永遠と言う名の誓いを
最終回です。
僕が目覚めた時、良はすでに解雇を受けていた。
そばには変わりのボディーガードとして知らない男がいた。
「下がれ」
良がいなくなって一ヶ月がたっていた。
僕は部屋にずっと閉じこもってストライキを決めこんでいた。
父上が考えを変えてくれるまで出て行かないつもりでいた。
しかし、事は僕の思い通りには行かず、無理やりに外に出され、父上と面会させられた。
「どういうつもりだ? 香月」
「どういうつもりも、父上がお考えを変えてくださるまで、僕は行動を変える気はありません」
「まったく……似ているな。やはり子供の頃から一緒だとこうなるのか……」
僕が頭の上にクエスチョンマークを浮かべていると父上はいつもは見せない優しげな笑みで僕を見た。
「良も解雇される条件を出してきたのだ。自分は解雇されるから、もっと香月と交流をしてほしい、と。寂しがっているからと」
外ではしんしんと雪が降っている。
静かな室内に父上の声と僕の息を飲む音だけが聞こえた。
「まさかとは思ったが、今までを考えて納得した。お前は私の言うことに逆らわなかったな。それが私に嫌われたくなかったからなのだと良に言われて気がついた。今まで、すまなかったな」
「今だって……」
いつの間にか僕の瞳からは涙が溢れていた。
なくつもりなどなかったのに……
「良を解雇することで、お前のためになると思っていた。将来、いい所のお嬢さんと一緒になるには良がいてはダメだと思ったのだ。しかし、香月の必死な様子に分かった。お前は良を愛しているのだな」
半年前ぐらいの僕なら素直には答えなかっただろう。
きっと照れ隠しにそんなことはない、と大声で叫んでいたはずだ。
でも、今は―――
「はい、僕は良のことを愛しています」
しっかりと父上の目を見つめて断言した。
父上は僕を見て頷いた。
召使いに手を振って合図するとふすまを開けさせる。
「賭けはお前の勝ちのようだな、良」
「だから言ったではありませんか。絶対に私が勝つ、と」
ふすまの向うには良が座っていた。
つまりさっきの会話を一字一句落とさずに聞いていたと言うことになる。
「良!?」
「香月様。良、只今戻りました。長らくお待たせして申し訳ありません」
良が僕のそばに寄ってきてかしずく。
「賭けをしていたのだ。私と面会して、お前が良のことを愛していると即答したら元通り、香月付きのボディーガードに戻してやると」
「つまり……僕をはめたと言うことですか?」
「まあ、そうなるな」
僕は顔に血が上るのを感じながら、父上に下がる旨を伝え部屋に戻った。
後ろには当然の如く良が付いていた。
「お前……あんな言葉残していったくせに―――」
「すみません。ああするしかなかったもので」
良は僕をみつめる。
「誓いを、立ててもいいですか?」
僕の前にかしずいて、見上げる。
「許可する」
「香月様に永遠と言う名の誓いを」
僕の手をとってキスをする。
これからの長い人生。
永遠と言う誓いは僕と良を縛り続けるだろう。
それでも、一緒にいてくれると言うのなら。
「その誓い、受け入れよう」
僕も、良に誓いを立る。
―――永遠と言う名の誓いを
長い連載も終わりました。
最初から読んでくださった皆様、これだけでも読んでくださった皆様。
心のそこから感謝を申し上げます。
本当にありがとうございました。
今後もどうかよろしくお願いします。




