共に帰る帰路
四話目です。
立て続けに書いております。
どうか優しい目で見守ってください。
「僕をどうするつもりだ」
僕を捕まえた奴に問いかけた。
「さあな、我々の雇い主に聞くんだな」
我々と言う中には家の使用人も混ざっていた。
きっとスパイだろう。
全員良が近づくなとか、気をつけろとか言った奴らだった。
「お前ら、裏切ったのか」
「我々はただ雇い主の命令で動いていただけです」
聞いたのが馬鹿だった。
しょせんお金だ。
お金さへ渡していれば誰の言うことでも聞く。
そう、きっと良も。
「さあ、出ろ」
いつの間にかどこかの車庫に入っていたようで、外に出るようにうながされる。
「やあ、神宮寺君」
「お前は―――」
確か学友だ。
僕と良が高校から編入するまで学年一位だった奴だ。
相手から避けられているのか、学校で会ったことはなかったけれど。
「君は、ボクのフルネームを覚えているかい?」
苗字はなんとなく分かるがフルネームでといわれると自信がない。
「やっぱり、覚えていないんだね」
僕の様子から覚えていないことを察したようだ。
「ボクはね、二年間君の名前を一度も忘れたことなどなかったよ。源良と一緒に僕のプライドをずたずたにした。絶対に許さない」
そんなのただの逆恨みだ。
学業なんて努力すればいい。
僕はそれこそ死ぬほど努力した。
良だって、僕に付き合って夜中まで、悪ければ朝方まで付き合ってくれていた。
努力もしていない奴にいいように言われるのは好きじゃない。
「ボクのために死んでくれるよね?」
ナイフなんて古いなと思いながら、さてどうするかと考えていると―――
「刑法第2編26章殺人の罪により、死刑もしくは終身刑に処されるけど、それでもいいのか?」
後ろから聞こえた声に振り向く。
「良……」
「オレの主を帰してもらおうか? 今大人しく返せば警察にも知らせないと親方様もおっしゃってくださっている」
ナイフを握り締めて良に向かって振りかぶる。
「ボクに命令するな!」
「それは主で聞きなれてるんだよ」
鳩尾に一発。
それで勝敗は決まった。
「良かったな、またこうして一緒に歩いて帰れるようになって」
「別に、僕は歩きたくなんか……」
良はわざとらしくかがんで下から
「じゃあ、今からでも車を呼ぶ?」
「別に!! 歩かないなんて言ってないし……」
「じゃあ、行こうか?」
きっと良には一生言えない。
絶対言わない。
良と一緒に帰れるようになったことが一番嬉しいだなんて。




