第二十四話:休息と作戦
豪華な食事を目にして満足いくまで食べないのはスズナではない。その見事な食べっぷりに瑞貴は呆れながらも、やはり幸せそうな彼女の顔は良いものだと内心で思う。
とはいえ、平らげた皿の数が常軌を逸脱してくるとその感想は変わるのだが……
「おいしい〜!! しあわせ〜!!」
「お前な……、あんまり食うと太るぞ。俺は体型にはうるさいからな、自己管理の出来ないデブだけはゴメンだ」
そんな嫌味を言われてもスズナは心から夕食を堪能していた。特に天界名物「桃まん」は絶品でいくら食べても足りないぐらいだ。
「別にいいもん! あんた好みになる必要ないし」
「だが、天界の食い物は太りやすいものが多いぜ」
それを聞いてスズナは手をとめた。確かに見た目からカロリーが高そうなものが溢れている気がする。
「瑞貴、しばらく天界に戻れないんだから、スズナちゃんに美味しいもの堪能させてあげなさい」
「セディ!」
スズナは嬉しい声をあげる。女神の洋装をしたセディが瑞貴の部屋に入って来た。
「遅かったな。爺さんに捕まってたのか?」
「ええ、私達の思考は相変わらずお見通しだったわ」
セディは笑った。この天界から抜け出すことはとっくにばれているらしい。しかし、どこからその落ち着きが来るのかスズナには理解不能だった。
「とりあえず、決行は夜中だ。サラ様でも爺さんでも俺が天界から抜け出したら追って来れないからな」
「どうして?」
不思議な表情を浮かべてスズナは尋ねる。
「簡単なことだ。天界から抜け出すことは掟破りだからな」
ヤンロンは答えながら部屋に入って来た。
「ちょっと待って。天界から出ちゃいけないなら皆は平気だったの?」
スズナの問いに瑞貴はあっさり答えた。
「俺達は親父から許可が下りてたからな。しばらく地界で遊んでくるってさ」
「結構いい加減な理由ね……」
もっと重大な理由で地界に来たのかと思えば、どうやら遊びでもあったようだ。いや、実際は任務なのかもしれないが……
「そういうことだからよ、お前は飯食って少し寝てろ。俺達は少し準備することがあるからさ」
「準備?」
「ああ、闇界までのルートを確保する」
そう告げて三人はその場から消えたのだった。
お待たせしました☆こっちもようやく更新です。「THE TEAM!」も完結しましたので、見てくださいね☆☆