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18-1:宇宙の迷子

18-1:宇宙の迷子


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 乱が流誠と出会う数ヶ月前。

 近衛乱はとある少女と出会い守り抜いた。これはそんな一夜限りの騎士の物語。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 高台にある公園に彼―近衛乱―はいた。

 空には数え切れない程の星が煌めいている。

 世界は、宇宙は、何処までも果てしないと誰もが思わずにはいられない、荘厳とも言える景色だった。


「なんで、空なんか見てるの?」


 見知らぬ少女が乱の横に立ち、問いかけてきた。

「この次元の広さを感じていただけだ」

 少女を誰だとは問わない。

 少女が何者であろうと乱には関係のない事だ。

 ただ、この世界で生きる乱と少女が偶然ここにいる。

 それだけの事で、出会いの理由はそれで十分だった。

「次元………? 宇宙じゃないの?」

「宇宙を含めた上での次元だ。私はここにいる。お前もここにいる。そして、私たちの上には宇宙がある。

 漢字で書けばたった二文字の言葉であるのに、私には一生たどり着けない場所だ。

 そして、その宇宙のさらに上に、別の次元が存在しているかと思うと、広いよな」

「ふ~~ん。この宇宙のさらに上か。そんなこと考えたこと無かったな……。

 そう考えると、私たちって本当にちっぽけな存在なのよね」

 少女は両手を頭の後ろで組み、乱同様に空を見上げた。

「ああ、小さい。小さいが、それでも足掻いていくだけさ」

「何のために?」

「他人はしらん。だが、私は愛するあいつのためだな」

 少女は乱の言葉に勇気づけられたかのように小さく笑った。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 乱と少女は静かに空を見ていた。だが、そんな二人に迫る来る影がいた。

「お前は何者だ?」

 不意に乱が尋ねる。

「ひ・み・つ」

 少女がしらける。

「では、後ろにいる奴らは何者だ?」

 もう一度、乱が尋ねる。

「それも、ひ・み・つ。だけど、ここにいるとあなた巻き込まれちゃうから、早く去った方が良いわよ」

 少女の声から冗談が消えた。

「お前は何故、ここにいる?」

 それでも、乱は尋ね続ける。

「う~ん。こう言葉に出すのは恥ずかしいけど、愛する人のためかな」

 少女の顔が少しだけ赤くなった。

「お前はどの星から来た?」

 乱の問いかけに少女の瞳が大きく見開いた。

 だが、それでも、少女は真実を語らなかった。

「この星ではない、何処かから」

 少女の答えと同時に、闇夜に少女を捕らえる異星人が降り立った。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


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