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17-4:赤き 黒き ムラサキ

17-4:赤き 黒き ムラサキ


 黒の光が脈動を始める。

「何だ、これは?」

 近衛乱より受け取った黒のMSデバイサー『プロミス・オブ・AS』が突然何かに反応したかのように、黒の光を放ち始めたのだ。

「何かが、動き始めているって事なのか?」

 MSデバイサーから僅かに魔法の波動を感じ取り、流誠はこの切り札のカードに意識を集中する。

 流誠や小歌が使っていた魔法の波動とは少し違う。

 が、流誠はこの魔法の波動をとてもよく知っていた。


「この波動。ティーカ、君なのか?」


 いつも流誠の肩に乗りステレスの魔法を使っていたティーカ。

 その彼女の魔法の波動と今、『プロミス・オブ・AS』から伝わる波動はとても良く似ている。

 世界が何か動き出した。

 そんな確信を胸に、流誠は黒のMSデバイサーをしっかりと握りしめた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「あの子の幸せを壊したのは、あんたなんだからね!」

 ティーカの叫びを聞いても、秋生は彼女が一体誰のことを言っているのか分からなかった。


 次元監視者は次元の安定を守る者。

 他次元に迷い込んだ不安定要素を、元の次元に戻ることが彼らの仕事である。

 が、その後、彼らが不安定要素と呼んでいた存在が元の次元に戻りどのようになったのかは、完全に管轄外のことである。

 そんなことは、次元を守る上には全く問題にならないことである。


「話がよく分からぬが、要は、これはお主の逆恨みなのか?

 お主は小職に恨みがある。だから、わざと次元を不安定におとしいれたと言うことか?」

「35%ぐらい正解ね。

 あたしは、あんたに恨みがある。それだけは正解よ。そして、あたしはわざと次元を不安定におとしいれた。これも正解。

 でもね、シャアアアアアアアア、残念ながら、それがあたし達の目的じゃないのよ!」


 ティーカが吼えた。

 その雄叫びに呼応するかのように、この炎に包まれた次元世界に亀裂が走る。


「何事だ?」

 次元監視者が作り上げた多次元との全く繋がりのない世界が無理矢理何処かの次元世界と繋がろうとしている。

 数多の炎のモニターが秋生に警告をならす。

「まさか、ティーカ・フィルポーズ。

 お主の目的は、小職の注意を自分に向けること次元監視者の注意を一身に受けるおとりだったというのか?

 だから、クロートをもあちらの世界に持ち出した。必ず、次元監視者に見つかるために……」

「75%ぐらい正解ね。そうよ、次元監視者。

 今までのあたしの目的は、あんたの注意をこのあたしに惹きつけること、ただそれだけよ。

 だから、流誠も小歌も次元の安定化を阻害する因子として、使わしてもらったわ。でもね、これは過程でしかないわ。

 次元管理者、よく見てなさい。本番はね、これからよ!!」

 

 その咆吼と同時に、炎に包まれていた秋生の世界に、桜色の爆流がなだれ込んできた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「ついに動き出してきたか」

 流誠同様に黒く明滅する『プロミス・オブ・AS』を握りしめ乱は呟いた。

 予想よりも彼女は早く動き出した。

 こちらはまだ、クロートと呼ばれる金のMSデバイサーもラケシスと呼ばれる銀の魔法石も手に入れていないと言うのに。

 だが、悔やんでいても動き出した流れは止まらない。


「お前ぐらいは、私が守ってやる。………サクラ」


 その名前は、黒騎士として乱が守り抜くと誓った姫の名だ。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



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