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『まず再建』

 「あの、どうゆう事なんでしょう」

 とりあえず浮かんだ疑問を目の前にいる蝙蝠先輩にぶつける。

 これから戦争だというのに、その前に『既に我が軍は全滅』という言葉を聞かされては当然だ。

 「我が軍は魔将様配下に500名ほどの魔族とその配下である使い魔大勢と魔族の中でも比較的大きな軍なのだが」

 「はい」

 「まずは近隣の魔族との戦争で大きく数を減らした上、主力を失ってな。それに合わせたように人間の侵攻軍が当方の領土に侵入したのだ」

 「なるほど」

 「無論我が軍はそれを撃退すべく全軍で出陣したのだ。とりあえず人間の侵入したと予測する場所に向かった。だが誰もおらん。そこで数日待ち構えていたのだが、全く動きがないので城に引き返したのだ」

 「・・・・はぁ?」

  なんだ? 今耳慣れないキーワードが・・・『予測する場所?』『全軍?』

  確実な情報もなしに、しかも全軍を動かしたのか?

  そんな頭に浮かんだキーワードを無視し目の前の蝙蝠先輩は説明を続ける。

 「なんと敵の人間は我が城を占拠しておった」

  ・

  ・

  ・

  って城をいきなり占拠って普通はないでしょ!

 あんたら城をカラにして出陣したのか。

  不確な情報に全軍、そもそも伏兵の危険性や別働隊の可能性を無視して、全軍投入は明らかにおかしい。

  敵兵の数も分からないのに地の利である城を放棄しての進軍は最初から間違ってるし、それで城を占拠されてしまっては目も当てれない。


 「そこですぐ全軍突撃したのだが、堅固な城に阻まれ被害が甚大。それから昼夜問わず何度も突撃したのだが、結果突破できなかった」

 「魔将様は?」

 「無論魔将様の攻撃力は多に比類しない強力な物だが、つい前に行われた魔族同士の抗争で魔将様は敵の魔王と対峙、結果として殆どの魔力を使い切った上、重傷を負われてな。今ああして寝ているのも少しでも魔力を回復させる為なのだよ」

 「そんな状況で突撃ですか?」

 「まぁ元々人間など歯牙にもかけない強力な魔力を持った方だからな、プライドが許さなかったのだろう。それに我々は魔族だ。人間あいてに撤退の二文字はない」

 「で、そんな中無謀に突撃を繰り返したわけですか?」

 「無謀って・・・・まぁうん。結果からいえばそうなのだがな、だが我々は魔族だ。撤退なぞ選択枝にない」

 「まぁ・・・・いいですけどね」

  ここで反論しても無駄な気がする。


 「しかし我が軍の魔族たちが見た目にもヤバイ状態になってようやく考えを改めたわけだ」

 「はぁ、まぁ時すでに遅いって感じもしますが・・・」

 「・・・まぁ、それは、うん。それは仕方なく、泣く泣く再度の反抗の為に、軍の再編の為、撤退しようとした所に」

 「いま撤退っていいましたよね」

 「うっ・・・」

 「い・い・ま・し・た・よ・ね」

 「まぁそれは置いておいて」

 「逃げましたね・・・・先輩」

 「それはともかく人間の軍が卑怯にも撤退する我が軍に対し背後から敵が攻めてきおってな。我が軍は殲滅、主人はこの洞窟に逃げたというわけだ」

 「えっと我が軍は当所数百と聞いてますが、人間の軍はどのくらいで」

 「そんなもの知らんし、興味は無い。我々は目の前の敵を打ち破るだけだ」

  偉そうに蝙蝠先輩が答える。しかし偉そうってのは魔族にとってデフォなの?

 何? この根拠のない自信は?


 「戦って・・・もしかして突撃だけ?」

 「それ以外に何がある? 魔族というのは人間より強いのだ。正面から突撃するだけで粉砕できる」

 「戦略とか戦術とか兵法とか聞いた事あります?」

 「なんじゃそれ うまいのか?


  ・・・だぁあああああっ!

  分かった。基本的魔族全部が馬鹿なんだ。個としてのあまりの強さで集団としての強さを成立させている。

  下手に強力な能力を有しているから知恵とか必要ない。

  そりゃそうだ、ライオンとか熊とか自然界の強者は強い牙や爪がある。なので必要以上の武力はいらない。

 逆に人間は弱者であるからこそ、知恵や知識、武器を使い強者を駆逐する。

 なので魔族には人間のような知恵や知識、武器は必要ない。

 「じゃ今の我々は?」

 「軍が壊滅し、残った魔族達も生死不明のちりぢり状態になっておる。主人たる魔将以外は、我々蝙蝠部隊だけだ」

 「蝙蝠・・・・でも一応魔族だよね。強いの?」

 「あぁ我々はは普通の蝙蝠、しかも今回は異世界召還を目的にした物だから。召還も最低限の魔力しか使用してない。なので我々は魔法を使えない。戦力としては皆無だな。人間なぞ相手にするのも無理、そこら辺のカエルにも負ける」

 「じゃ戦力って?」

 「うむ、わが主様1人だけ。そこはそれ異世界の力とやらで解決してほしい。まぁ我が主様も魔力を使いすぎて、なんとか人間数人相手なら勝てる程度しかないがな」


  なに・・この人、魔族さんたち。すでに詰んでるこの状況でどうしろと?

  馬鹿なの? 主人以下全員馬鹿なのね。 


 「あのぉ・・魔力を増やすには、どうしたら」

 「まぁそこは大丈夫 人間達を倒せば、そこから魔力を吸収できる。魔力を吸収すれば元通りになるし、我々使い魔であれば魔力を分配し、魔法を使えるようにできる。あとはゆっくりだが自然回復になるな」

 「部下は蝙蝠だけですか?」

 「そうじゃ数だけはあるな、千以上、まぁ戦力としては皆無じゃがな」

 「はぁ・・・」

 「とりあえず、参謀殿、我々は何をすれば良い」


 なに?この他人任せの方法は?

 いや、本人も多少馬鹿なのは分かっているのだ。軍においては自覚してない馬鹿が一番タチが悪い。

 ドイツの軍人であるハンス・フォン・ゼークトもそう言ってたしな。

 ・・・・仕方ない、グチを言ってもこの詰んだ状況を回復できるはずもない、できる事を1つずつやるしかない。

 「じゃ、この洞窟周辺からその奪われた城周辺の地図。そしてそこに居る人間の数を数えてきてください」

 「ふむ、数を数えればいいのか」

 「はい、その時にどの場所に何名がいるのか? そして大事なのは人間がもし1~2人で行動していたのならそれを追跡し、その行動パターンを詳細に記録してください」

 「ふむ面倒じゃな」

 「それが勝つ為に行う布石となる重要な事ですから」

 「まぁ、我が蝙蝠部隊はおぬしの指示通りに動くよう聞いて居おるので、まぁ問題ない。それにずっとココにいても暇じゃしな」

 「じゃお願いします」

 「うむ、早速出かけるとしよう」

   

  そして直ぐ金髪ロリ幼女(笑)元に向かう。いや一応あんなんでも主人だ。敬意は払おう

  馬鹿だけどな。馬鹿の大将だけどな。

 

 「ご主人様」

  向かった先では、のんきにその馬鹿、いや金髪ロリ幼女は気楽に睡眠をむさぼっていた。

 「うむ、もう勝ったのか?」

   なにを暢気に・・・この馬鹿は・・・。

 「いやまだ準備です」

 「そうか、いやおぬしに任せれば安心じゃ」

 「少しお聞きしますが、我々蝙蝠軍で人間を倒すのは可能ですか?」

 「いや、そりゃ無理じゃろ」

 「じゃ人間1人を蝙蝠軍で倒すにはどの程度魔力を与えればいいのですか?」

 「そうさのう、魔法を纏った火の矢『ファイヤアロー』程度使える魔力の蝙蝠5~10匹程度なら人間は倒せるじゃろう」

 「それを今居る蝙蝠全員に与えるのは可能ですか?」

 「いや、いやそれは無理じゃ、今回の戦闘にさらに大量の償還で妾の魔力はかなり使いきっておる。元々ばいーん、ぼいーんのムチムチボディもこの有様じゃ」

  そうして、元々ないペタンコの胸を寄せてあげる。しかし元々ふくらみなど皆無の胸である。

  寄せてもたいした量にはならないのが実に悲しい。

  しかし、姿は魔力を使いすぎて、幼女化したのか。つまり魔力とある程度見た目の年齢は比例するのかな?

 「じゃ、現時点で魔力付き蝙蝠の作成可能の数はどのくらい」

 「うーむ、せいぜい30匹くらいじゃな」

 「じゃそれをお願いします」

 「お前に与えれば良いのかな?」

 「いえ、自分以外の精鋭として30匹ほどお願いします」

 「ふむ、今回の作戦はお前にかけておる。お前がいうならそうしよう」

 「ありがとうございます。では準備しだい『ちまちま作戦』開始します」

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