第二十五話:守りたいもの
瑞貴という一つ年上の男は、青竜王の血を引く身分な癖をして地界の覇王の称号が欲しいらしい。
通常なら望まずとも次期青竜王となる身分だというのに、どうして覇王になりたいのだろう?
「お日様の匂い……」
瑞貴自身は嫌いでも、瑞貴のフカフカなベッドは心地良すぎた。さすがは王子様、何もかにもが天界の一級品だ。
「だけど、皆どこに行ったのかしら?」
闇界までのルートを作りに行くと言って消えた三人は、一時間近く経つのに戻ってこなかった。闇界という名前からしてろくでもない場所に違いないだろうが、少しだけ不安が募る。
「失礼します、瑞貴様」
美しい声が部屋の中に入ってくる。
「誰かしら……」
開けた瞬間、スズナの前髪を剣先が掠めた! そして息もつかぬ間に女剣士達がスズナを狙ってくる!
「スズナ・メイリン! 覚悟!!」
「いやっ!」
持ち前の反射神経でスズナはギリギリのところでかわしきれた。
スズナを襲ったのは間違いなく瑞貴の妃候補や侍女達。
「やはりガセネタだったのね。
瑞貴様があなたのような地界の者など相手にするものですか!」
「それはこっちの台詞よ!」と、
スズナは突っ掛かってやりたいところだったが、
女神達相手に勝てる気はしない。
何より、これから天界を抜け出す前に、
大騒動にするわけにもいかなかった。
スズナは凜とした態度で言う。
「瑞貴は私に惚れてる。
私も瑞貴が好き。
それだけじゃダメなの?」
自分でもよく言えたものだと感心した。
しかし、瑞貴が覇王を目指したいといった。
それだけは守りたかったのだ。
「黙りなさい! たかが地界人が」
「私はメイリンの生まれ変わりよ!
覇王は絶対に守る!」
強い魔力が女神達を威圧した・・・・
長い間放置してすみません!「THE TEAM!」がつい書きたくなってしまいまして・・・・ これからもお願いします☆