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M-16:シリアル・アリス

M-16:シリアル・アリス


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 戦場に舞い降りた桜と白の天使。

 彼女の名前は、魔法天使 シリアル・アリス。

 そう、このあたしと同じ魔法天使を名乗る戦士だ。

「君は、愛理子君」

 リトル・ソングに襲われているお兄ちゃんが、シリアル・アリスを見て、なんか情けない顔をしている。

 もう、お兄ちゃんって本当に魔法少女好きなんだから。

 でもね、お願いだから、シリアル・アリスには見とれないで。

 本当に………お願いだから。


「そうですわ、誠流様。わたしは、秘めた想いが咲き乱れる 魔法天使シリアル・アリス。今すぐ、助けてあげますわ、わたしの誠流様」


 シリアル・アリスはそう言うと一気にリトル・ソングとの距離を縮めていった。

 白いメイドもシリアル・アリスが敵だと分かったみたい。

 魔法天使の方を向くと、口を大きく拡げ、空気が振動して見えるほどの超音波攻撃を仕掛けてきた。

 でも、魔法天使はそんなことで負けたりはしない。

 シリアル・アリスは速度を緩めることなく一気に真上に跳躍。超音波攻撃を避けた。

 

 って、ちょっと、そうなると超音波攻撃が、あたしに向かって来るじゃないの!


 あたしは慌てて逃げようとするけど、桜色の檻に囚われているあたしは身動きが取れない。

 そうこうしている間に、超音波攻撃が桜色の檻を飲み込んだ。

 でも、流石というか悔しいけど、流石は愛理子。

 桜色の檻はリトル・ソングの超音波攻撃を受けても、まったく傷つかなかった。

「一気に決めさせて頂きますわ」

 シリアル・アリスが、まさに神々しき天使のように空を舞う。

 そんな彼女の左腕に桜色の魔力が集中していく。


「集まって わたしの想い シリアル・シニカル・シークレット」


 桜色の魔力を正確に練り上げ、シリアル・アリスは魔力を三日月型に作り上げていく。


「チェリー・ムーンライト。アタック~~~!!」


 三日月状の魔力をシリアル・アリスは一気に解き放ち、桜色の光がリトル・ソングを包み込み、大爆発した。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 爆発に巻き込まれて気絶しているリトル・ソング(よくもまあ、あれで生きていたと思うけど、その辺りが彼女が人間ではない証拠でもあるわけよね)に束縛の魔法を施し、シリアル・アリスはお兄ちゃんに近づいた。

 駄目。お兄ちゃんは殺させない!

 っとあたしは吼えるが、今だ桜色の檻があたしを捉えたままだ。

「愛理子君。ありがとう、助かったよ。でも、驚いたな、君も魔法天使だったんだね」

「驚かせてしまい申し訳ありません、誠流様」

 そう言って愛理子はお兄ちゃんに手を差し出した。

 お兄ちゃんはその手を疑いもせずに握り替える。

 あ~~、お兄ちゃんを殺すとかそんな関係なく、ちょっとそれ羨ましいわ。

 って何考えるの、あたし。今はお兄ちゃんの命の危機なのよ。

「本当、ありがとうね、愛理子君」

「いいえ。わたしは、誠流様が大好きなのですから、愛する人を身を挺して守るなんて、当たり前のことですわ。………ですが……」

「うん?どうしたの愛理子君」

「愛理子君って、なんだが、他人行事過ぎますわ。ですから、誠流様、わたしのことは愛理子とお呼びください」

 その時の愛理子の顔はどうしてだか、とても恥ずかしそうだった。

 こんな顔をした女の子がちょっと前にお兄ちゃんを殺すと宣言していたなんて、あたしがその場にいたというのになんだが、嘘のように思えてしまう。

 全くもう、何なのこの愛理子という女は、お兄ちゃんが好きとか言ったり、お兄ちゃんを殺すとか言ったり、もう、訳分からないわよ!!


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



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