三学年 卒業式 1 すべての始まり
*補足*
R15
→途中で暴力シーン(コミカルなやつとちょっとしたいじめのシーン。展開によってあったりなかったり)あり
ボーイズ&ガールズラブはないですが、ちょっとだけ匂わせる描写は途中途中あります。
コメディー
→基本的にはコミカルに書きますが、学園もので恋愛ありです…いや、もしかしたら恋愛が正解か?……とにかく笑いはちょくちょく入れます。
……もしかしたら同じ作品を別にサイトを立ち上げて投稿する…かもです
作者は飽きやすいので最後まで行くかは…分かりません。でもコメントに一喜一憂する性分なのでコメントや感想しだいでは飽きてしまった場合、やる気を出す…かもです。
長文失礼しましたm(__)m
こんなヤツですがどうかお付き合いください。
「どうしてこうなった…」
とある家の一室。部屋のなかの調度品を見ると裕福な家庭だとすぐわかる。部屋には全部で四人。その四人の内、二人の青年の片方が呟く。
「…俺は…俺は…今後も普通に学校に行って…いつもみたく沢山の仲間と共に学園生活を楽しんで…それで…それで…好みの女性とお付き合いして…ゆくゆくは結婚…父さんの後を継ぐんじゃ…」
「違う…違うの…全部母さんと父さんがいけないの…ごめんなさい…ごめんなさい…」
青年の母親らしき人物が嗚咽をあげて泣く。側にはこれまた青年の父親らしき人物が肩を抱きながら険しい表情で呟く。
「すまない…だがもう決まったことなんだ…許してくれ…」
普段滅多に頭を下げないのか…青年がその姿を見て目を見開いている。
「っ!?…だったらどうして!!今なんだよ!!なんで今…!!」
「……もうよせ…」
腕を振り上げた青年を今まで部屋に居たがことのなり行きを見守り黙っていた青年が止める。
「……俺も…今知ったんだ。奥様も旦那様も、何もお前を苦しめようと黙ってた訳じゃない…取り合えず話を聞かないか…?」
「!?……でも!!これは…これはあんまりじゃないか!!理不尽すぎる!!」
そう言った青年は傍らに置いてあった包みを床に叩きつける
「……こんなの…あんまりじゃねぇかよ…」
床に叩きつけられた包みから覗いていたものは……………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
…事の発端は約一ヶ月前に遡る。
東京都某所。高級住宅街が密集する町の一角に青年が一人。
「母さーん?それじゃあ卒業式に行ってくるよー?」
「ちょっと!!待ちなさい咲夜!!…今車出させるから!!」
ヒステリックな…おそらく母親だと思われる女性の言葉を背に青年…もといい咲夜が歩きだす。
「中学卒業の最後の最後はせめて歩いていくから大丈夫だよ…行ってきまーす」
「あっ!?……まったくしょうがない子なんだから…気を付けて行くのよ!!せめて龍哉君と行きなさいね!!」
「分かってるって…じゃあまた後でね」
…そう言って歩きだす青年の名前…と言うか 俺の名前は凰寺咲夜。
現在中学三年生。成績優秀、スポーツ万能、コミュニケーション能力もあり容姿端麗。おまけに家はお金持ち…しかもオヤジがまだまだ中小企業ではあるものの最近頭角を表し、右肩上がりである鳳凰寺財閥社長で将来が約束されているという…何から何まで恵まれた星に生まれた…文字どおり"王子様"である。
「……っち…いつまでガキ扱いしてんだよ…あのババア…」
……ただし性格に少々難あり…らしいけど
…フッ…今リア充爆発しろって思ったヤツラ乙
おっと…怒んなよ?
……完璧なヤツだからいいってもんじゃねぇんだよ…
今からそれを教えてやるから…マジ完璧なのはメンドクセーから。
「俺は赤ん坊かっつーの…だいたい中3にもなって送り迎え&ボディーガードつきって…」
な?
これだよ
全然自由じゃねぇ…
思い返すだけでも腹立たしいがこんなもんじゃ終わらねぇ…
……今はまだ説明しないけど嫌でも理解するさ…多分な
「……本当に頭大丈夫か?
……って!!」
悪態をつきながら歩いていると長身の男にぶつかる。
「っと…ス、スミマセン…お怪我はありま…!?」
男を見上げるといかにもヤンキーのような目つきの悪い目に睨まれる。
「………」
男はジーっと睨む。
「………」
俺は微妙な顔つきで応戦。
「……フゥ…なんだ龍哉かよ…驚かすんじゃねぇよ…ったく…思わずいつもみてぇに猫被っちまったじゃねぇか…」
「……スミマセン…護衛を頼まれたので…」
ボソボソと話す長身のこの男は俺の幼馴染みでありボディーガードを勤める周防龍哉だ。幼い頃に両親を亡くし、両親が俺の家と仲がよかったこともあり俺の家に引き取られ、以来10年間俺の護衛を勤めている。
武道に至っては圧倒的な強さを誇り(しかも我流)、幼い頃から俺を守ってきた。…別に頼んだ覚えはねぇけど
現在は「…俺なんかが咲夜様と同じ家に住むなんて恐れ多い…」と少し離れた場所に家を借りて独り暮らしをしている。……コイツ…自炊できんのかよ
「……ハァ…いつも言ってんじゃねぇか…俺とお前だけの時は敬語やめろって…じゃねぇとクビにするぞ?」
「……!?……わかった…咲夜」
「そうそう。そうしてくれ」
…こいつは俺のオヤジやお袋、そしてもちろん俺にも敬語を使って話しかけている。…別にしなくていいっていつも言っているけど、全く聞く耳持たないからオヤジとお袋は諦めている。…まぁ俺はぜってぇヤダからいつも訂正してっけど
特に重要なこともないから、会話をやめていつものように少し微笑みながら歩き出す。
ここで俺のオヤジとお袋についてちょこっと説明。
凰寺咲舞。鳳凰寺財閥の現社長であり俺のオヤジ。年功序列の考えのため、上に真面目で下に厳しい。……大抵仕事のため家には帰ってこない。
たまぁ~に帰ってくるけど…そんときは何かしらの問題が発生したとき。(もしくはお袋の誕生日か結婚記念日…などのお袋関係の日=未だにお袋を愛して止まない…らしい…本当か?)
つまり、帰ってきたらメンドクサイ事態だということになる。だからオヤジとは直接話した覚えがあまりない。
凰寺遥奈鳳凰寺財閥の社長夫人であり俺のお袋。子供が大好きで息子…つまり俺にメチャクチャ甘い…甘い…甘すぎる。
…前に一度俺が誘拐されかけてから一人で登校させないくらい甘い。……オヤジと真逆すぎてたまにひく…
まぁ…俺にとっちゃ唯一、普段一緒にいる家族だから?気にはならない。……ウソ……やっぱたまにひく…
……っと。ちょこっとじゃなくなっちまったか?
説明している内に
(表向きは近所の方々にニコニコと挨拶をかわす好青年で居たよ…メンドクセーけどしょーがねぇ…これが"凰寺咲夜"だからな…)
私立聖麗学園中等部校門前
…つまり俺の通っている学校…に到着。俺は毎朝数々の女子生徒の黄色い声援&男子生徒のおじぎで迎えられる。
……どうしてかって?
まぁこのあと話すつもりだけど、一番の要因は俺のオヤジがこの学園に多額の…莫大な金を投資してるからかな…
それもほぼ牛耳られるくらい…
「キャーー///咲夜様よ///」「今日も麗しいわぁ///」「咲夜様~///」
気をとりなおして、俺は数々の声援に受け答えをしたり、手をふりながら校舎へと向かう。
「うぅ…咲夜様ともう会えなくなるなんて…私…どうすれば…」
途中、一人の女子生徒が泣き出した。
……無理もない。この学園の"王子様"である"凰寺咲夜"が卒業するんだ。後輩は泣き出すに決まってる。
俺はその女子生徒に近づいて、顔を近づけた。
「…泣かないで?君は二年三組の宮下さんだよね?…いつもこうやって迎えに来てくれてありがとう。…君のことは忘れないよ」
そう言って微笑みかける。
「イヤァ~ン///咲夜様が微笑んだわ///」「私…もうそれだけで十分///」
………盛り上がる声援に手を振りつつさらに進む。
「…咲夜さん!!御卒業おめでとうございます!!」「咲夜さん!!今日の最後のスピーチも頑張ってください!!」「会長…うぅ…いままでありがとうございました…」
この学園の"王子様"である俺は生徒会長でもあった…もう引退はとっくにしてるけど、未だにそう呼ぶヤツラも大勢いる。
たくさんの男子生徒にも受け答えなどをしてようやく校舎へ入る。
「……ハァ…どいつもこいつもたかが卒業でうるせぇんだって…ったく」
……お気づきだろうか…
そう。俺はぶっちゃけこの生活に飽き飽きしている。
……なぜかって?さっきの話と関係してんだけど…
まぁ、聞いてなって。
「……なぁ龍哉もそー思わねぇ?」
「……どーだか…俺は少なからず祝ってもらえんのは嬉しいが…」
「……ただ祝うだけじゃねぇのお前なら理解してるだろ…あぁやって俺にこび売って、どーせ鳳凰寺財閥を狙ってんのなんか見え見えなんだよ…あぁ…胸クソワリィ…」
「……全員そうとは限らないんじゃないか?」
「はっ!!どーだか…!!」
……そう。
さっきの取り巻きはだいたい3つに分けられる。
1つ、俺ことみんなの"王子様"のファンクラブ会員のヤツラ。
……正直重い…
2つ、純粋に会長である俺の勇姿や活動、俺自身の人格が気に入っているヤツラ。
……正直バカバカしくなる…
3つ、俺のオヤジの財閥目当てのヤツラ。
……正直一番ウザイ…
3が半数をしめ、1が残りを、2なんて少数意見だ。……まぁ慣れてはいるけどな…
このやりとりがもう終わるとなると…卒業も悪くはない。
……まぁ高等部に行くとまた始まるんだろうけど…少なからず春休み中は学園のことを考えなくていいからよしとしよう。
……と
この時の俺は安直な考えをしていた。
このやりとりが…実は今後いっさい行われないとは知らずに。