
色は茶色。
身長は170㎝。
人付き合いが嫌いな翔は現在クラスでは浮いた存在。
翔が人と関わるのが苦手な理由は、他の人達とは何かが違うという厨二病的な思考があったからである。
特別な力がある。
だが今はその時ではない。
死の直前に力が目覚める。
選ばれた人間なんだ。
などの考えがあり、人との付き合いも上辺だけで友達と呼べる人がいなく、
友達を作る事にも興味がなかった。
頭を下げ公園の入り口に目を向けると誰かがこっちに向かってくる姿が見えた。
(今までこの時間帯に人が来ることなんてなかったのに)
翔は急いでブランコから腰を上げ、駆け足で茂みに入りそっと覗いた。
この辺では見たことがない制服。
茶色いブラウスに茶色いスカート、
赤いネクタイを着ていた。
色は黒く短めで柔らかそうな髪。
白い肌に福与かな胸。
透き通る海の様な青い瞳をしていた。
彼女は翔と同じ様に錆びれたブランコに腰を掛け頭を上げながら空を眺め、
風で乱れた髪を左手で耳に掛けた。
「綺麗だ」
余りの美しさに翔は小声で呟いた。
暫くして彼女はブランコから腰を上げスカートについた汚れを掃い終え、
何かを呟いて公園を去って行った。
此処からでは彼女の言葉は聞き取れなかった。
(何処の学校何だろう。綺麗だった......)
考えて居る間に学校に向かう時間になってしまった。
「はあーーぁ」
深い溜息を吐きながら茂みから顔を出し、渋々学校に向かって歩き出した。