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2-4:真実とは夢のないものだよ

2-4:真実とは夢のないものだよ


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 講堂での騒動の後、ティーカは保健室に行くという名目で講堂を後にした。

 もちろん、素直に保健室には行かず、人目の無いところで、魔法を解き普段の妖精サイズへと戻った。

「ふう、危なかったわ」

 魔力が底をついているため、ステルスの魔法もすぐには使えそうにない。

 この姿で人に見つかるとそれはそれで厄介なので、ティーカはとりあえずは何処か身を隠す場所を探すことにする。

「でも、不思議。流誠の手、何であんなに温かかったんだろう」

 つい先程、流誠が握りしめてくれた掌を見つめてしまうティーカ。

 彼女は、自分の頬が朱色に染まっていることにまだ気づいていない。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 チャイムが鳴り、生徒達が講堂からぞろぞろと出てくる。

 葉っぱが茂る木の枝に姿を隠しながら、ティーカは彼が出てくるのを待っていた。

「遅い」

 そんな悪態をつきながらも紫の妖精は、講堂の出入り口から目を離さない。

「やっと来たわ」

 彼が出てきたのは、一番最後だった。

 講堂に誰もいない事を確認して、鍵を閉めている。

 ティーカはかろうじて回復した魔力を使い、ステルスの結界を張る。

 いつも通りとはいかないが、多分大丈夫だろう。

 隠れていた樹から飛び出し、ティーカは一直線に流誠の肩に飛び乗る。

「おっと。ティーカ、もう大丈夫なの?」

 視界外からの登場に驚きはしたものの、流誠は何よりも先にティーカの心配をしてくれた。

「まあね。あんたが手を握ってくれたおかげで、なんとかなったわ」

「そうか。それは良かったよ」

「でも、不思議よね。なんで手を握っただけで、あたしの魔力が回復したのかしら?」

 人差し指を頬に当て、小首を傾げるティーカ。

「ああ、ティーカ、それ………」

「神秘よね。流誠、あんたさもしかして、歴史に名を残せるほどの大魔術師の素質とかあるんじゃないの。

 うわあ、だとしたら凄いわ。それって私も歴史に名を刻めるってことでしょう。

 ねえ、流誠それって夢みたいじゃない」

 爛々と目を輝かせて語るティーカの笑顔を見て、流誠はもう何も言えなかった。

 この笑顔を守りたいと思ったから、彼女のナイトになったのだ。

 何も自ら、笑顔を壊す必要はない。

 大切なのは、真実じゃなくて、あの場でティーカを助けたことだから。

「そうだね。でも、その歴史ってボクのいる世界じゃなくて、ティーカの世界の歴史でしょう。なら、ボクにはあんまり得がないかな」

「うわあ、あんた、何贅沢言ってるの。歴史に名を刻めるなら何処だって良いじゃない」

「かもね。でも、久我流誠としてではなく、ティーカのナイトとしては、お姫様が歴史に名を刻んでくれたらそれだけで、騎士名利なんだけどね」

「っぅ。流誠、あんた、何恥ずかしい事さらりっと言ってるのよ」

 たわいない会話をしながら大学の構内を歩く流誠とティーカ。

 そんな流誠の手に握られているのはナイトの証である紫のカード。

 そこに刻まれている呪文は、


『Charge Magical Source』


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


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