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覇王  作者: 緒俐
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第四十八話:待っていたもの

「私を守る……?」


 どうしてなのかとスズナは愛に尋ねた。


「はい、それがカイト様と私の使命。きっとスズナ様がカイト様の前に現れたのも、全てはメイリン様の生まれ変わりであるスズナ様の自己防衛、私はそう思います」


 今言われれば確かにそうかもしれないとスズナは思う。カイトは何も悟らせないように自分を守る術を教えてくれながら守っていた、そうとは取れるのだ。


「だけど愛ちゃん、カイトを一人でグランド帝国に行かせて良かったのかな」


 ドール化自体は心配ない。カイトの魔力はそれぐらいは跳ね返せることは知っている。だが、気になって仕方ないのだ、自分が離れてはいけなかったのではないかと……


「カイト様は覚悟はしています。おそらく無事ではすまされないと精霊も騒いでいます」

「愛ちゃんっ!!」

「だけど!! カイト様はスズナ様を守れとおっしゃってくださいました。だから待つしかないんです。カイト様の言葉だけは絶対だから……!」


 強く、なんでこんなに切ないんだろう。自分の存在が二人を苦しめている、ここで動けばさらに苦しめる。スズナはどっちにも進めない。


「だけど……!!」


 言いかけた瞬間、大爆発が起こった! グランド帝国だ!!


「カイト様!!」

「大丈夫! カイトは死んでない!」


 スズナは直感した。丘から見えた爆発は確かに大規模なものだったが、カイトが巻き添えになった感じはしなかった。それは確かに言えたこと。


「愛ちゃん! ここも危なくなる。一旦家に入りましょう!」

「はい!」


 二人は家に駆け込んだ。爆風が二人を早く家の中に入らすように背中を押す。風の精霊が二人を守っていた。


「おじいちゃん、おばあちゃん!!」

「大丈夫です、私達もお二人をお守りします。カイト様から預かったのですから!」


 焦っている、スズナはそう取った。確実に来ている足音、それは冷たいもの。

 まるで自分達をここに閉じ込めようとしているものがいる、しかし、それには逆らわなくてはならない。


「……愛ちゃん、私はやっぱりここから戦いに行く」

「ダメです! 危険過ぎます!」


 愛はスズナの腕を掴んだ。しかし、スズナはそれを振り払う。


「今ここで私が動かなかったらカイトは死ぬ!! 愛ちゃんも分かるでしょう!!」

「ううっ……!!」


 愛から涙が溢れた。分かっている、分かっていたのだ。


「カイトは私を、メイリンを守るために戦ってる。だけど私はスズナなの! 覇王を守るために私がいるならその仲間を見殺しにはしない!

 だから私は行く! カイトは絶対連れて帰ってくるから!!」

「出来ればな」


 勢いよくドアを開けた瞬間、スズナの肩に鋭い痛みが伴った。


「くっ!!」

「スズナ様!!」

「出るな」


 さっと愛の前に立ちはだかる青年の影、そしてもう一人の青年と美女が家を取り囲んでいたものを次々と片付けていく。


「全く、お前はどうしていつも後先考えず突っ込むんだ?」


 相変わらずのあきれ口調。しかし、その声の主をスズナは待っていた。


「瑞貴……!」


 未来の覇王がここにいた。



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