表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
覇王  作者: 緒俐
23/54

第二十三話:面影

 ヤンロンがサラのもとを訪れていた頃、セディは長に呼び出されていた。いつも長にあの二人を宥めるように言われるのはセディの仕事だと、本人も自覚しているからだ。


「相変わらず、地界でも騒ぎは絶えんかったようじゃの」


 少しだけ皮肉を込めて長は言うが、セディには全く通用しない。怒るどころかニッコリ笑って返された。


「あら、どちらかと言えば瑞貴はいつになく楽しそうでしたよ。女の子と喧嘩なんかしたこともなかったのに、本当スズナちゃんとは楽しく……」

「認めんっ!!」


 強く机を叩き、長は一喝した。しかし、セディにはいつものことだと動揺すらさせられないが。


「瑞貴はやがて天界の王になる身分じゃぞ! お前ほどの女神を教育係に付けたのも全ては天界のため! それをあんな地界の小娘にやれるもんか!」

「ですが、あのメイリンの血を継いでますよ」


 セディは微笑んだ。さすがにメイリンは蔑ろに出来ないだろうと、寧ろ瑞貴に充分釣り合うだろうと言ってない分だけ伝わってくる。


「それに瑞貴は覇王を目指してる。あの子が生まれた時から予感はしていらっしゃったのでしょう?」


 長は分かっていた。たった二歳だった瑞貴はすでに覇王になると騒いでいた。地界の王の称号など、この天界で大した価値などないのに……


「だが、認めるわけにはいかん。セディ、忠告はしておく。もし、お前達が本気で天界から抜けるというなら、この天の国すべての兵力をもってお前達を止める。瑞貴の時空魔法で逃げ切れると思うな」


 空気にまるで電気が走ったかのようにセディは感じた。しかし、それに動揺することなくセディは落ち着いて答えた。


「肝に命じておきます、長。それでは瑞貴のもとに戻ります。スズナ様をメイリン様のように磨きあげたいので。どれだけ否定されようとも、あの空気が似てることだけは認めて下さい」


 セディは瞬身でその場から消えたのだった。


「……あの全てを圧倒する空気だけは認めてはおる。だが、覇王だったあいつの方にそっくりじゃ……」


 メイリンを天界から連れて逃げた男。かつての覇王だった男を長は思い返すのだった……



更新遅くなりました! ですが頑張りますので、これからもよろしくお願いします☆

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ