表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/246

2-2:私立聖霞ヶ丘大学


2-2:私立聖霞ヶ丘大学


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 教卓に立つ流誠が大学生相手に授業をしている

「ふ~ん。意外と様になってるじゃないの」

 窓の外から眺めているため、彼がどんなことを喋っているのかは分からないが、それでも黒板を背にして、迷い無く一言一句を語るその姿はまさに教師と言うほか無かった。

「意外と格好いいぞ、流誠。さっすが、あたしのナイト」

 アパートにいるときは絶えず笑顔の彼が、今は見違えるほど凛々しい顔つきになっている。

 そのギャップが何故か、ティーカにはもの凄く嬉しいと思えることだった。

 ただし、不満点もある。

「で~も、な~んで、女ばかりにしか教えてないのよ」

 そう、教室の大半は女子学生によって埋められていたのだ。

 その光景はティーカにとって面白くない。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 とりあえず、最初の一時限は窓の外からず~と流誠の姿を見ていた。

 最初はそれで満足だったが、休み時間女子学生と楽しげに談話している流誠の姿を見て、ティーカの心の奥の何かに火がついた。

 そうなると、ただ黙っているティーカではない。

 次の時間のチャイムが鳴る頃、ティーカは一人売店の方へと飛び去っていた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 二コマ目の授業中、生徒達と向かい合いながら、流誠はちらりと窓の外を見た。

 そこにはもうティーカの姿はない。

 彼女に見られていないと思うと、ほんの少し肩の力が抜ける。

 別にティーカだからと言うわけではないが、やはり仕事をしている自分を知人に見られるのは恥ずかしいものだ。

 知らずの内に力んでしまうものだ。

 そんな流誠を銀髪の彼女は………。

「藤永さん、265ページ、三行目から読んでみてください」

「は~い」

 この教室で格別の存在感を持つゴスロリ服を着た学生を指名することで流誠は雑念を振り払い、仕事に専念することにした。

 彼女とは、もう全てが終わってしまったのだ。

 何を思い出しても、何も変わらないし、何も戻りはしない。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 そして、昼休みがあけの三限目に事件はおきた。

 いつもと同じように講堂に入った流誠は、そこで待っていた想定外の光景に思わず素っ頓狂な声を上げそうになってしまった。

 なんとか、声は押さえ込んだものの、顔はどうしようもなかった。

 公聴席の一番前に座っている紫髪の彼女が、笑いをこらえ必死に口元を覆っているから、流誠はよほどの間抜け顔をさらけ出したのだろう。

「せんせ~い。はやく授業してください」

 売店で売っている学校公認のジャージに身を包んだ紫髪の女学生がぬけぬけという。

 羽根は生えていないし、いつもの掌サイズでもないが、その紫髪のエセ女学生はどこから見ても間違えなく、ティーカその人(妖精?)であった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ