18-1:宇宙の迷子
18-1:宇宙の迷子
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乱が流誠と出会う数ヶ月前。
近衛乱はとある少女と出会い守り抜いた。これはそんな一夜限りの騎士の物語。
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高台にある公園に彼―近衛乱―はいた。
空には数え切れない程の星が煌めいている。
世界は、宇宙は、何処までも果てしないと誰もが思わずにはいられない、荘厳とも言える景色だった。
「なんで、空なんか見てるの?」
見知らぬ少女が乱の横に立ち、問いかけてきた。
「この次元の広さを感じていただけだ」
少女を誰だとは問わない。
少女が何者であろうと乱には関係のない事だ。
ただ、この世界で生きる乱と少女が偶然ここにいる。
それだけの事で、出会いの理由はそれで十分だった。
「次元………? 宇宙じゃないの?」
「宇宙を含めた上での次元だ。私はここにいる。お前もここにいる。そして、私たちの上には宇宙がある。
漢字で書けばたった二文字の言葉であるのに、私には一生たどり着けない場所だ。
そして、その宇宙のさらに上に、別の次元が存在しているかと思うと、広いよな」
「ふ~~ん。この宇宙のさらに上か。そんなこと考えたこと無かったな……。
そう考えると、私たちって本当にちっぽけな存在なのよね」
少女は両手を頭の後ろで組み、乱同様に空を見上げた。
「ああ、小さい。小さいが、それでも足掻いていくだけさ」
「何のために?」
「他人はしらん。だが、私は愛するあいつのためだな」
少女は乱の言葉に勇気づけられたかのように小さく笑った。
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乱と少女は静かに空を見ていた。だが、そんな二人に迫る来る影がいた。
「お前は何者だ?」
不意に乱が尋ねる。
「ひ・み・つ」
少女がしらける。
「では、後ろにいる奴らは何者だ?」
もう一度、乱が尋ねる。
「それも、ひ・み・つ。だけど、ここにいるとあなた巻き込まれちゃうから、早く去った方が良いわよ」
少女の声から冗談が消えた。
「お前は何故、ここにいる?」
それでも、乱は尋ね続ける。
「う~ん。こう言葉に出すのは恥ずかしいけど、愛する人のためかな」
少女の顔が少しだけ赤くなった。
「お前はどの星から来た?」
乱の問いかけに少女の瞳が大きく見開いた。
だが、それでも、少女は真実を語らなかった。
「この星ではない、何処かから」
少女の答えと同時に、闇夜に少女を捕らえる異星人が降り立った。
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