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『ちまちま作戦』

 「一本釣り?」

 その言葉が作戦室に響き渡る。

 洞窟内にある、作戦室とは名ばかりのただの開けた場所だ。

 実はこの一週間、蝙蝠達を使い綿密で詳細な地図と人間達の行動表ができていた。

 思い起こせば蝙蝠とは実に偵察に適している。

 まず羽音が小さく、小型、そして超音波により詳細な図面が出来あがる。

 そして夜の行動など鳥と違い制限がない。

  結果人間達の軍の全容をかなり詳細に記録していた。さらに言うならこちらは魔物であり人間達の会話もその優秀な耳のおかげで筒抜けとなる


 まず、人間の軍は約1000名ほど馬を中心にした軽騎兵と軽歩兵、主に機動力優先の軍編成だ。

 その内容と会話から想定するに、占領した城を橋頭堡として、近隣の魔族への威力偵察、可能ならあたらな場所への侵攻も予定していた。そして近日中には追加の補給部隊の到着が予定されていた。

 「まずは当方の魔力回復が現状の第一目標となります」

  作戦室でまず自分が声をあげる。

 「ふむふむ」

 「人間は近隣の把握の為、騎馬による高機動の2人編成の偵察部隊を複数出しています。なのでまずはこの偵察部隊をいくつか叩きます」

 「偵察部隊全部を叩く必要はないのか?」

  上座でそう言うのはさらに小さくなった金髪ロリ幼女だ。今までは小学生高学年の風貌だったが

 今では小学生低学年まで下降している。

 「いえ、全部叩くと警戒され、引きこもってしまいます。我々はいち早く、魔力を回復し敵方の補給部隊を全滅させる程度まで回復しなくてはなりません」

 「ふむ、補給部隊をのぉ」

 金髪ロリ幼女は不思議そう顔で目の前にある地図を見つめる。

 実は魔族には補給という概念ない。魔族は魔力が主な活動エネルギー源であり、生きるための最低限は周囲の魔力(魔素という)から吸収可能なのだ。といっても大幅に回復させるためには人間などの襲いそこから魔力を引き出す必要性がある。

 なのでそもそも補給線という概念がイマイチ薄い。そして配下の魔力通し念話という会話が可能

 なので通信手段の遮断という概念も薄い。


 このような人間の戦争になると本来一番に狙うのは補給線と通信網の破壊なのだが、その概念が薄い為、魔族と人間の戦いでは少々このよう意味の齟齬が起こる。

 しかし相手は人間の軍、その為こちらとしては真っ先に補給線を叩くのが一番なのだ。

 ここで幸運な事に魔族は基本的に正面からの正々堂々の勝負を望む。その事を人間は熟知している。

 その為魔族の居る森とといえども補給部隊には対盗賊や森の獣用にある程度の人数と武装はあるが、それほど大規模な軍編成でない。

 その為、こちらとしても勝算は十分にある。


 しかし現実問題として我が軍は精々数人の人間を相手にする力しかない。なので早急魔力を回復させるしかない。

 「まず昼間は敵の小規模偵察部隊を叩きます。夜間に関しては城外部にいる哨戒中の兵士。かならず兵士は

 2人以下を狙い全滅させる事。そして攻撃部隊とは別に偵察部隊をかならず展開させてください」

 「ふむ、細かいのぉ。そんな面倒な事より一気に攻撃しかけたらどうじゃ」

 「それで何度も負けた結果がこれです。ご主人様は少し自重してください」

 「う・・・うむ」

 毎回このロリロリ金髪幼女(笑)はいつも強攻策を唱えるが、こちらが強く言うと引っ込むので、ある意味助かっている

 「さすがにこれまでの結果で、すべて負けてこんな結果をお忘れですか?」

 「うっ、お前なかなかに口が悪いのぉ」

 そう言うと、魔力回復なのか、ふて寝なの分からないが、すぐ部屋の隅でころんと転がる。予想としては多分後者にちがいない。

  尚、より一掃小さくなった金髪幼女(笑)は相変わらず横から胸の先端である桃の小さな突起が見えるのだが、こちらが苦労した分それは役得としてありがたく拝見させていただく。それは苦労賃としてありがたく頂く事にしよう。

 何せ前世のリアルでは一回も見たことがない秘境なのだ。この機会大切にすることにしよう。

 「とりあえず作戦開始します、行動部隊と偵察部隊は絶えず報告を忘れないように」



 さて、こうした敵の少人数を狙う作戦が開始されたのだが、結果からいえば大成功である。

 いくつかの偵察部隊、哨戒中の兵士を兵士を全滅させた結果、かなりの魔力を補給できた。

  おかげで小さな『ロリロリ金髪幼女』は元通り1つロリが取れて『ロリ金髪幼女』に戻り、魔力をもった攻撃蝙蝠部隊もかなり増員できた。

 結果として、警戒して増員された人間の偵察部隊さえも全滅が可能になった。正直10名以下の小部隊であればこちらにかなり分がある。

  後、補給部への警戒の連絡を携えた通信兵も叩く事ができた。確かに馬は早いが、魔力を持った複数の蝙蝠の攻撃からは逃げられない。

  特に蝙蝠は上空からの攻撃になるため、また超音波による回避も有効で、しかも蝙蝠が小さく普通の弓では当たらない。

 弓で数十メール先にある、3センチ程度の動く的など普通にしてもそうそう当たらないのだ。


 問題は敵の魔法だが、それはこちら側としても魔法使いとの接触を回避して当たらないようにしている。

 敵のファイヤボールを食らえばこちらの小さな蝙蝠など瞬時に死んでしまうのだ。

 これは常に人間陣営との会話を盗聴し、その部隊編成を把握しているおかげである。


 「さてこれで補給部隊をたたけますね」

 行動開始より10日ほど経過し、ようやく次の本命に目標は移る事になる。

 そろそろ森に突入するとされる人間の補給部隊は当初の予定通り30名ほど。無論全面衝突すればこちらとしても被害はでる。

 そこで行うのが、軽めの夜襲。

  数度の夜襲を何度も繰り返し、すぐに引く。もし逃げ出す人間がいれば各個撃破。最終的には疲労のピークで敵の糧食をファイヤーアローで焼き尽くす。

 「ん? 今回は魔力回復の為の人間が目的ではないのか?」

 「できたらそれもいいんですが、数が多いので、もしこちらに被害があれな折角回復した魔力が損失してしまいますからね。それに、人間に取っては何より食料は大切ですからね。目先の数十人より肝心の1000名です」

 「ふむ、よかろうまかせた。しかし細かいのぉ」

 「なのでちまちま作戦なんです」

  ここ最近、無敗の戦いを続けているせいで目の前のロリ金髪幼女は実に上機嫌だ。それに結果を出しているので相変わらず馬鹿な意見はいうが、こちらが否定すれば素直に聞いてくれる。

  ただ、ここ最近暴れたくて仕方ないような雰囲気を醸し出しているので、補給部隊への攻撃には

 参加してもうことにする。

 元々うちの台所には魔力のある者を遊ばせておく余裕はない。


 

 さて、薄暗い洞窟から抜け出して数時間、ロリ金髪幼女を含めた魔法蝙蝠部隊は予定の場所に集合する。

 「ふむ現状はどうじゃ」

 ロリ金髪幼女様は暗い森の中でじっと地図を見ていた。

 そこには我が蝙蝠部隊が丹念に収集した地図と現在の補給部隊の位置が示されていた。

 「ただ今、第八次攻撃隊が攻撃しています。これでまで我が軍は被害はなく全て成功。30名ほどいた人間も今や20名ほどまで数を減らしています」

 「そろそろかなぁ軍師殿~♪」

 甘えた声でロリ金髪幼女が攻撃許可を求めてくる。

 「ですね、では夜明け後に総攻撃します」

 「ん? 今まではこちらが有利な夜襲だったであろう。次回も夜襲でなくていいのか?」

 「はい、今まで夜が明けると同時にこちらは夜襲を終了させてました。なので次回も攻撃は仕掛けてこないと人間は思うでしょう。すでに攻撃を仕掛け3日それを8度、既に敵方の疲労も睡眠もピークです。明け方安心し、睡眠に入った瞬間総攻撃を開始します」

 「ふむ、さすがじゃのう」

 「いえいえ、とりあえず準備にかかります」

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